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研究者に興味がある学部生に伝えたい!塾講師バイトが将来役に立つ!?

こちらの記事では

お金を稼ぐため「だけ」に塾講師をしている(しようとしている)
将来、研究職に興味がある

こういった大学生の皆さんに塾講師のメインの業務である「教える」ということについて研究職での「教える」という業務と比較しつつ深堀して解説します。

今回こちらの記事で解説する内容を意識して塾講師を経験すれば、将来、研究者になりたいという学生さんにとって、

塾講師業がただお金を稼ぐためだけの仕事「以上」のものになりうる

ということがご理解いただけるはずです。

塾講師経験10年、さらに博士課程でも様々な研究者を見つつ研究をしていた人間ならではの視点でお届けしますので、何も考えずただただ業務をこなしているだけという学生さんにぜひ読んでいただいて、塾講師の仕事がご自身にとって将来どのように役に立つのか感じ取っていただけたらと思います。

自己紹介

ちなみに、誰がこの記事書いているんだってことで、少しでも説得力を増すためにも簡単に自己紹介をしておこうと思います。

私は東大出身で、東大生1年生の頃から個別指導の塾講師としてアルバイトを続けてきました。今ではおよそ10年くらい塾講師として働いていて、ノウハウもアルバイトの講師の皆さんと比べるとかなり貯まっている方ではないかと思います。今は学習塾STRUXで実際に生徒さんに指導したり、教材を作ったり、全国の受験生に受験情報を届けるためのメディア中の記事を書いたりしています。


学生時代は物理を専門に勉強していまして、修士や博士課程でも物理を勉強したり、研究したりしていました。ここで研究の詳しいことを書いてもほとんどの人には伝わらないので、省略しますが、修士や博士課程では、様々な大学で研究なさっている方ともお会いしています。

昔から研究には興味があって、一方で塾講師はただただお金を稼ぐ手段としてしか捉えていなかったのですが、今では塾講師にも大きなやりがいを感じています。

今回はそんな経験を活かして、塾でアルバイトなさっている学部生の方に向けて少しでも役に立つ情報が届けられればと思って、筆を取っています。

「教える」「教える人に教える」

今回は2つの教えるという行為についてフォーカスします。

1つ目は最もイメージしやすいであろう「教える」という行為、2つ目は「教える人に教える」という行為です。2つ目に関しては後ほど詳しく説明しますので少々お待ちください。

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「教える」では「相手と自分の前提知識の差を理解する能力」が大事

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まず1つ目の「教える」に関して説明していきます。

塾講師の「教える」という行為は最も一般的な所でいうと、「生徒に教える」行為にあたります。研究者では「学部生への授業」であったり、「研究発表@学会やセミナー」であったりします。

これらの「教える」行為では自分と相手に「知識」において差があり、その「知識」の差を埋めていくことがメインの作業になります。

ですから、知識を持っていることや、勉強・研究の経験が豊富であることがスタートラインとして必要で、そこからさらに「分かりやすく伝えるための技術」を習得していくことで「教える」技術は向上していきます。

ここで特に重要なのは「相手と自分の前提知識の差を理解する能力」です。

塾講師を経験していると、生徒と自分の前提知識が全く異なることに最初のうちは驚きます。

「こんなことも分からないのか」と思う経験をベテラン講師なら幾度となく通ってきています。塾講師をするような人は、塾に通う一般的な学力を持つ生徒さんと比べるとだいぶ学力的には優秀ですから、自分の常識が生徒さんに通用しないことは頻繁に起こり得ます。

講師へ指導をしていると、「世間一般の学力が、こんなに低いことに驚いたけど、社会に出る前にこのことを知ることができて良かった」という学生さんの声は非常によく耳にします。

この「相手と自分の前提知識の差を理解する能力」に関しては、研究者になって学部生に授業をしたり、自分の研究を外部に紹介したりする際には必須の能力です。

大学の授業で「分かりにくい」と言われる授業はかなりあるますよね?私の時もありました。

これはベテランの塾講師から見ると「相手と自分の前提知識の差を理解する能力」の不足から来るものと判断できます。

研究者になる人はやはりそれなりに学力的には優秀な方が多いですから、学歴のためだけに大学に通っている方と比べると、やはり前提知識の部分で大きな差がありますから、

自分が大学1年生の頃はこれくらい分かっていたけどなあ、と想像するだけでは不十分なことがほとんどです。

分かりやすい授業が出来たり、分かりやすく研究の紹介が出来たりすると良い研究者や学生が集まりやすく、結果として、チーム内でも研究の質がどんどん良くなっていきます。個人としてもその環境は相談できる相手が多いわけですから、良い環境です。もちろん質が上がれば、研究資金だって獲得しやすいです。

塾講師の仕事をなさっている学生さんは「相手と自分の前提知識の差を理解する能力」を意識的に鍛えてみて欲しい所です。

具体的には、相手がどこまで分かっていないのか戻ってあげる作業を頻繁に取り込むことが重要です。

例えば、文法を習い終わって長文の勉強をしている生徒だったとしても、全ての項目を当たり前のように覚えているわけではないですから、どこを教えてあげるのがクリティカルなのか授業の各瞬間各瞬間で考え続けなければなりません。

「ここが出来ていないってことは、もしかしたら、これが分かっていないんじゃないの?」という視点を常に意識して授業してみてください。研究においても、「ここが理解してもらえないってことは、前提条件として、この研究の結果を相手が知らない可能性が高いな」とイメージできるようになります。

相手と自分との差を見つけようと思って授業するだけでも将来役に立つ大きなアドバンテージを得られるはずです。


教える人に教える

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2つ目は「教える人に教える」という行為についてです。

こちらは塾講師の場合ですと、「後輩塾講師への研修」といった業務に対応します。研究者の場合ですと、「研究室内の大学院生への指導や、研究所内での後輩研究員への指導」といった業務です。

これらの「教える人に教える」行為では自分と相手との間に「教える技術」や「業務遂行能力」において差があり、その差を埋めていくことがメインの作業になります。知識については上での「教える」という行為と比べると小さいはずです。

「教える人に教える」のスタート地点としては、「教える」経験がある程度豊富であることが必要で、そこからさらに「教える人に教える」実践を通して、この技術は向上していきます。

実践を通して

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「教える人に教える」技術に関しては上で説明した「教える」技術に似ている部分もかなりありますので、ここではまず初めに「実践を通して」という部分に着目したいと思います。

研究者が大学院生や、後輩研究員を指導して、一人前にする業務は多くても年に数人程度の経験しかできません。自分の研究もしなくてはならないですし、5人10人は厳しいというのが実情でしょう。

言い換えると、研究者という仕事を通してだと、「教える人に教える」という実戦形式での技術の向上は「場数を踏む」という一点だけ見てもかなり難易度が高いということです。

ですから、研究者としては一流だけど、指導者としては、、、みたいな方は研究者の中かなりの数いらっしゃいます。これはある意味仕方ない部分ではあります。

一方で塾講師ではどうでしょうか。スタート地点である「教える」経験がある程度必要なので、スタートするまでに多少時間はかかりますが、一度スタート地点に立ってしまえば、アルバイト講師だとしても「後輩講師の研修」を通して、「教える人に教える」という実践経験はかなりの場数を踏むことが可能です。

実際に、アルバイト講師がアルバイト講師を研修するシステムはある程度の規模の塾になると、かなりの割合で導入されていて、大学生のうちに「教える人に教える」という経験を数十人単位で持っている学生さんは多くいらっしゃいます。

この経験を通して学んだことは確実に教育者・指導者として能力を向上させますし、「研究はできるけど、院生指導はイマイチ」と言われないためにも必要な勉強と考えることも出来ます。

研究職に興味のある学生の皆さんには研修をする側の講師にまでたどり着いていただいて、ぜひ出来る限り多くの場数を踏んでみてほしいなと思います。必ず将来役に立つはずです。

知識以外を吸収する能力

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「教える人に教える」という行為では知識だけで見るとそれほど差のない相手に対して指導をすることがメインの作業になります。

それは例えば、「教え方」の部分、言い換えると知識の使い方の部分であったり、業務遂行の無駄を省くことであったり、知識以外の部分を教えることになるはずです。

塾講師の中には勉強自体はそれほどできるわけではないけど、教えるのが上手いという方も大勢いらっしゃいますし、研究者の中にも学力がすごく高いわけではないのに、研究はものすごいスピードで進むという方がいらっしゃいます。

こういった方々のほとんどが「教える人に教える」という指導経験があり、その過程の中で自分自身へのフィードバックを得て、能力を向上させる経験があるはずです。

こういった経験を塾講師業務を通して積み重ねていくと、知識以外の部分を吸収しようとする能力が高くなります。

講師研修を行っていると驚くべき速度で成長していく方がときどきいらっしゃいますが、そういった方は知識だけでなく、「間の取り方」「ノートの書き方」「質問の口調(内容ではなく口調)」などなど、知識としてではなく具体的な行動ベースで物事を吸収していってくださいます。

もともとそういった部分が苦手だった方も、研修をする立場になって、知識以外の部分を整理することが大事だと気づき、そこからさらに成長する方も非常に多いです。

研究でも「どのような手順で実験や計算を進めているのか」「どうしてそのポイントに着目したのか」などを意識的に取り入れられる方はやはり成長が早いと聞いたことがあります。

研究の現場では「教える人に教える」という仕事をする機会が少ないですから、「知識以外の部分を吸収する能力」を鍛える場として、塾講師業務も見直していただければなと思います。

まとめ

今回は研究職に興味のある学生さんに向けて塾講師業務の意義を見直していただく機会になっていれば幸いです。

「教える」という行為を通して、「相手と自分の前提知識の差を理解する能力」を養い、「教える人に教える」という実戦形式の場数を踏むのには、塾講師という仕事は非常に良い仕事です。

・「教える」
→「相手と自分の前提知識の差を理解する能力を養える」

・「教える人に教える」
→「塾講師なら場数を踏める」「知識以外の部分の重要性に気付ける」

また実戦形式の場数を踏むことによって、知識以外の部分の重要性に気づき、それを吸収する能力を鍛えることもできます。

私自身、塾講師は大学1年の頃から始めてもう10年ほどになります。修士や博士課程では学会での研究発表などもありますが、ここでは聴衆のレベルに合わせて、自分に与えられた短い時間の中で発表するということが出来なければなりません。この技術を習得するために役立ったのは塾講師として培ってきた経験でした。

研究を進めるうえで、大事なことは知識だけでなく、進め方とか着眼点であるということも塾講師をしていたからこそ早く気づけたものです。

今回の記事でご紹介した能力は研究者になっても役立つ能力ですから、ぜひ今回の記事の内容も意識して塾講師業務に取り組んでみてはいかがでしょうか?

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