【読書感想文】はじめてのゾンビ生活

 本屋さんで表紙と目が合って購入しました。ゾンビものが好きだったのもあって自我がある系ゾンビになった主人公目線で語られてく話かなとあらすじも何も読まずにタイトルと表紙で衝動買いです。

 異世界ファンタジーにまぎれてあったのでエロ系じゃないといいなぁと思って確認したら電撃文庫!
 おまえ電撃やったんか!?これが令和の電撃文庫か!?

 人間とゾンビの宇宙興亡千年史。自我があるゾンビではあるものの人間を食うために襲い掛かるなどの衝動はない。だからこそ起きる人間関係の変化や衝突なんかもとても面白かったです。
 ゾンビ系映画や漫画、小説などで見る「今回は走る系か」などいろんな設定を見ていたのですが、自我があって人間と同じ社会で生活するゾンビはとても新鮮でした。

 「西暦○○○○年、滅亡まで〇〇〇年」と滅亡までの歴史をその時生きる人々の視点で追っていきます。
 (ゾンビは生殖能力がないため)人類のゾンビ率が高くなったことでおこる「確実に起こる終末」への絶望もその時を一生懸命に生きる人たちは希望の大切さを教えてくれます。

 何気ないことだったり、選択の一つであっても後の歴史で「その瞬間が分岐点」だったというものが、短いエピソードたちに分けられて連続して続いていくので、すごいSF感があってよかったです。

 一つのエピソードたちはとても短いので、忙しくても少しずつ読み進めることができました。
 ゾンビになった方へ送る「はじめてのゾンビ生活」のパンフレットもとても面白かったです。

 挿絵などでモキュメンタリー感がありました。人々のドラマが歴史を紡いで、それが滅亡へ導いたものではあるのですが、その末にある世界の終わりとはじまりにとても希望を感じます。

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