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【メモ】離婚後単独親権違憲訴訟

判決

(判決抜粋)
1 主文
原告の請求を棄却する。
2 理由
(憲法13条違反について)
親の子に対する親権は,憲法13条が保障する基本的人権ではない。ただし、離婚後親が子に触れ合うことは人格的利益ではある。
(憲法14条、24条2項違反について)
離婚後共同親権制度を採用するかどうかは国会の立法裁量である。

子の連れ去りに関する言及(判決文P.17)

原告は、日本の国内法では父母の一方が他方の同意を得ずに子を連れ去ることが監護権を侵害する行為とされていないことを前提として、本件規定がハーグ条約の理念に違反と主張する。しかし、刑法224 条が規定する未成年者略取及び誘拐罪の行為主体として親権者が除外されていないし、裁判実務においても、父母の一方による他方の同意を得ない子の連れ去りが不法行為に該当するとして、損害賠償を認めた裁判例も存在することに照らせば、他方の同意を得ない親権者による子の連れ去りが国内法上違法と評価され得るから、原告の主張はその前提を欠く。

人格的利益に関する言及

親である父又は母による子の養育は,子にとってはもちろん,親にとっても,子に対する単なる養育義務の反射的な効果ではなく,独自の意義を有すものということができ,そのような意味で,子が親から養育を受け、又はこれをすることについてそれぞれ人格的な利益を有すということができる。しかし,これらの人格的な利益と親権との関係についてみると,これらの人格的な利益は,離婚に伴う親権者の指定によって親権を失い,子の監護及び教育をする権利等を失うことにより,当該人格的な利益が一定の範囲で制約され得ることになり,その範囲で親権の帰属及びその行使と関連するものの,親である父と母が離婚をし,その一方が親権者とされた場合であっても,他方の親(非親権者)と子の間も親子であるであることに変わりがなく,当該人格的な利益は,他方の親(非親権者)にとっても,子にとっても,当然に失われるものではなく,また,失われるべきものでもない。

作花先生のブログ、Twitterより

これまでの裁判所の面会交流の実務では,えてして「面会交流は子の権利であり,親の権利ではない」という認識に立った運用がされてきたように感じたが、それに対して東京地裁令和3年2月17日判決では,「親が子を養育することは,親にとっても人格的利益である」と明言した。
親子関係を「人格的利益」であると明言したことで、憲法14条1項や憲法24条2項の法の下の平等の主張ができる。最高裁は人格的利益であれば基本的人権でなくても平等違反となると判示している。(夫婦別姓訴訟の最高裁大法廷平成27年12月16日判決)
憲法規定は私人間にも間接的に適用されるので、人格的利益の不平等であることは、国に対してだけでなく、私人間である夫婦間や元夫婦間でも主張ができることになる。民法709条の「他人の権利または法律上保護される利益」の規定に、憲法上の人格的利益が適用される。
面会交流の拒否は親子(別居親)の人格的利益を侵害する行為である。
連れ去りもは親子(別居親)の人格的利益を侵害する行為である。



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