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「天気の子」誰にとってのハッピーエンドを望むのか。


※注意:この記事にはネタバレも含みます。かつ、個人的な感想です。


新海誠監督の「天気の子」を観てきた。

賛否が分かれる作品と聞いていたが、「なるほどねー」といった感じ。


でも、昔からの新海監督ファンからすれば

新海誠“らしさ”が出ていて嬉しかった。

個人的に前作の「君の名は。」の結末は美しすぎて

自分の中にある新海誠ワールドと若干のズレを感じていた。

※もちろん素晴らしい作品だし、映画館で泣きました(笑)


映画って、観た後に「何が残るか」がすごく大切だと思っていて

「天気の子」はそれがしっかりズッシリとあったように思う。


今作の特徴として挙げられるのは、

都合のいい美しさを無くしていること。※ビジュアル的な意味ではなく


舞台になっている都内のアングラ感。

主人公とヒロインたちの境遇。

登場する警察官たちの対応。

などなど、世の中にある理不尽さやリアルをちゃんと描いている。


そしてこの、「都合のよさの排除」こそ物語の核になっていると思う。


「天気の子」のストーリーを簡単に言うと

「少女が犠牲になれば世界は救われる。少年はその運命に立ち向かう。」

みたいな感じ。


そして、お約束は「少女も世界も救えちゃった」結末。

前作の「君の名は。」はこのタイプかな。


そうじゃ無いのが今作「天気の子」

「そんな都合のいいこと認めませんよ」と。


犠牲の無い選択など都合が良すぎる。

現実の世界は選択の連続で、いつだってリスクが伴う。


「何に従い、何を選ぶか」で世界は決まる。


そして主人公は

己の心に従い、世界ではなく愛を選んだ。


恋する少年にとって、世界の運命なんてどうでいもいい。

愛より優先されることは無い。

たとえ世界を犠牲にしても、愛する少女を助ける。

幼く純粋な愛をちゃんと描いているなと思った。



好きな人さえいれば、どんな世界も晴れてるよう感じられる。

恋ってそういうもんだ。



世界の理不尽は、己の選択でぶっ壊せる。

愛にできることがあった。



もし自分が主人公と同じ境遇だったら、どうするだろうか。

ここを考えるのは重要かも。

ちなみに僕は主人公と同じ選択するだろう。


あと、この作品は結末の捉え方もポイントかなーと。

それが記事のタイトル「誰にとってのハッピーエンドを望むのか」


「天気の子」の結末に、

世界全体にとってのハッピーエンドを望むのか、

2人の少年少女にとってのハッピーエンドを望むのか。

それによって印象はだいぶ違うのではないだろうか。


この余韻の残し方が、まさに新海ワールドだと個人的に思っている。

主人公の気持ちになり、物語をどう捉え、どう消化していくかを

委ねている感じが好きなのだ。


「秒速5センチメートル」がその代表例かも。※新海作品の中で一番好き。


いずれにしても、「天気の子」は個人的に満足いく作品でした。

各登場人物のバックボーンに対して説明不足は否めないけど、

そこを自分たちの想像力で埋めるのが1つの楽しみだと思う。



余談だけど、

主人公が世界ではなく、好きな女の子を救う。っていう設定が

エヴァンゲリオン破の覚醒シンジ君とすごく重なる。


以下エヴァの台詞。


ミサトさん「行きなさいシンジ君!誰かの為じゃない!あなた自身の願いの為に!」

シンジ君「僕がどうなったっていい。世界がどうなったっていい。だけど綾波は、せめて綾波だけは絶対に助ける!」


このシーンは胸アツでしたねー。

まぁ結局その代償は大きく、世界が真っ赤になっちゃうんですがね。

そのあたりも、重なりますね。

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