「内なる声」に目覚めると人生が変わる
あなたは自分の「内なる声」を聴いたことがありますか。
それを耳にすると、人生が大きく変わります。
「自分の中の声だったら毎日聞いてるよ、お腹すいたとか、うざったいとか、会社行きたくないとか、なんで俺ばっかりこんな目に合うんだとか、でも人生なんて変わらないよ」
と言う声が聞こえてきそうですが、私の言っている「内なる声」とはこうした表面的な声ではありません。その「内なる声」は「恐れ」の背後から聞こえてくる声です。
では、「恐れ」とは何でしょうか、これは、外側から何らかの脅威を与えられた時に感じる「恐れ」とはちょっと違います。外側から身体的に驚異を与えられたり、自分の価値観にチャレンジを与えてくることに対する恐怖は、動物的であり、多くの場合、「闘争」か、「逃走」か、「死んだフリ」のいずれかの反応行動をとるようです。
また、「内なる声」は、自分のメンタルモデルから発する回避行動とも違います。例えば、私のような「一人ぼっちモデル」の場合、「どうせ私は一人ぼっちなんだ」「だれも俺のことなんか気にしちゃいない」のような声に耳を傾けることでもなく、「愛なしモデル」の場合は、「どうせどんなに尽くしても私は愛されていないんだ」と言う声に耳を傾けることでもなく、「価値なしモデル」の場合は、「私には生きている価値がないんだ」と言う声に耳を傾けることではなく、「欠損欠乏モデル」の場合は、「私には何かが欠けている。私は不十分な存在だ」と言う声に耳を傾けることでもありません。
実は、「恐れ」には2種類あります。1つは、上記で触れたような、外側からの脅威に対して感じる恐れや内側のメンタルモデルが抱えている痛みや恐怖です。そして、もう一つは、そうした恐れの背後にある別次元の恐れです。
人生を変える「内なる声」は、たいていは私たちの第一の「恐れ」の背後にあります。通常は「恐れ」を感じて、なかなか聞こえませんが、「恐れ」の背後にアクセスすることができると、その声が聞こえてくるのです。
第一の恐れの背景にある第二の恐れを理解するために、私がよく引用するネルソン•マンデラさんの言葉をここでもご紹介したいと思います。マンデラさんは、第一の恐れの背景にある私たちの本当の恐れの正体について述べています。
「我々が最も恐れているもの、それは自分が無力だということではない。
我々が最も恐れているもの、それは自分には計り知れない力がある、ということだ。」
つまり、私たちが本当に恐れているのは、自分の無力さや闇ではなく、他者からの脅威ではなく、メンタルモデルごとに感じている痛みでもなく、そうしたものの裏に隠れている、自分が持っている計り知れない力であり、命が自分を通して表現したがっている光に対する恐怖なのです。
「なんとなくわかるけど、ちょっと抽象的だな。もっとわかりやすい例はないかな」
と言う声も聞こえてきそうなので、以下の事例をご紹介しましょう。
それは、最近TED Talks Dailyで紹介された。教師の物語です。
Lisa Godwin: How teachers can help students navigate trauma
https://youtu.be/Dfmx-KRnKyE
要約すると、以下のような感じになります。リサさんは、子供の頃から性的虐待を受けていました。周囲の誰にも言えず、長い間恐怖を感じ、そのことで苦しんでいました。そして、学校に行く年齢になった時、彼女はそこで生涯の恩師と出会います。そして、素晴らしいカウンセラーとも出会います。この2人の粘り強い愛のこもった働きかけによって、彼女は自分の中にあるストーリーを少しずつ語り出し、やがて、自分の「内なる声」を発見したのです。
彼女の「内なる声」は、自分に虐待を加えた相手の前でもひるむことなく表現され、それをきっかけに虐待がストップしたそうです。
長い間体験してきた計り知れない虐待の恐怖の背後にある本当の「内なる声」に目覚めた時、その真実の声は、恐怖を突き抜けて表現され、現実を変えることができたのでした。
彼女はその後も自分の「内なる声」に従って、教師になり、子供たちだけでなく、世界中の教師たちの「内なる声」を発見するための活動を続けているのです。
彼女は特別な才能を持ったスーパーウーマンではありません。「内なる声」に目覚めて、その声に従って生きているだけです。にもかかわらず、彼女は計り知れない多くの人々の「内なる声」を目覚めさせて現実世界を変容させているのです。
これは、スティーブンアールコビー氏の「第8の習慣」だと思いました。「第8の習慣」とは「自分のボイス(内面の声)を自らが見出し、それぞれが自分のボイスを発見できるよう人を奮起させる習慣」です。
第8の習慣の詳しい内容は、本に譲りますが、リサさんが紹介している事は、周囲の大人が、子供のストーリーに愛を持って粘り強く耳を傾けることだとしています。どんな子供にもストーリーがあります。たいていの大人は、「ああ、またあの話か」と勝手に決めつけて、最初から聞かなかったり、聞いてもうわの空で聞いていたりすることが多いのかもしれません。リサさんは、決して決めつけることなく、耳を傾けてほしいと言っています。
さらに、先程のネルソン•マンデラさんの言葉を借りれば、自らが「内なる声」に従って生きることが、他者の「内なる声」を目覚めさせることに通じることが見えてきます。まさしくリサさんの生き方です。
「我々が自らの内にある光を輝かせる時、無意識のうちに、他者を輝かせることができるのだ」(ネルソンマンデラ)
皆さんもご存じのように、ネルソンマンデラさんは、長い間投獄生活を体験してきました。その中で、様々な心身の「痛み」や「恐怖」を感じたことでしょう。しかし、ネルソンマンデラさんもそうした恐怖を、愛と感謝に昇華させ、その裏にある「内なる声」を発見し、それに沿った生き方を最大限にしたので、アパルトヘイトを廃止させると言う現実の変容を引き起こし、世界中の人々に多くの感動を与えたのだと思います。
あなたの最も恐れている、あなたの「計り知れない力」とは何ですか。
そして、その「計り知れない力」からどんな「内なる声」が聞こえてきますか。あなたの「内なる声」が表現したがっている物語を現実の世界に創造してみませんか。
ちなみに、私が2日前に聞いた「内なる声」は、「対立するのはつながっているから」でした。
オーストラリアより愛と感謝を込めて。
野中恒宏