【分析】上垣アナと「いじり」の巧拙 下手な「いじり」の特徴と方法

フジテレビのアナウンサー上垣アナのいじりが炎上している。正直、新人でありながら職場の人間関係を消費されている上垣アナには同情するし、炎上という現象には批判的だが、うまい「いじり」方とは何か?を考えるのにちょうどいい題材だと思った。

炎上しているのは下記の動画である。先輩アナによる「いじり」が「いじめ」ではないかと反感を呼んでいる。

基本的に上垣アナに対する「いじり」のコメントは下記の通り
◯(ポップなTシャツの)服が似合っていない
◯甚平とか似合いそう
◯年齢が23とは思えない

さて、なぜこのいじりは反感を買ったのか? 下記のツイートのように「顔つき」「声のトーン」に注目しているコメントもあるが、これは分析として失当だし、誹謗中傷だと思う。非言語的な要素に注目しなくても、言語的な観点の分析だけでこのイジリの「下手さ」は説明できる。

結論、「老け顔」というマイナスの要素をネタにしているのに、「似合わない」「若く見えない」というネガティブな内容のコメントをそのまましてしまっているからである。

ネガティブな要素にネガティブなコメント。これが下手ないじりだ。

反対に、うまいいじりとは、ネガティブな要素に対して、それを言外に指摘しつつもポジティブなコメントをすることだ。

下記のツイートを見てみよう。同じ上垣アナに対する、明石家さんまのいじりである。

明石家さんまのコメントは「ベテラン」「新卒とは思えない」「入社15年目」というものである。基本的に、指摘しているポイントは「老け顔」とちう点で同じである。

しかし、基本的に、エイジズムの観点から若ければ若いほうがいいという価値観に対して、「ベテラン」「新卒ではない」「入社15年目」というのは仕事と結びつく年次のニュアンスを持たせたコメントである。

仕事という観点をニュアンスに加えていることで、「老け顔」という指摘が同時に「仕事ができそう」というポジティブな印象でくるまれる。

これは明石家さんまの技である。

前述の「似合わない」「甚平が似合う」「23歳とは思えない」はいずれも「仕事」の観点が付加されないコメントなために、老けていることはただ老けていることとしてネガティブなニュアンスしか持たないのだ。

しかし、明石家さんまのようなイジり方は簡単に真似できないかもしれない。こういういじりにはテクニックがいる。が、よりシステム的にうまくやるなら、「ボケ」と「ツッコみ」を分担することで、いじりが下手な人でも確実にうまくいじれるように、再現性を高くすることはできる。それはオードリーシステムを採用することである。

下記の動画を参照されたい。(1分25秒頃から)

動画の中では、若林が投稿者の「ハゲ」をいじる。オードリーシステムでは、まず、若林が「全然ハゲてないですね」と(ポジティブではあるが指摘したいことと真反対の内容の嘘の)コメントをし、春日が「ハゲてるだろ」と反応する。 

そう、大事なのは嘘であれ、指摘する時にポジティブなニュアンスが出てればいいということなのだ。

この、オードリーシステムを採用して、フジテレビアナウンサーがいじっていたらどうだったか。

「いや、ちょっと……もしかしてそのTシャツ世界一似合ってない?
「いや、似合ってないほうでしょ!」
「やっぱり何度見てもフレッシュだよね……」
「老け顔だろ!」

まあ全然この方法の方が耐える気がする。同じ発想力でも不快感は俄然減る。突っ込みは、上垣アナの対応力を見るに、上垣アナ自身がノリノリ突っ込んでくれたかもしれないし。

まとめると、いじるときは嘘でもなんでもポジティブなニュアンスでポイントを指摘しようということである。これがうまいいじりの方法である。

(もちろん、ちなみに目上の人をいじる、欠点とされていない部分をいじる、そういう場合はネガティブなニュアンスでコメントしてもいい。今回の事例は先輩という上下関係がある中で、上の人が下の人をいじる場合の分析である。)

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