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本を読んだ: 年収300万円の悪習慣 年収1000万円の良習慣 年収1億円の人のすごい習慣(金川顕教)
要約
富裕層に属する人は自発的かつ即座に行動する。また,自身が他者に与える印象や自身を取り巻く環境が極めて重要なものであることを自覚しているため,外見を整えたり置かれる環境を工夫したりすることを蔑ろにしない。
内容と全体の印象
著者の視点から年収の違いにおける人の特徴について,全部で45の観点でまとめられたものである。この45全てにおいて「年収300万円の人は〜」「年収1000万円の人は〜」「年収1億円の人は〜」と説明されている。内容に誤りがあると断定できるものではないのだが,あくまで著者の視点から見た一個人の意見でしかないという指摘を受ける可能性があると思われた。
特に印象に残った部分
「本を読んでも7%しかその著者の影響を受けることはできませんが、実際に会えば100%学ぶことができる。すなわち、14倍以上も学習効率が違う」(No.337/1837)
メラビアンの法則からこの話をしているが,話者の影響を受けたとしたらバイアスの影響も受けやすくなり,本質を見抜いたり要点を捉えたりすることへの弊害となる危険もあるのではないだろうか。そもそも,著者から受ける影響と本から得られる学びとを同列に扱ってよいのだろうか。
「年収300万円の人は、ジムに行けないので太る」(No. 887/1838)
これはcase 21のタイトル(の一部)であるため,極端な表現をしているだけだと思われた。しかしながら,この部分では「自分の見せ方として体型が重要である」と始まり「パフォーマンスを高めるために身体や脳のコンディションを整える」と続き「食事・睡眠・運動」の話となり「健康を意識すると食の好みにも変化が生じる」で締められている。タイトルと内容とに乖離があると思われた。タイトルが健康への意識といった点で書かれるとより適当だったのではないだろうか。
「ベッドに入ったら3秒で眠れます」(No. 937/1838)
睡眠の重要性について述べられていたが,ベッドに入って3秒で眠れるという著者はむしろ慢性的な睡眠不足なのではないだろうか。
「コーヒー1杯1500円としてもスタバとの差額は1000円くらいですよね」(No. 1133/1837)
経験にお金をかけることを述べており,この点には同意できるため,異議を唱えたいわけではないのだが,個人的にはこの表現から著者が1000円を軽視しているように感じられた。代替案としては「コーヒー1杯1500円として,スタバとの差額はおよそ1000円です」というものだろうか。
感想
初めに目次を読んで,一度この本を閉じた。なぜならば,目次が「年収300万円の人は〜」「年収1000万円の人は〜」「年収1億円の人は〜」で埋め尽くされており,この本は一個人の考えを列挙しただけのものに過ぎないのではないかという疑念を持ったためである。一方で,これは極端な表現で読者を惹きつけるためのもので,内容は理に適ったものであるのではないかという期待もあったため,再度本を開いた。しかしながら,残念なことに,大部分が一般化された話ではなく,あくまで著者自身の感覚で書かれたものであると感じられた。もちろん同意できる点もあるのだが,学術的知見を挙げているにも関わらずその出典が明記されていない点に加えて,大衆との金銭感覚のズレが見られる表現や,偏見だと思われる記述なども多々見られた。なお,書いてあることが誤りであると言いたいわけではなく,伝え方が自分語りの域を出ないと感じられたというものである。