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シンヤマンとの出会い
チョコレートピエロとしての顔が広く知られているかな。
僕の30代の印象は尾道での生活であり、その、チョコレートピエロとしての活動だろう。
2011年3月11日の出来事がきっかけで、僕の人生は大きく変化したのだが『東京から尾道に引越しをする』という出来事に加えて『USHIO CHOCOLATLを立ち上げる』というのが、この人生においての大きな財産となっている。
2011年12月24日、尾道に住み出して、1ヶ月くらいだろうか。
クリスマスムードの街を、トナカイの格好で独り歩いていた僕は(路上で似顔絵缶バッチ『アツカン』というのを作って販売していた)喉が乾いて、やまねこカフェを訪ねた。
やまねこカフェは、素敵な雰囲気のカフェで、何を食べても美味しいお店。
夕方、カウンターでビールを注文しサンタの愚痴を言うトナカイ。
挙句、背中が日中の行脚で破れてしまっていたので
「安全ピンか何かありませんか?」と話しかけてくるトナカイ。
こうして改めて文字にして思えば、通報されてもおかしくないと背筋が凍ったが、通報されることはなく。
当時ロン毛で三つ編みだったやまねこの店員シンヤマンは、どこからか安全ピンを取り出し、僕にくれた。
それが出会い。
その後、僕は、やまねこの居心地の良さに一方的に甘え、何かにつけてやまねこに行き愚痴をこぼし、閉店後にも関わらず呑ませてもらったり、少しだけ映画や音楽の話をして帰る。
「二度と来るなよ」
何度言われたかわからないし、鈍感な僕は、その言葉が本心だったことも気づかず過ごしていた。
あの頃、僕ばかりはしゃいでてごめんなさい。
2013年の秋、そう、ちょうど今ぐらいの季節(8年前か)。
やまねこのみんなで行った稲刈りで、顔を合わせたシンヤマンから衝撃の誘いを受ける。
「一緒にチョコレート作らん?」
「作らん」と答えた。
だってチョコレートに興味なかったんだもん。
あと、その時、就活中で、いわゆる『安定した職業』に就きたかったんだもん。
唐突で得体の知れない、太陽を浴びると溶けてしまうようなチョコレートの舟には乗れないと思ったのだ。
さて、じゃあ、僕は僕の望む『安定した職業』に就職できたのか。
答えは、否!
たくさん受けたけど、否!
ゲーヒーも剃って、スーツーを来て、ネーコゼーを隠し、受けたけど、否!
僕の周りの連中は、この結果、わかってたらしいけど「なんでやねん」!
肩を落とし、猫背に磨きがかかる僕。
やまねこで愚痴を言いながらビールを呑むしかできない僕。
そんな僕に、また声がかかる。
「チョコレート買ったけん、一緒に食べるばい」
酒が好きな僕は、当時チョコに魅力を感じていなかったが、二次面接のために空けていたスケジュールは空白のままだったので、その空白を埋めるべく、口寂しさを誤魔化すように、後日シンヤマンの買ってきたチョコレートを食べる会に行った。
青天の霹靂!
「これを作ろうと言っているのか」今まで味わったことのない「うまさ」「おもしろさ」のあるチョコレートだった。
食べ物を食べて「おもしろい」と感じるなんて!
そのチョコレートはカカオ豆と砂糖だけで作られていて(世の中に広く出回っているものには色々なものが添加されているよ)、カカオ豆の産地によって味わいが違うチョコレートだった(シングルオリジンのコーヒーみたいな世界だね)。
ここまで脳天直撃するのは、セガサターン以来だ!
当時、深夜漫画・・・シンヤマンが買ってきたのが『ダンデライオンチョコレート』『マストブラザーズチョコレート』のチョコレートで、海外にしかなかったので取り寄せに時間が掛かったのだが、ひと口食べて、僕の世界は広がった。
「これならやりたい」「売れる!」そう思った。30歳を越えてしばらく過ごし、世間を知ったつもりで斜に構え、ワクワクする気持ち、もうないかなと思っていたので『安定した職業』を求めていたんだろう、でも、世間での価値観を遥かに凌駕するワクワクがそこにあった。
このチョコレートなら友人や恋人にも定価で買ってもらう価値がある、だから売れる(売ることができる)し、もっと多くの人に(僕のような肯定概念がちがちの人にも)、僕のような体験をしてもらって、ぶっ壊していきたい。
この出会いがなければ、ピエロパレードも勿論はじまっていないし、30代のおもしろ体験はどうなっていたろうと想像しない日はない。
シンヤマンには感謝してもしきれないので、感謝しなくていいかと。
そして、その場を共に過ごした、やっさんと共に2014年、チョコレート作りがはじまるのだが、今回はここまで。
ちなみに、ここまで葛藤した僕に対し、やっさんはシンヤマンに「3人でやろう」と誘われて「うん、いいよ」の2つ返事だった。
その器のデカさ、天才さにはいつも驚きしかない。
その度に、僕は自分の小ささを痛感するのであった。
USHIO CHOCOLATL のチョコレートも取り扱っています。
より多くの人に僕のような体験をして欲しい、そんな想いでピエロパレードやっています。
https://piepara.base.shop