曇天の新宿御苑でプチ探鳥:薄氷を踏む鳥
曇天の日曜日。
晴天に比べると鳥が見づらく、探鳥熱はやや冷め気味となる。
今日は散歩がてら、近場でさっと済ませようと自宅を出る。
目指すは久しぶりの新宿御苑だ。
最近はすっかり観光地化し、インバウンドで溢れているため足が遠のいていた。
新宿御苑の野鳥たち。
みんな人馴れしているのか、あまり逃げない。
普段警戒心みなぎる野鳥たちを見ているから、大丈夫かなと逆に心配になる。
久しぶりに御苑に来て、バードウォッチングを始めた頃を思い出す。
元々新宿御苑の静かな雰囲気が好きで年間パスを持っていた私は、双眼鏡片手に休みごとに通うようになった。
都心でよく見かける野鳥のことについては、ここ新宿御苑で学んだ。
最近は園内にカフェなどが増え、日本語より外国語が聞こえてくる新宿御苑。
久々に来てみたけれど、野鳥たちは羽を休める候補地として新宿御苑を認識してくれているようだ。
観光客で賑わう日本庭園には鳥がいないだろうなと思いながらも、足を延ばしてみる。
気温が下がった東京。
昨晩は冷え込んだせいか、池に薄く氷が張っている。
ところところ溶けだしているが、キセキレイは迷うことなくトコトコと氷の上を歩いている。
踏み割ってしまいそうな薄い氷に乗っても割れることのないキセキレイ。
体重は約17gだという。
その体重じゃあ氷を割ることの方が難しいか。
水にキセキレイが落ちてしまうのではとドギマギしている私の横に茶色い小鳥が舞い降りる。
スズメかしらとカメラを向ける。
鳥の羽根は構造色といって、羽の構造と光とが干渉して色を生み出している。
羽自身には色がついておらず、光の加減で色んな色に見える。
カラスも基本的に真っ黒だが、光の加減で緑がかって見えたり青みがかって見えたりする。
カラスもカワセミくらいに青かったら、もう少し人気が出るのかしら。
まじまじ眺める私を、カラスはいぶかしげに見返してくる。
にわかに先ほどのカラスたちが騒ぎ出す。
猛禽類の登場か?と空を見上げる。
カラスって、トンビやタカなどの猛禽類を見つけると大騒ぎしてくれるから参考になる。
単に仲間内のケンカのこともあるんだけどね。
なんやかんやで結局2時間以上園内をうろうろ。
新宿御苑に来て、探鳥を始めた頃のワクワク感がよみがえる。
今では見慣れた野鳥たちも、当時はライファーを見つけたと喜んでいた。
探鳥歴が長くなるにつれ、人は見慣れた野鳥たちに見向きもせず珍しい鳥を探し求めがちになる。
彼ら一羽一羽、一生懸命生きている大切な命だ。
これからも彼らとの一期一会を楽しもう。
そう思いながら、新宿御苑を後にする。