コント台本『レベル上げ』
実況者(男)
YouTubeにてゲーム実況動画をあげている。あまり伸びていない。
魔王(男)
RPGゲームのラスボス。現実世界になんやかんやで出てきた。
勇者(男)
昔は優しかった。
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ゲーム画面が映っていてワイプで実況者の顔が映っている
実況者「さて、今日もゲームしていきます!あとはラスボスの魔王倒すだけなんだけどさぁ、倒せるか心配で必要以上にレベル上げしちゃうんすよねぇ。
もうレベル上げだけで1ヶ月くらいやっちゃってるよ(笑)」
実況者、しばらくゲームする
頃合いで魔王が現れて実況者に掴みかかる
魔王「おいお前!」
実況者「え?なになになになに。だれだれだれだれ!?」
ワイプが大きくなってメインになる
魔王「これ見ろ。魔王だ。」
実況者「魔王?!どういう事…?」
魔王「お前な。ちょっと遅くない?」
実況者「へ?」
魔王「お前いつまでレベル上げしてんだよ。人ん家の周りでグルグルグルグルと。」
実況者「え?あ、ゲームのラスボスの魔王…?」
魔王「だからさっきっからそう言ってんだろうがよ!」
実況者「え?なんで?ゲームの魔王が?今ここにいるんすか?え?どゆこと??」
魔王「それはもう色々あってかくかくしかじか魔王の力とかゲームの仕様とかでなんやかんやここに来たんだよ。」
実況者「全然分かんないっすけど。(笑)」
魔王「それにしてもお前なぁ、ずぅっとレベル上げなんてしてんじゃないよ。お前、これから俺を倒そうとしてる奴がずぅっと自分ん家の周りで魔物を殺してるのを見てるこっちの身にもなれよ!こえぇよ!」
実況者「なんか思ってた魔王と全然キャラ違う。レベルとか言うんすね。(笑) あー、いやでも…心配で。」
魔王「心配ぃ?」
実況者「はい…、やっぱり魔王に負けたくないじゃないですか。だから難なく倒せる様になるまでずっとレベル上げしちゃうんですよねぇ。」
魔王「倒せます。」
実況者「へ?」
魔王「はっきり言ってもう余裕です。俺なんかもう全く歯が立ちません。」
実況者「威厳のない魔王っすね。」
魔王「お前さ、ちゃんと勇者の姿見てる?見てないよね?見た方が良いよ。」
実況者「勇者の姿?」
魔王「ほら、メニュー画面から勇者のステータス見れるから見てみ。」
実況者「ホントに魔王?なんかもう発言が開発者とかその辺なんだけど。」
魔王「いいから!見てみろ!」
実況者「はぁ…。」
実況者、メニューを開いてステータスを見る。すると画面に目がうつろで魂が抜けた様な勇者が映る
実況者「え?これ勇者?!」
勇者「ゼッタイ、マオウ、コロス。スライムガイッピキ、スライムガニヒキ…。ヘヘヘヘ…。」
魔王「ほら、やばいだろ?」
実況者「なんでこんな事になってんの?!」
魔王「お前がレベル上げばっかさせるからだよ!考えても見ろ。この勇者は昼夜問わず来る日も来る日も魔物を大量虐殺させられてるんだぞ。そりゃこんな風にもなる。」
実況者「なんかごめん…。」
魔王「毎日毎日、人ん家の周りで魔物を大量虐殺して、世界を救うはずの勇者の精神をこんなにまでして、これじゃ俺とお前どっちが魔王か分かったもんじゃないな!」
実況者「ただレベル上げしててこんな事言われんの?…もう、分かりましたよ。ずっとレベル上げなんてしてすみませんでした!…じゃあお望み通り。魔王に倒しに行きますよ!」
勇者「マオウ、コナゴナニ、スル」
魔王「それはやだよ。」
実況者「へ?」
魔王「あんなのと戦ったら俺は倒されるだけじゃなく粉々の肉片になるまでぐちゃぐちゃに身体を引き裂かれるだろうね。想像しただけでちびっちゃいそうだよ。だからお願い!倒しに来ないで。」
実況者「何を言ってんすか?(笑)」
魔王「俺はね、今日はそれを伝えに来たの。あんなのとは死んでも戦いたくないので絶対に俺に挑みに来ないで下さいって。」
実況者「誰がこの人魔王に選んだんすか。(笑) やですよ!僕だってこのゲームクリアしたいですもん!」
魔王「うん、大丈夫。クリアにしとくから。」
実況者「へ?」
魔王「俺を倒さなくても、クリアって事にしとくよって事!ちゃんと真のエンディングも見せてあげるから。魔王の力でそんくらい出来んだからぁ~魔王ナメんなっ☆」
実況者「はぁ。」
魔王「うん、じゃあそういう事だから!二週目はせいぜいちょうど良いレベルで挑んでくるんだぞ!じゃあな!」
魔王、消える
実況者「あ、ちょっ。なんだったんだあの魔王。ん?あれ?うわ。ホントにエンディング流れてる!」
画面にスタッフロールが流れる
実況者「いや、クソゲーだったな。」
おしまい
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