
マーガレット・ラザフォード主演ミス・マープルシリーズ2『寄宿舎の殺人』(1963)紹介と感想
あらすじ
募金活動で家々を回っているマープルとストリンガー。
二人は偏屈で有名な金持ち・エンダビーの家を訪れると、当主のエンダビーが階段から転げ落ちる現場を目撃する。
エンダビー氏は亡くなり、側には土の塊が落ちていた。屋敷の奥から物音がするためマープルが確認へ行くと、エンダビー氏が死ぬほど嫌いな猫が飛び出してくる。
マープルは早速クラドック警部補へ相談へ行くが、真剣に取り合ってもらえない。
泥の塊はあぶみがねの跡だと検討をつけたマープルは、泥の塊と同じ形の石膏の塊を作り、ストリンガーと一緒に捜査を開始する。
調査中、マープルはエンダビー氏の遺言書が読まれる場面を目撃、妹のコーラが「だって、彼は殺されたんでしょ?」と口にするのを耳にする。
発言の直後、家に帰ったコーラも殺され、マープルは親戚一同が滞在するギャロップ・ホテルへと乗り込んでいく。
紹介と感想
個人的にはシリーズの特色も出しながら、一番バランスよく楽しめたと思う作品です。
犯人周りの設定以外はほぼオリジナルです。時間が短くサクサクとテンポよく進んでいきます。そのため、重要場面のマープルの覗き見率の高さは異常で、殺されなかったのが不思議なくらいです。
マープルの様々な衣装替えも楽しいシリーズですが、今回は乗馬服を身にまとい馬を乗り回します。なんと、若い頃は乗馬をしていて、その筋では有名だったのです。
ヘクターとのコンビも魅力ですが、やはりストリンガーがとのコンビが最高です。二人で密談するために、華麗なダンスを魅せてくれます。
犯人は、原作以上に殺しを重ねる恐ろしい人物でした。
最後は、警察や医者を巻き込んで犯人へ命がけの罠をしかけます。正義の使者マープルの前では、どんな悪事も隠してはおけないのです。
「若い頃 乗馬してましたの。1910年、シルバー・スパーズ、ブルックブルック……」
「1910年、シルバー・スパーズ、ブルックブルック…ミス・JTV・マープル? 私たちがずっと近所に住んでたなんて」
映画概要
ミス・マープル/寄宿舎の殺人 Murder at the Gallop(1963)
原作:アガサ・クリスティー『葬儀を終えて』(1953)
監督:ジョージ・ポロック
脚本:ジェームズ・キャベノー
時間:81分
ジェーン・マープル/マーガレット・ラザフォード
ジム・ストリンガー氏/ストリンガー・デイヴィス
クラドック警部補/チャールズ・ティングウェル
ヘクター・エンダビー/ロバート・モーレイ
ミス・ミルクレスト/フローラ・ロブソン
ジョージ/ロバート・アーカート
ロザムンド・シェーン/カティア・ダグラス
マイケル・シェーン/ジェームズ・ヴィリアーズ
同一原作の映像化
デビッド・スーシェ主演・名探偵ポワロ
第10シリーズ・第3話『葬儀を終えて』(2006)
スーシェ版は、肉付けは原作からかなり変更していますが、ミステリー部分は原作に比較的忠実なため、不思議な視聴感になりますが、これはこれで面白かったです。
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