奥日光の鳥見が楽しすぎて②:湯ノ湖・戦場ヶ原で野鳥観察
湯元温泉に宿泊し2日目の朝。
5時に目が覚め、軽くストレッチをした後に大浴場へ。
夜の小雨が残る中、野鳥たちの声を聞きながら露天風呂を楽しむ。
ビュッフェ形式の朝食で腹ごしらえ。
出来立てのだし巻き卵が付いてくるのが嬉しい。
いつも朝食をたっぷり食べる私。
ご飯はおかわりだ。
さあ、今日も頑張って歩きますか。
(1日目の記事はこちら↓)
今日は湯ノ湖の西沿いから湯滝を抜けて、戦場ヶ原を通り抜けながら野鳥観察を楽しもう。
(散策地図はこちら)
標高の高い湯ノ湖から下っていくコースで楽そうだ。
距離は約5㎞、所要時間は3~4時間。
幸い8時過ぎに雨も上がり、いざ出発。
ホテルから湯ノ湖へ向かっていると、空き地に小鳥達が降り立つのが見えた。
雨上がりの早朝。
お腹をすかせたアトリ達が食べ物を探している。
少し離れたところでキセキレイが3羽、喧嘩している。
幸先の良いスタートだが、こんなペースで小鳥達につかまって私は戦場が原までたどり着けるんだろうかと不安になる。
昨日サルの家族がいたところを通り抜け、湯ノ湖の遊歩道にさしかかる。
ツグミの傍にアカハラがいた。
横から見て赤いお腹は、下からみると白いんだね。
森に入るところで、小鳥の群れに遭遇する。
シジュウカラ達に紛れて、「チヨチヨビー」と鳴く見慣れない鳥がいる。
センダイムシクイはムシクイの一種。
その鳴き声から「チヨ→千代→センダイ」ムシクイになったとか。
てっきり仙台で発見されたのかと思っていた。
鳥の名付け方法は気まぐれだ。
センダイムシクイに気を取られ、近くに留まる黄色い鳥を危うく見逃しかける。
夏鳥として日本へやって来るキビタキ。
今回はまだ早いかなと思っていたから、会えて感激。
喉元の黄色が鮮やか、曇り空でもすぐ目についたよ。
晴れてたらもっと綺麗に見えるんだろうね。
雨上がりの朝。人気がないのもあり、次々に野鳥が出てくる。
これで晴れてたら私、嬉しくて気が狂ってたかも。
湖岸を歩いていると、あちこちから「チュリチュリチリリリイー」と長ーいフレーズの綺麗な声が聞こえてくる。
もしや、会いたかったあの鳥か。
じっと待っていると、ポンと目の前に1羽現れた。
初めまして、ミソサザイさん。
声は何度か聞いたことあったけど、一度会ってみたかった。
体長10㎝。思った以上にちっちゃくてまるっとしている。
その地味な見た目とは裏腹に、さえずりは堂々として美しい。
(聴きたい方はコチラ)
その小さな体から、こんなに大きな声が出るんだね。すごいなあ。
湯滝に到着する前から既に満足気味な私。
まだ歩き出して30分位しかたっていない(笑)。
少し開けた場所で昨日と同様、カラ類の小鳥達が食べ物を探している。
マヒワも初めてじゃなかったかな。
カワラヒワとよく間違えるやつだ。
小鳥達にトラップされながら、何とか湯滝に到着。
湯ノ湖の水は中禅寺湖に向かって滝を作りながら落ちていく。
勢いよく流れる滝の横の階段を降りる。
滝を降りたら湯川沿いに戦場ヶ原に入る。
湯川沿いの散策路は災害で現在通行止め。迂回路を歩く。
木道を歩いていると、遠くでコマドリが「ヒンカララララ」と鳴いている。
空気が澄んで気持ちいい。
と、枝の隙間から地味な鳥を発見する。
この水辺あたりで見られるカワガラスは茶色だったはず。
ホシガラスかと思ったが、羽の様子からどうやらカワガラスの幼鳥のようだ。
カラスと名前はつくが、カラスの仲間ではなくスズメ目カワガラス科。
山の綺麗な清流に暮らしている。
初めまして。今度はお父さん、お母さんが見られると良いな。
戦場ヶ原の木々はまだ芽吹いておらず、冬の装いだ。
人影もまばら。熊鈴を鳴らしながら歩く。
ふと前方に目をやると、サルの群れが左から右の茂みへ移動している。
熊でなくて良かった。
彼らは私を避けるように走り去った。
気が付いたら12時前。
この景色を前に、昼食にしよう。
人に握ってもらったおにぎりって、なんで美味しいんだろう。
日本人は米に限るなあ。
20分ほど休憩。さあ、先に進もう。
枝の先にちょこんと留まっている茶色い鳥がいる。
ノビタキも夏鳥。
私の知るノビタキのオスは、顔と羽が真っ黒。
夏羽は黒いが冬は地味な茶色らしい。
彼はちょうど夏の装いに衣替え中なのかしら。顔のあたりが黒くなりつつある。
初めましての鳥が多すぎて、もう私の頭はパンクしている。
戦場ヶ原の木々の間をアカゲラが飛び回っている。
これだけ木が多いと、アカゲラもつつきたい放題だ。
これから春を迎える戦場ヶ原。
色々な草花が芽吹き、色鮮やかになるんだろうね。
鳥見が目的の私にとっては、これくらい視界が開けている方が楽だ。
木道を歩く私の目の前の枝に、クリっとした目の小鳥がシュッと留まる。
クチバシがほんのり黄色く灰褐色のコサメビタキ。
光の加減か、今日は茶色っぽく見える。
小さい身体にくりくりとした大きな目。可愛いなあ。
コサメビタキも夏鳥。
奥日光はすでに夏鳥がやってきているんだね。
次々に登場する野鳥を観るのが楽しすぎて喜々として歩き回っていたが、だんだん足が重くなってきた。
重いカメラを持っての歩行に、腰も悲鳴をあげ始める。
子供のように駆け回ってたけど、私50歳だったの忘れてた。
気が付けば6時間近く経っている。
ゴールの赤沼まではあともうちょっと。
帰路を急ぐ私の前に、大き目の鳥が現れる。
霧がかかる中、現れた2羽。
ヒレンジャクも初めましてだ。
湯ノ湖に戦場ヶ原、すごいな。
晴れていたらもっと野鳥が見られるんだろうね。
GW前で人がまだ少ないから、鳥もあまり警戒していないようだった。
この2日で出会えた野鳥は30種以上。
初めて出会った鳥(ライファー)は11種類。
今回あいにくの曇りだったが、結果に大満足。
年に1回、いや年に何回か訪れたい場所に満場一致で決定する。
野鳥観察をしたことのある人なら理解していただけるだろうが、野鳥観察中は五感をずっと働かせている。
視界をよぎる小鳥たちの影や不自然に動く枝、耳から入る野鳥たちの声。
双眼鏡やカメラで野鳥達をすぐ見られるように、自分の持つ感覚を研ぎ澄ませているので、単に歩くよりずっと疲れる。
いつもは集中力が切れる3~4時間程度で引き揚げる鳥見だが、今回あまりに楽しすぎて気が付けば7時間が経っていた。
赤沼から湯元温泉に戻るバスに乗り込んだと同時にどっと疲れを感じたが、童心に帰り夢中で歩き回った時間がとても楽しかったと振り返る。
今回、野鳥観察はもう満足だ。
明日は腰痛をこじらせないように無理せず、雨だった時のために持ってきた本でも読もうかな。
宿に帰って、温泉に入り疲れをとろう。
重だるくなった足腰を引きずり、ホテルに戻る。