政治の話 兵庫県知事選挙の話

兵庫県知事選挙のさいとう氏の勝利をもって、ポピュリズムという言葉を当てはめる人を見た。

「ポピュリズム」というのであれば、そもそも県議会による全会一致の不信任案がポピュリズムでは? と私は思う。

今回の文書問題は、ファクトだけでいうと重要なところで不確実な部分が多すぎる。

公益通報者保護法の当該部分の解釈は弁護士間で見解が分かれている。
パワハラの事実は、証言はあれど認定はない。
パワハラと県民局長の死の因果関係は不明。因果関係の証明において重要な情報はプライベート情報ということで公開できない。
百条委員会は終了していない。

個人的にはさいとう知事の資質には疑問がある。自分で疑惑に対する説明をせず立花氏にアウトソースしてる時点で説明能力は明らかにないし、「怪文書」であれば法的に黒ではなくても解釈に分かれるグレーな措置をわざわざ取る必要もない。証言の多さは少なくとも県職員との信頼関係が崩壊していることを示している。現時点では、立花氏の侵入を許した今後の兵庫県政には、暗雲が垂れているという印象である。

とはいえ、因果関係不明な県民局長の死に責任があるように印象付けられ、全会一致での不信任案を突きつけられ、誰にも見送られず退庁する様子を全国で実名顔入りで報道される。ほとんど殺人犯に対する扱いである。

これは、40代の家族を持った一人の人間の人生を奪う、社会的な死刑であり殺人である。

実際、9月時点でも、「兵庫県知事が自殺してもおかしくない」と感じた人も少なくないのでは?

現状のファクトだけで考えると、これだけコミュニケーションが破綻している傍証があればパワハラ気質はまあそうだろうと思うし、知事の資質もあまりない気がする。だとしても、県民局長の死のタイミングは百条委員会の最中であり、知事のパワハラによるものだとは考えづらい。であれば、罪があったとしても社会的死刑を下すには証拠不十分だし刑罰があまりにも重すぎる。

社会的死刑をするのであればもう少し証拠を確定させるべきだ。それをせずに、全会一致で不信任案を出し、知事選挙の情勢を見てさいとう知事に再び回る議員がいたのは、あまりにも判断が軽いのではないだろうか。

百条委員会の終了を待たない全会一致の不信任案とはなんだったのか? ここはしっかりと批判をされるべきだろう。

炎上という現象全般に思うことだが、ほとんどの場合、罪を犯したかどうかにばかり議論が行き渡り、その罪に対してその制裁の手順と威力が適切かどうか、そこを見ていない議論があまりにも多すぎると思う。

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