「健康によい食習慣」の授業
こんにちは。中学校家庭科の授業実践をあげています。今回は「健康によい食習慣」の授業です。
基本的には1時間の授業を、フラッシュカード→教科書の音読・問題→主活動の流れで行っています。ここでは主活動のみを記録します。
【朝食の重要性】
今日、朝食食べてきた人は挙手(確認)
今日、朝食食べ損ねた人は挙手(確認)
朝食を食べなかった経験が1回でもある人は挙手(確認)
*朝食を食べてきた人に挙手した子ども達に「えらいね」などと声はかけない。それぞれの家庭の事情があるため、あくまでもさらっと。
全国の子ども達を調べたら、朝食を食べないことがある中学3年生は10人中1~2人いるそうです。
朝食を食べないとどうなりますか?
→お腹が空く、ぼーっとする、集中できない、やる気が出ない、など
*スクリーンに「①お腹が空いて力が出ない」「②集中できない」「③頭がぼーっとする」「④やる気がしない」「⑤イライラする」を提示
それぞれ、そうなると思いますか?ならないと思いますか?
予想で構いません。どちらかに挙手をします。
①なると思う人?ならないと思う人?(⑤まで確認。)
正解は、全部なります。
「力が出ない」とあります。全身の筋肉に命令を出すところはどこですか?
→脳
「集中できない」とあります。考える時に使うどころはどこですか?
→脳
「やる気がしない」とあります。気持ちを左右するのはどこですか?
→脳
どれも脳です。朝食と脳には関係があるようです。
(24時間の時計を提示)
朝食を7時、昼食を12時、夕食を19時にとるとします。
食事と間が一番空いているのは、どことどこの間ですか?
→夕食から朝食
夕食から朝食は、眠っている時間を入れておよそ12時間もあります。この間、体は休んでいますが、日中とほとんど変わらず働いてエネルギーを使っているところが2つあります。どことどこですか?
→脳と心臓
脳と心臓は休まずエネルギーを使っています。特に脳は心臓の2倍のエネルギーを使っているそうです。
食事をとると、肝臓にさまざまな養分を貯まります。しかし、脳のエネルギーになるのはそのうちブドウ糖と呼ばれる栄養素だけ。しかも、肝臓で作られたブドウ糖を脳は12時間で使い切ってしまいます。
朝食を食べないと肝臓のブドウ糖は空っぽ。すると脳は働けません。脳が止まったらどうなりますか?
→脳死
そうならないように、脳はアドレナリンという物資を出して、肝臓にブドウ糖を作るよう命令します。肝臓は筋肉からなんとかブドウ糖を作り出してしのぎますが、このアドレナリンは人を攻撃的にする物質です。イライラするというのは、このアドレナリンが出るからのようです。
(朝食と体温の関係を示したグラフを提示)
体温の変化を表したグラフです。朝食を食べた時と食べなかった時、どちらが温度が低いですか?
→食べなかった時
エネルギー不足では、体温も低いままです。体温が低いということは脳の温度も低いままになります。
脳は温度に敏感です。私たちが考えたり、体を動かしたりできるのは、脳細胞が電気信号を出し合っているからです。温度が低いと、脳細胞の反応は遅くなるのです。集中できない、ぼーっとする、力が出ないというのはこのためです。
*その他にも朝食の欠食により、「太る」「糖尿病になる」可能性も高まることを伝える。
また、朝食は学力にも関係してくると言われています。
(全国学力・学習状況調査 報告書 質問紙調査のグラフを提示)
毎日食べる人、たまに抜いてしまう人とでも、差があることが分かります。
ここまでの感想をどうぞ。
*列指名でテンポよく行う。
【自分の生活との関連】
食生活の改善に取り組むための具体的な目標として、国は「食生活指針」を策定しています。全部で10項目あります。
食事を楽しみましょう。
1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
適度な運動とバランスの良い食事で、適正体重の維持を。
主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
ごはんなどの穀類をしっかりと。
野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
食塩は控えめに、脂肪の質と量を考えて。
日本の食文化や地域の産物を活かし、郷土の味の継承を。
食料資源を大切に、無駄や廃棄の少ない食生活を。
「食」に関する理解を深め、食生活を見直してみましょう。
*提示して①〜⑩の番号をふる
この中で、自分はよくできている方だなと思うものに○、やや課題があるかもと思うものに△をつけなさい。
△をつけた項目の中から、一番課題だと思うものを1つ選んで、下線を引きなさい。
*挙手で確認する
課題を改善する方法を考えます。例えば、(挙手の多い項目)を改善するためにどんなことができますか?
*例示することを目的として、テンポよく列指名する。
自分の一番の課題を改善すために、自分にできることを3つ書きなさい。
*早い子から持って来させてチェックし、課題の項目と改善策を1つ黒板に書くよう指示する。
若い頃の食習慣は、その後の健康に大きく影響します。今日改善に向けて考えたことを1つでも実践していけるといいね。
*今日の授業の感想を書いて終了する。