早朝多摩川を探鳥散歩:気の毒な鳥と赤い鳥
冷え込んだ1月の日曜朝。
晴れ予報だったので、多摩川河川敷を鳥を探しながら散歩しようと自宅を出た。
先月も訪れ、色んな鳥に出会えた多摩川。
東京でも人が少なく静かに過ごせるので好きな場所だ。
多摩川河川敷まではバスで3駅。
日の出前に到着する。
自宅周囲に比べると随分と冷え込んでいる河川敷。
この日の最低気温は氷点下2度。
どうりで寒いはずだ。
手袋から出る指がかじかむ。
日の出までは間もない。
歩く私の目の前から日が昇りだす。
と、足元に一羽の鳥が降り立つ。
寒いからかまん丸なツグミ。
朝一番はお腹がペコペコなのか、近くを歩いても逃げずに餌を探している。
この日の多摩川デルタは水鳥少なめ。
カワウが数羽にイソシギ、イカルチドリ、セグロセキレイを見かけただけだった。
というより、寒すぎて私の頭が探鳥モードになかなか切り替わらなかっただけかもしれない。
いつものように多摩川デルタを覗いた後に、河川敷の上流を目指し北へ歩く。
歩きだした私の目の前にまたも現れたツグミ。
この方も逃げようとせず、ガサゴソ枯葉をめくって餌を探している。
寝起きで頭がぼっとしているのかしら。
別の所でもガサゴソと音がする。
アカハラはツグミの仲間。
ツグミ同様、冬にしか会えない鳥だ。
こちらは警戒心強く、すぐに茂みに消えていった。
明るくなっていく多摩川べりをのんびり歩く。
広い河川敷の真ん中にある木に、大き目の鳥が降り立つのが目に入る。
全体的に白っぽいトンビ。
まだ若鳥のようだ。
トンビは何やら獲物を足で押さえながら食べている。
と、いつものようにトンビを目の敵にする奴が現れた。
それにしても、トンビっていつもカラスの集団に追いかけられている気がする。
トンビがカラスに歯向かっている姿をみたことがない。
生きた獲物を狩らず、死んだ生き物などを餌とするトンビ。
身体は大きいけれど、頭のいいカラスと闘って勝てる能力がないということかな。
カラスに寄ってたかっていじめられているようで、何だかトンビが気の毒になる。
トンビさん、負けないでね。
トンビとカラスのケンカをしばし見物した後、先を目指す。
葦が生い茂る河川敷を覗いてみると、小鳥たちが飛び回っている。
次々に目の前に登場する小鳥たちに私は翻弄される。
おっと、赤い鳥登場。
アオジたちに紛れ、危うく見逃すところだった。
見慣れた鳥の混群の中に珍しい鳥が混じっていることがあるから、気が抜けない。
初めまして、ベニマシコさん。
しかも見た目が地味なメスでなく、紅色鮮やかなオスに会えるなんて今日はツイている。
ベニマシコは夏は北国で繁殖し、冬に本州南部で見られる。
鮮やかな赤色が美しく、バーダーの間で人気の鳥だと聞く。
赤いお顔が猿のようだと「猿子」と呼ばれたのが由来らしい。
ニホンザルは古来「ましら」と呼ばれていたことから「マシコ」。
「紅猿子」は現代風に読むと「ベニサルコ」。
‥んん。
小鳥たちが舞う河川敷の藪に潜む影一つ。
小鳥を狙っているのだろうか、のっそのっそ河川敷へ歩いて行った。
この辺で飼われている猫が放し飼いされているのかしら。
嫌がらずに写真を撮らせてくれた。ありがとう。
晴天の河川敷、見慣れた野鳥たちも元気だ。
青空と川の流れ、小鳥たちを愛でながら先へ進む。
護岸工事中の羽村堰。
工事柵に、一羽の鳥が舞い降りた。
会えると嬉しい、あの鳥だ。
先ほど出会えたおちょぼ口のベニマシコも可愛いが、私はクチバシ長めのジョビ子さんの方が好きかな。
人懐っこいところも可愛い。
目の前に出てきてくれてありがとう、と感謝する。
3時間余り、8㎞以上歩いてきた私の足は疲れを訴えている。
今日は鳥たちをたくさん見られたし、休憩したら帰ろう。
今回早朝の寒さが身に堪えたが、スカッと晴れた空を見ながらの散歩は仕事で疲れた心を癒してくれた。
そしていつもの可愛い小鳥たち。
今日はベニマシコやジョウビタキに会えたし満足だ。
多摩川を後にする。