二次創作まわりでのFediverse所感
Fediverse Advent Calendar 2023の3日目の記事です。
二次創作アカウントでMastodon(カベドン/Fedibird)、Misskey(にじみす)を使用し、最終的にTwitterからFedibirdへ移行した感想をまとめていきます。バナー絵は一次創作のものですが……。
「ある程度用語に理解はある」前提で記述しているため、Fediverse、もしくはActivityPubの用語に関する説明は省いています。また、Twitter/Xに関しては、すべてTwitterで統一しています。
経緯
にじみすに参加したのは今年、2023年の4月のことでした。
TwitterがAPIを有料に制限したことで、「フォロワー限定公開」ができるサードパーティのサービスを利用していた周囲が「いままで通りには使えない!」と軽い恐慌状態に陥ったためです。もともとMisskeyに関しては認知していたため、登録のきっかけになりました。
結局のところ、ぶっちゃけフォロワー限定公開、なくてもいいな……? という感じで周囲がTwitterに帰っていき、まあそれなら……という感じで、自分もTwitterに帰りました。にじみすには定住ができなかったのです。
第二次の移住が起こったのは6月末から7月にかけてでした。
Twitterが「ログアウトしているとツイートを閲覧できない」だの、「ログインしていてもツイートが読み込めない(APIが一瞬で切れる)」だの、まともに使える状態ではなくなり、再度移住の空気が生まれました。前者については改善されていません(全ツイートではなく、エンゲージメントの多いツイートが表示されている)が、後者に関しては改善されたため、やはり周囲はTwitterに帰っていくことになります。
しかし、自分はMisskeyではなくMastodon(カベドン/Fedibird)に手を出したことで、個人的に「こっちのほうが便利じゃん!」となったため、結果的にTwitterを離脱し、Fedibirdに定住する運びとなりました。
にじみす(https://nijimiss.moe/)
参加理由
二次元コンテンツの共有を目的としたサーバーである、ということが大きかったように思います。特に示し合わせたわけではなく、ジャンルの人々がゆるっと移住を試み、ゆるっと脱落していきました。
なぜ定着できなかったのか
・LTLに追いつけない
そもそも「LTLでの交流が必要なのか?」という点もありますが、「不特定多数ジャンルに関する話題がある」というのは、個人的にとても気を使うものでした。他人の地雷に配慮しすぎるべきではない……とはいえど、あんまりにも枠が大きすぎる。そのうえ流速が早い上にエアリプ文化のため、「言及先がわからない」「メンションをつけてもリアクション通知に飲まれて確認されにくい」など、不便に思うことが多々ありました。最近はそれに慣れたので、あまり気にならなくはなってきていますが……。
・クリップ機能が面倒くさい
Twitterのモーメントという機能に値すると思うのですが、そもそもモーメントもちゃんと管理できなかった理由がいちいち投稿してから追加するのが面倒くさいという理由でした。クリップも同じくあとから追加するもので、面倒くさく……。怠惰……。
これを改善できたのがMastodonの機能で、追って記載します。
・UIが不便
上部にはアイコンのみのTLリスト(慣れるまでどれがどれやら)、下部ハンバーガーメニューから行くほうはサイドメニュー、プレステのボタンみたいなやつから行くほうはウィジェットメニューで2つあるし、サイドバーから「もっと!」を選択しないと設定できないコンテンツが多いのに、「もっと!」というタイトルじゃあなにが入ってるんだかわからない……。
なんか……こう……ひとまとめにしてくれ!
・にじみすに限らず、Misskeyの「連合なし」にあまり同意できない
ActivityPubに参加する理由は、連合するためであると思っています。連合なしにして投稿してしまうのは、連合思考に逆行しているのではと……。誰がどのサーバーを使っても繋がれる、というのは主張していったほうが、Fediverseの理解度を広めることに繋がるのではないか、と考えています。
カベドン(https://kabedon.space/about)
参加理由
にじみすに定着できなかった理由として大きかったのが、LTLに慣れなかったことでした。元々Mastodon自体は数回使ったことがあり、どうせ別のサーバーを試すのであればMisskeyだけではなくMastodonも見てみよう、と思ったのも理由の一つです。LTLが非表示であるとのことで、このサーバーを選びました。
2017年に使っていた3.nuは閉店、2019年に使っていたmstdn.jpは無法地帯と化しているらしいので……。
なぜ定着できなかったのか
・他人へ勧めるハードル
まず、サーバーへ参加するときに、「ロボットでない証明として、管理人にメッセージを送る」必要があります。人見知りに厳しい……!
自分は興味のほうが強かったので送れたものの、「申請するのかあ……」となる人は一定数居そうです。自分が使用していないサーバーを勧めることには不安があるため、カベドンのみを使用していると大手を振って「Mastodonいいよ!」とは言いにくかったかもしれません。簡単なコメントで申請が通ることはありがたいのですが、人見知りにおいてはそもそも人に声をかけるということ自体がストレスなので……。
・LTL、実際ある
自分が登録した当時、サーバーの初期設定で投稿先がフォロワー限定となっており、わざわざ公開投稿にしたものしか表示されないところではありますが、「URL直打ち」「アプリからの閲覧」ではLTLが表示されました。
それだけで利用をやめるような理由ではないのですが、あるんか~い、とはなりました……。
なお、現在はGTLにリダイレクトされるよう変更されているようです。
・ぶっちゃけ、カベドンは悪くない
Fedibirdが優秀過ぎた、だけ……!!!!!!
Fedibird(https://fedibird.com/)
参加理由
もともと、Mastodonを探す段階でカベドンとここのどちらにしようか悩んでいました。招待制ということで、Fedibirdの知り合いがいなかったため諦めていましたが、Mastodonアプリであるfeatherのdiscordコミュニティで、運良く招待リンクにたどり着けました。実際には、招待リンクの発行は誰にでもでき、また管理者が頻繁に配布しています。
ちなみに、featherは過去にTwitterクライアントとして提供されていたものと同じ開発で、同じ名前のアプリです。UIや使用感もほぼ同じなので、あちらを使っていた方にはおすすめ。
なぜ定着できたのか
ここがメインの内容になる気がしています。
・LTLが本当にない!
URLを直打ちしようがなにしようが、アクセスできません。だって、そもそも本当にないのです。LTLを気にせず公開投稿ができることで、一次創作でも使うようになりました。「連合(GTL)には拾われてもいいけど、LTLに流すのはログ流しみたいで忍びない」……そんなワガママが通るのです。
・とはいえ、ラウンジのような雰囲気のタグで交流もできる
#Fedibird というタグを付けることで、擬似的にLTLとして、同じサーバーを利用している人、あるいは別のサーバーを利用しているがFedibirdの人と話したい人、が集まっています。
あえてタグを付けるという工程が挟まることにより、ある程度「人に見られる文章」を意識するようになる効果を感じています。人によってはすべての投稿にタグを付けていらっしゃる方もいますが……利用方法は人それぞれなので、あんまり投稿が多い人はミュートしてしまうのも自由だと思っています。
あとは単純に、鯖落ちしたときにみんながタグ付けして、別のサーバーのアカウントを利用し「Fedibird落ちた?」と投稿するので、おま環かどうか確認できるのが地味に助かっています……。あ、みんな落ちてる! よかった! よくない! みたいな……。
・「相互フォロワー限定公開」「サークル限定公開」の存在
4月の恐慌状態に陥った理由がこれでしたね。Twitterではサードパーティに頼らなければ使えなかった機能が、Fedibirdには標準搭載されています。Twitterのものとは若干仕様が異なりますが、大きい問題ではなさそうです。クリエイターにおいては、「相互フォロワー限定のコンテンツ」を作ってしまうと、あとから相互になった新しいフォロワーには内容が表示されないことだけ念頭に置いたほうがよいかもしれません。
また、Fedibird独自の機能なので、別のサーバーの人と相互フォロー関係になっても相手には表示されません。正直、自分は結局使っていないです……。フォロワーがいないので
また、Twitterでは11月に削除された「サークル機能」もあります。もともとサークル機能を開発していて、相互フォロー限定公開があとから追加されたとのこと。こちらも、投稿する時点でのサークルメンバーにしか表示されないことを意識しておく必要があります。
・絵文字リアクションが存在する
Misskeyの機能を輸入しています。個人的に大好きなのでめちゃくちゃ嬉しかったです。
また、Fedibirdの独自の機能として、「Fedibirdには未実装でも、ほかのサーバーでついているリアクションに相乗りできる」というものがあります。
カベドン、つまりは「壁打ち用マストドン」なので、他人からのリアクションを求めるものではなく、あちらに絵文字リアクションが無いのは当たり前なんですよね。そりゃそう。
・注目のタグが便利すぎる
正直、これがあるからMastodonを使っています。
注目のタグとは、そのユーザーの特定のタグに関する投稿を集めて、プロフィールに表示することができる機能です。○○に関する投稿だけ遡りたい! という時に効果を発揮します。Misskeyのクリップとは違い、タグさえ付けていればあとからまとめる必要がないので、ズボラな自分に向いていました。たまにタグを付け忘れますが、Mastodonや Misskeyには「削除して編集」という機能があるため、これで修正しています。削除せずに編集する機能が実装されているサーバーもありますが、対応していないサーバーには編集前のものしか表示されないので、あまり意味がありません。
二次創作においてTwitterを使うのは、交流の他に、思いついたネタをメモしておきたい、というのが大きくありました。
それらを後から確認したいところなのですが、Twitter本体では「検索できる自分のツイートに限りがある」「モーメントは前述の理由でうまく使えず、しかも機能としてなかったことになってしまった」「確実に投稿を検索できるアーカイブのDLには時間がかかる」……など、用途としてうまく機能していませんでした。ほとんど、ふぁぼやRTなどで承認欲求を満たすということでしか、Twitterにネタメモを投稿する利点がなかったようにも思います。アーカイブのダウンロードで全てのツイートを検索できますが、ダウンロード可能になるまで時間もかかりますし、都度その申請を行わなければなりません。ツイートの検索には外部サービスであるTwilogを使っていたこともありましたが、こちらもAPI有料化の流れで不安定になりました(現在はTogetterが運営しており、復活している様子です)。
注目のタグが便利すぎる:実際にどう使っているのか
とはいえ、注目のタグ機能自体は、カベドンにも存在している……はずです。自分はアカウントをFedibirdに引っ越ししてしまったので、設定画面を確認できないのですが……。Fedibirdでは、注目のタグ機能を重視されており、先日のアップデートで初期状態では3種類しか設定できなかった注目のタグを、30種類設定できるようになりました。そこまで使えるのは逆にすごいが……
◎手順
使用するタグを決め、設定「プロフィール」内別ページから「注目のハッシュタグ」を設定します。あとは対応する公開範囲にし、タグをつけて投稿するだけ!
なお、注目設定は投稿後でもよいのです。あとから「このタグはよく呟くから注目設定しよう」ができるのも便利ですね。注目タグの設定ページにおいて、自分が使用しているものを「おすすめのタグ」として表示してくれます。
タグを付けていなかった場合は、Fedibirdの「参照」という機能でスレッドをまとめることもできます。これはTwitterのモーメントに近い機能で、Twitter風に言うと「モーメントのURLを共有するツイートに、注目設定したタグを付ける」ことで注目タグとして使えます。
◎対応する公開範囲
パブサ/GTLに載っていいもの
→公開
載せたくないもの
→未収載
この2つはログインしていないユーザーにも表示されます。
未収載はMastodon系の検索には表示されませんが、補足されているMisskeyサーバーからは検索されます(Misskeyでは未収載=ホーム投稿が検索に載るため)。自分はフォロワーににじみすの方がいるので、にじみすで検索すると自分が出てきます。そのタグで400件近く投稿しているので自分がズラーッと出てきてちょっと恥ずかしい……。
更に棲み分けたいもの
→フォロワー限定
→相互限定(Fedibirdのみ)
上記ふたつはログイン必須です。相互限定は「相互フォローかつFedibirdのアカウント」が条件。
◎注目タグ用特設ページがある
上記は自分の一次創作アカウントで、 #illustration を注目タグに設定したものです。ログアウト状態でも、特定のURLで確認ができます。
※日本語タグはエンコードされます。日本語URL対応ブラウザであれば直接日本語でもアクセス可能です。
注目のタグ、本家Mastodonではあまり注目されていない機能なのか、ログアウトしているとPCでの表示でしかタグリストが表示されません。自分の場合、「Fedibird、ないしはMastodonのフォロワーが多くない」ことと、「そもそも界隈にはアカウントを持っていないユーザーが多い」こと、更にはサイトのアナリティクスを見る限り「PC自体持っていない、あるいは持っていてもスマートフォンで見る人が多い」……などの理由から、固定投稿に注目タグページのURLを記載して誘導しています。
また、通頒の情報やサイトの更新履歴などをそれぞれ注目タグとして管理することで、サイトの情報ページを毎回編集しなくても、直接注目タグページにリダイレクトすればよくなった、というのがめちゃくちゃに楽で助かっています。たとえば通頒が売り切れになったら、投稿を削除するなり、売り切れましたと投稿するなりでいいのです。
ちなみに、これらはRSSフィードとしても提供されています。
自分の使い方
・未収載で投稿することで、GTLには流さない。
→二次創作は隠れるべき……みたいなステレオタイプの考え方もありますが、どちらかというと単純に色んな人の目に触れると自分が恥ずかしいからです!!
・R18投稿に関してはNSFWやCWを使用し、フォロワー限定には特にしない
→そもそもフォロワーがいない、というか登録してまでFediverseに居る人が少ないからフォロ限にしても見てもらえないし……みたいな寂しい理由もありますが……、NSFWやCWを適切に使い、修正などを行えば、わざわざフォロワー限定にする必要はそこまで感じていません。でも公開投稿にするのはやっぱり恥ずかしいので、これも未収載です。
余談①:Twilogみたいに投稿をまとめる、notestockなるサービス(https://notestock.osa-p.net)
自分がこのサイトを利用する理由は、投稿をまとめるためではなく、更新履歴タグが付いた投稿のみサイトにウィジェット表示するためです。二次創作の投稿がnotestock上で検索できるようになってしまうのだけちょっぴりもにょもにょするのですが、そもそもnotestock上の投稿検索って、そこまで使っている人はいない……カモ?
また、Twitterのアーカイブを取り込む機能があるのですが、削除したアカウントのツイートは取り込むことができませんでした……。
なぜnotestockのウィジェット機能を選んだのか
ウィジェットをサイトに埋め込むにあたって、他にもサービスがあります(https://mastofeed.comなど)。しかし、それらはすべての投稿が表示されてしまうため、更新履歴に絞ることができませんでした。
notestockのウィジェットでは、表示する投稿をユーザー単位に検索ワードで指定できるため、#更新履歴 とタグを付けておき、それを検索ワードとして指定しておけば、更新履歴のみをサイトに埋め込むことができるのです。
わざわざリダイレクトで更新履歴を用意したところで、見ない人のほうが多いかなあと……ウィジェットでむりやり視界に入れたほうがよさそうなので……。
RSSフィードではダメだった
注目タグの解説で述べたとおり、注目タグページはRSSを提供しているため、RSSフィードをサイトに埋め込むことで対応しようとしたことがありました。
しかし、自分は「投稿のすべてをサイトに埋め込みたかった」のですが、RSSを使うと「投稿の最初の1行しか表示されない」という欠点があり、採用に至りませんでした。RSSのほうが動作は軽そうではあるのですが……。
余談②:WordPressのAP参入
自分はサイトを一次創作・二次創作ともにWordPressで運営しているので、ActivityPubプラグインを試してみました。
仕様としては以下のとおりです。
・問答無用で公開投稿になる
・問答無用でグループディレクトリに掲載される
・ActivityPubに共有されたデータは削除ができない
……めちゃくちゃ困った! なにが困ったって、ウッカリ二次創作のほうのサイトでこれを試しちゃったことです。削除したい。削除できるようになってほしい……。恥ずかしいから……。グループディレクトリへの掲載は、サーバーの管理者にお願いして削除してもらうことができました。
まとめ
今回はそれぞれを利用した結果「何が良くて、何が悪かったのか」をメインに書きましたが、結局のところ自分がTwitterからFedibirdに完全に移行できた一番の理由は「繋がりに未練がなかった」ということかもしれません。交流よりも自分が扱いやすいサービスを優先した、というだけで、関係が切れてもいい、というわけではないのですが……。もくりやDiscordなどで繋がれていれば必要な会話ができてしまうために、Twitterがなくてもいまのところ不自由なく過ごしています。おもしろいツイートがあれば、わりとみんな教えてくれるので……。
Twitterからの移住は押し付けるものではないですし、それぞれが息をしやすい場所に居るのが一番だと思います。自分はFedibirdが一番息をしやすかった、というだけで、にじみすのLTLやチャンネルにはときたまいまでも顔を出していますしね。ときたま顔を出す程度が居心地良く、常に居るにはちょっぴり騒がしかった……というだけで、にじみすが悪いわけではないのです。もちろん、カベドンも。
また、結局のところ、Twitterのアカウントは広報に使用しています。二次創作のほうのアカウントは閲覧はせずにお知らせを流すだけになっていますが、一次創作のほうのアカウントではそこで交流するしかない人がいます。Twitterのみで公開されるコンテンツがある限りは、完全な離脱は不可能でしょう。他の手段で情報を取り込む方法がなく、またログアウト時に得られる情報が限定されてしまったことも大きいですね。ほとんど情報が人質にされている状態であると感じており、辞めてえ〜! と思うんですが、辞めきれないんだなあ、これが……。