推薦コメント #7『ソクラテスの弁明』によせて
次回公演 # 7『ソクラテスの弁明』によせて、3名の方々より推薦コメントをいただきました。
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劇作家 川津 羊太郎さま
創作者の資質のひとつに、時代の嗅覚というのがあります。炭鉱のカナリアが炭鉱夫より先にガスの漏出を察知するように、時代を“嗅ぐ”という感性。そこに、紀元前のギリシアで著された『ソクラテスの弁明』をなぜ、今、 上演するのか? という問いの答えがある気がします。
で、もしその直観が正しいのなら、きっとこれは、訪れつつある時代への、ささやかな予行演習なのです。
VTS(ビジュアルシンキングストラテジーズ)モデレーター 雜賀 元樹さま
日常を壊してくれる体験はないか。
よくこんなことを考えている。
毎日予定調和の中で過ごしていると、多くの当たり前に囲まれて、いつのまにか創造力を失っていく感覚がある。
そんな時、僕はアートにどっぷり浸かり、予定調和の世界から抜け出す。
Mr.daydreamerの作品を見た時もそうだった。
表現される空間も言葉も、その多くが手垢のついていない真っ新な体験だった。
その後に、生まれる余白と問い。
この体験が僕にとって、新たな創造力の源泉になる。
本作は、全く未知の世界の話だ、古代ギリシアでのソクラテスの裁判。
非日常でしかない。
自分の中にどんな問いが生まれるのか、非常に楽しみな作品だ。
ぜひMr.daydreamerが創る世界を体験してみてもらいたい。
MMST代表、舞台演出家 百瀬 友秀さま
「ソクラテスの弁明」を上演すると聞いてまず気になるのは、著者であるプラトンに着目するのか、それともソクラテスか、という創作の構えについてです。
ソクラテス自身がテキストを残していない以上、プラトンが残した文献から始める他ありません。それらが西洋哲学の起源となってきたことに疑いの余地はありませんが、ソクラテス自身については再考の余地があるのではないでしょうか。今こそソクラテスを発見できるか。私自身はそこに強い興味を抱いています。
いずれにせよ、哲学史の起源とも言える題材に現代の若者が正面から取り組む、という心意気は大いに評価したい。哲人との対話を盛大に深め、現代の「ソクラテスの弁明」をみせてくれることを期待します。