#9 母子保健って?-乳幼児健診(1歳半児健診・3歳児健診)
乳幼児健診は、保健所や保健センターなどの公的機関で実施される、乳幼児とその家族を対象とした健診です。
健診時期・費用・形式は、自治体によって異なりますが、
私の所属している自治体では、
無料で
4ヶ月児・1歳半児・3歳児の時期に
医師の診察、保健師・栄養士・歯科衛生士・心理士などの専門職による相談・情報提供
を行っています。
前回は、そのうちの1つ、4ヶ月児健診について
お話しました。
ここでは、1歳半児健診、3歳児健診についてお話します。
さてさて、みなさん、
4ヶ月児健診の後に、1歳半児健診まで、1年以上も健診ないの??
って思いませんでしたか?
初めての育児で生後4ヶ月児の健診のあと、1年以上も何も健診の場がないと、不安だなぁと私は思います。
自治体により、補助金や委託金がでる範囲が異なりますが、
私の所属する自治体では、
生後6-7ヶ月、9-10ヶ月児健診があり、
これは近くのクリニック(かかりつけ医など)で受けられる健診です。
また、赤ちゃんは、生後2ヶ月児から、毎月のように予防接種を受けます。
(定期接種は、自治体からの補助で無料になります。任意接種は、補助がないため、自費になります。)
定期接種:Hib、肺炎球菌、DPT-IPV、B型肝炎、BCG、MR、水痘、日本脳炎、など
任意接種:ロタウイルス、おたふく、インフルエンザ、など
この予防接種受ける病院とかかりつけ病院が同じで、そこで生後6-7ヶ月、9-10ヶ月健診を受けることが多いです。
(そうすると発熱など、何か異変があったときに、今までの経過があると、診てもらいやすいですよね。)
前の記事での説明を合わせると、出生後は
1ヶ月児健診
新生児訪問
4ヶ月児健診
6-7ヶ月児健診
9-10ヶ月児健診
と定期的に、
病院や保健所で、
児の発育発達・保護者の不安などのチェックができる環境があります。
そんなこんなで、
1歳半児健診、3歳児健診
です。
ここでも、他の健診と同じく、
子どもの身体的な発育発達のチェックや保護者・養育者の不安事への対応をしています。
この年月齢の健診で特徴的なのは、
子どもの情緒面の発達を確認し、
必要時、支援につなげると言ったところでしょうか。
1歳半健診では
★指差しができるかどうか(下のイラストのように)
★単語(名詞)が3つ以上言えるか
★小さい積み木を掴んで詰めるか
そして3歳児健診では、
★名前(姓名)が言えるか
★物の大小がわかるか
などを確認します。
もちろん、緊張したり人見知りで泣いてしまい、チェックができない子どももいるので、その場合は、ママにお家や保育園での様子を教えてもらい、判断します。
そして
・保健師や医師が子どもの発達が気になった場合
・保護者が子どもの発達を心配している場合
に、その場でできる臨床心理士との相談場所を案内します。
「発達が気になる」
「発達が心配」
には様々な内容があります。
例えば
・発語が遅い(1歳半になるが、1つも名詞が話せない)
・多動傾向にある
・自閉傾向にある(他児に全く興味を持たず、ずっと一人で遊んでいる、目が合わない)
などなど・・・
「〜〜傾向にある」
というのは、人によって捉え方が様々で
なかなか判断の難しいことです💭
近年
「発達障害」
という言葉をよく聞いたり見たりしませんか?
発達障害にも、
アスペルガー症候群
自閉症
ADHD
LD
など様々な種類があり、
これを診断するには、ある一定の年齢以上にならなければ難しいと言われています。
(子どもはまだ全体的な能力が備わっていないため、どの能力が欠如しているか判断しにくい)
そんな状況の中でよく出てきて保護者を困らせるワードがこれ
「発達障害のグレーゾーン」
発達障害の条件に当てはまりそう、その傾向がありそうだけど、現時点では判断できない、ということなんですね。
ここで大事なのが、
「今後の関わり方、周りの環境によって、子どもはキャッチアップする可能性がある!!」
という言葉も同時に含まれているということなんです。
その可能性を逃さないために、
1歳半児健診、3歳児健診
という場で、子どもの発達を確認し、子どもに必要と思われる関わり方、接し方を一緒に考え、提示します。
発語が少ない子には、
「あ!」と指差しする物に対して、
「そうだね、ワンワンいたね!」
と子どもの言いたい言葉を大人が代弁してあげます。
耳で聴いて覚えていくのです。
こだわりが強い(同じ服しか着たがらない、同じおもちゃでしか遊ばないなど)子であれば、その特徴を保護者や周りの大人が認識し、接し方を考えていきます。特徴をわかってあげることは、その子どもへの関わり方を考えるきっかけになるので、大切なことです。
「ネコちゃんの服がいい!」というのに、違う服を着せて、ずっと泣いていると子どもも大人も疲れてしまいます😓
このような形で、
健診での相談の後は、定期的に臨床心理士に相談できるような形をとったり、
必要時、療育施設(発達の相談専門機関)へ繋いだりします。
スムーズに、健診から、心理士への相談に結びつき、子どもへの関わり方を大人が習得することで、子どもの能力を伸ばすことができる場合も少なくありません。
年齢とともに、こだわりや多動などの特徴が治まってくることもあります。
急ですが
保健師として、精神疾患を抱える方への支援をしていると思います、
統合失調症やうつ病などの病気の元々の原因が「発達障害」やその傾向(グレーゾーン)にあるということ。
例えば
「一つのことに集中できない、すぐ気が散って別のことが気になり、うろうろしてしまう」
↓
「仕事が進まず、上司や同僚から怒られるが、改善せず、怒られる」を繰り返す
↓
うつ病発症
という具合です。
もし、子どものころに、特徴をわかっていて、それを大人になるまでに、伝えてもらっていたら、、、
自分にそういう特徴があるとわかっていれば、それに合う仕事に就いたかもしれない、、、
だから、健診など専門職が客観視してくれる場は、とても大切なんです。
中には心理相談を勧めても、「全然心配してませんから😡」と拒否される時もあります。
そういう場合は、「困ったら連絡下さいね😔」というしかなく、日々心苦しさも感じています。
一方、心配or対応に困っているけど、兄弟が生まれたばかりで、定期的に相談にくるのが難しい!
というパターンもあります
この場合は、相談の時だけ付き添ってくれるヘルパーさんの利用ができるように手続きをとったり、など、色んな方法を考えて支援します。
さてさて、
1歳半児健診、3歳児健診の話から、
「発達障害」
の話になるとは思いませんでしたね📝
インターネットで何でも調べられて
様々な情報を習得できる今、
「発達障害」
というワードがひとり歩きするのはとても怖いことです。
ひとは皆、人間である以上、一人ひとりが特徴を持っています。
その特徴が対人が必要な、集団・社会に出た時に、どう作用するか、
特徴があるからって、全部が全部悪い方に作用するとは思えません。
何か一つ能力に長けていれば、それを生かせる、
つまり、その特徴を生かせる、合った環境が適切ですよね!
ちなみに、筆者は
・他者と関わる中で物事が計画通りにいかないとイラつく
・自分の行動で相手がどう思うかを考えすぎて辛くなる
という特徴があります😅
その特徴を自分でわかっているので、
「あ、私今怒ってる!」
「あ、このままだと辛くなる!」
と考えて、友達に相談したり、吐き出す場を作ったり、と対応します。
特徴っていっても、こういうものなのです。これが自分や周りの環境によってコントロールできるかどうか。
だから、その環境を一緒に考えるきっかけとして、「相談する」というのは、決して悪いことではないのです。
相談の機会として
この健診以外にも、就学前健診や、小学校、中学校、高校在学中もあります。
ただ、これは、学校が担う分野なので、今回は、保健所が担う、1歳半児健診、
3歳半児健診について述べました!
ということで、今回はここまで!👋
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