又吉直樹『第2図書係補佐』(2011)紹介と感想
又吉直樹『第2図書係補佐』幻冬舎, 2011
紹介と感想
芸人であり作家である著者による、ヨシモト∞ホール発のフリーペーパーに掲載された本を媒介にした自分の人生や考えを語るエッセイに書下ろしを加えてまとめた一冊です。
本書には、あまりにも繊細で感情豊か、しかし社会に対して上手く表現できない一人の若者としての著者が描かれていました。
そして、その著者の語りを通して、紹介されている本にも興味を持てる所が本書の凄い所だと思います。
読んでいる自分と似ている様に見えながらも、圧倒的に違うところ。
それは、自分自身を言葉を使って理解しようと試み、表現しているところだと思います。
紹介されている本は純文学と呼ばれている作品を中心に多彩な本が選ばれていました。
若い子も読むフリーペーパーという出自から読書の入口になるような本をとセレクトされた本が並び、読みたいと思う作品も沢山ありました。
しかし、それよりも又吉直樹という人間を綴った作品として印象に残るのが本作になります。
自分語りと本の紹介を両立させたエッセイとしてとても面白かったです。
本書で紹介された本で読みたい本の自分用覚書
宮本輝『蛍川・泥の河』
玄侑宗久『中陰の花』
乾くるみ『イニシエーション・ラブ』
穂村弘『世界音痴』
関口良雄『昔日の客』
青木淳悟『四十日と四十夜のメルヘン』
島田荘司『異邦の騎士(改訂完全版)』
安倍公房『友達』