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曇天の静かな多摩川で探鳥

日曜早朝。
天気予報は昼から雨と告げている。
午前中なら散歩できるかな。
人混みが苦手な私は都内の混み合うエリアから逃れ、静かに過ごせる場所を目指すことにする。

早朝の青梅方面のJR中央線。
車内には、夜を明かした若者たちやトレッキングに向かう人たちがぽつりぽつり座る程度で静かだ。
1時間と少しで目的駅に到着する。

朝7時前の羽村駅

お目当ての羽村取水堰は、駅から歩いて15分のところにある。
多摩川から玉川上水への取水口である羽村取水堰。
多摩川中流に位置し、静かに野鳥観察ができるので気に入っている。

取水堰の橋から多摩川上流を望む
玉川上水の始まり
「たまがわ」でなく「たまりばー」。ここから50㎞下流が蒲田なのか

前回訪れた時は護岸工事の真っ最中だったが、現在は工事が終わり静まりかえっている。
人影もまばらだ。
晴天だったらもっと気持ちいいんだけどな。

整備された河岸。座って川の流れを眺められる。
早速キセキレイがお出迎え
どいてくれないカラス

ここでもあちこちでモズが「キーキー」「ギチギチギチ」と色んな声で高鳴きしている。

メスも
オスも
君も高鳴きしたいのかな、アオサギさん

この時期オスもメスも鳴くモズ。
普段一人で狩りをするモズは、この時期縄張り争いに必死だ。
オス・メス関係なく喧嘩している。
これから冬にかけて、縄張りの中で餌を食べて体力をつけ、春に繁殖期を迎えるモズ。
縄張り争いしていたオスとメスが、春にはカップルとなる。
これまで敵視していた相手を、どうやってパートナーとして選ぶんだろうね。

歩く私の目の前の枝にシュッと留まった鳥。
何とジョウビタキのオスだ。
慌ててカメラを構えようとするが、首元で双眼鏡とカメラが絡み合い、なかなか構えられない。
もたもたする私をあざ笑うかのように、彼は数秒でシュッと飛び去ってしまった。
あぁぁぁ。

モズ男「残念だったね」

お帰りなさい、ジョウビタキさん。
写真が撮れなかったのは残念だけど、遠くから日本へ渡ってきてくれたことを嬉しく感じる。
また別の場所で会えることを願い、先に進む。

留鳥カワウ・カルガモ・アオサギは、何やら会議中
セグロセキレイたちが芝生を飛び回っている
と思ったら、ハクセキレイが混じっていた

鳥たちは混群を作って移動していることが多い。
写真を見返して、後で他の鳥が混じっていることに気付くことも少なくない。
こちらの注意力が試されている気がする。

ここまで1時間歩いてきた。
早朝自宅を出てきたからお腹が空いている。
川べりに座って腹ごしらえをしよう。

対岸の白い点、アオサギさんを見ながら朝ごはん
アオサギは30分近くこのポーズ。何を考えているんだろう

アオサギを眺めながら、おにぎりを食べコーヒーを飲む。
こんなにじっくりアオサギを眺めることなんてなかったかも。
動かないアオサギ。実はずっと川の魚を探しているのかもしれないが、のんびり過ごしているようにも見えて羨ましく感じる。
人間はいつから、こんなにあくせく時間を過ごすようになったんだろう。

太陽が顔を出し始めた。
休憩を終えて、河川敷を歩く。

ホオジロ♂だ
ホオジロ♀もいる

自然が多いこの辺りでは、1年を通してホオジロが見られるのかな。
都心部ではなかなか見られない。

と見てたら、モズ子がホオジロたちを蹴散らした

ホオジロを蹴散らしたモズ。
彼らはシジュウカラなど、自分と同じ大きさの小鳥も獲物として捕まえるらしい。
小さな猛禽類とも言われるモズ。
敵に回さない方が良さそうだ。なむなむ。

ふと空を見上げると、山の方から大き目の鳥が飛んでくる。
「どうせトンビでしょ」とスルーしようとした私。
全身茶色のトンビと異なり、顔やお腹が白い。
トンビでないことに気付き、慌ててカメラを向ける。

空から川の魚を探しているようだ
ミサゴだ
ミサゴ(Wikipediaより)

初めまして、ミサゴさん。
トビと同じくらいの大きさの猛禽類。
魚を狩るのが好きで、魚鷹(ウオタカ)とも呼ばれるらしい。
足で魚を器用に捕まえ、餌を取る時の「水を」「探る」行動からミサゴと呼ばれるようになったという説が主流のようだ。

ミサゴは一度川面へ急降下したが、魚が逃げたのか高度を上げて山の方に戻っていった。
この辺りに住んでいるのかな。
大きな羽を広げ悠々と飛ぶその姿を初めて見たけれど、カッコいい。
もっと見ていたかったな。

トンビ「僕もカッコいいと言われたい」
水辺ではセグロセキレイの後ろでイソシギが餌探し
キジバト「何勝手に撮ってんのよ」

ごめんごめん。
羽繕いに夢中な様子が可愛かったもので。

橋の欄干に赤とんぼ
ススキがあちこちで秋を演出

今回は3時間ほど散歩。
あまり天気が良くなかったけれど、静かな水辺でゆっくり時間を過ごし、心はリラックス。
ミサゴにも会えたし、生き生きとした野鳥たちから元気をチャージできた。
今度は葉が落ちた頃に来て、そばの浅間岳にも足を延ばしてみようか。
雨雲が近づいているから、帰りの電車が混む前に帰ろう。
昼を前に、羽村堰を後にする。



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