糖尿病ってどんな病気?〜医学生が教える身近な医学〜 ①1型糖尿病
こんにちは🐱
「糖尿病」という病気の名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか.現在の日本は糖尿病の罹患者が非常に多く,糖尿病と診断された人だけでなく,糖尿病の可能性を否定できない人まで含めると2000万人以上もの人が該当するそうです.そんな身近な糖尿病について,医学生である私がわかりやすく,また誤解されやすい点も含めてお伝えできればと思います.医学に興味のある方はもちろん,医師国家試験に出題されるような内容にも触れているので,医学部の低学年の医学生や医療従事者の方もお読みいただけると嬉しいです.専門用語については医学生は覚えておくと良いと思います.
糖尿病とはどういう病気なのでしょうか.
糖尿病は,『インスリンが分泌されなくなる,または分泌されるが効きにくくなる(インスリン抵抗性亢進)などのインスリン作用不足によって,細胞に糖が正常に取り込めなくなり,細胞が飢餓状態に陥る病気,また慢性の高血糖となる病気』です.
病気の理解のために,まずはいきなり登場した「インスリン」について説明します.名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか.インスリンというのは増殖(成長)作用をもつホルモンです.またカタカナが出てきてしまいました.ホルモンというのは,(簡単に言うと)体の中の内分泌器官というところで作られ,血中に放出されます.血中に放出されたホルモンは血流に乗り,標的となる細胞(標的臓器)に到達し,そこで決まった作用をします.
この,ホルモンの一種であるインスリンは,膵臓のβ細胞というところで作られたあとに血液中に放出されて流れていき,各細胞が糖を取り込むように作用します.細胞はインスリンの働きによって取り込まれたこの糖をエネルギーとして,様々な活動を行ったり成長したりするので上でインスリンを増殖ホルモンと説明したのです.糖尿病は高血糖というイメージがあると思いますが,インスリンが作用できないため,血中から細胞に糖が取り込まれず高血糖になるのです.また細胞は糖がないので飢餓状態になります.
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