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管理職研修でZ世代について学び、想う

とある日曜日。
病院・診療所の管理職が100名超集まり、今管理職の悩みの一つである「Z世代職員の対応」について考える研修が開かれた。
私の職場ではZ世代の職員が数名いるが、特に問題に感じてはいない。今回は他の管理職の苦労話でも聞いてみようか、というスタンスで臨んだ。
最初に「Z世代の思考の傾向と、私たち上の世代との認識のずれ」について講義で学び、その後グループでディスカッションを行った。

皆さんはもうご存じだろうが、Z世代は1990年半ば以降に生まれたデジタルネイティブ世代。「SNSを介しての」情報収集・発信、人とのつながりを得意としている。
一方でこれまでの世代にとっては当たり前のコミュニケーションが苦手だ。
彼らは幼少期から多様なSNSの中で友人関係を築いてきた影響で、自分に合った環境で「個」の意識を確立している。
リアルな社会で、自分に合わない状況で様々な人と出会い対話する機会が少ない環境で生きてきたといえる。
感情のぶつかり合いに対する耐性も低い。

仕事でのZ世代の特徴は、失敗を恐れ、タイパ・コスパを重視する点だ。
確実に成功する時代でない現代、Z世代は将来への不安が強く、自分の仕事の「意味」「価値」を重視し、自分に合わないと思えば切り捨てようと考える。
「この仕事、何のためにするんですか」
「これは自分がやる必要がありますか」
彼らが良く発する言葉だそうだ。
コロナ禍の影響もあり、彼らは社会で行動による成功体験を積んでいない一方で、最短のルートで任されたことを確実に遂行したいと考える。
したがって、自分で解決策を考えずに上司にすぐ正解を聞く傾向があるという。
任された仕事の内容に納得してからでないと動けないし、任されたことしかしないという。
職場が自分に合わないと思ったら、職場への適応より離職を選ぶ。
(…うーん)

Z世代は上司に「個(自分)を大切にしてほしい」と考えている一方で、コミュニケーションが難しく会社や上司と打ち解けるまでに時間を要するという。
彼らは競争が苦手。自分のテリトリーに入ってこられるのも苦手。
昭和世代が好む「情熱」「アットホーム」といった言葉が嫌いだそうだ。
(オーマイガット)

事前に本などである程度知ってはいたが、講義を聴いているうちにZ世代自身のことが心配になったし、「将来この人達(Z世代)ばかりになり、医療・介護業界は大丈夫だろうか」と不安にもなった。
医療介護の世界では、苦悩を抱えた障がい者や高齢者が相手。
彼らとのコミュニケーション能力が武器となる。
会話を通じて利用者の思いや感情を引き出し、元気になってもらう業務にZ世代が適応できるとは思えない。
とあるZ世代のリハ職員は、一度怒られた患者さんに怒られないために、その後の訓練を「会話無しで」行ったそう。
コミュニケーションでの再失敗を恐れた結果とはいえ、コミュニケーションを重視しない彼らの言動に驚くしかなかった。
(もはや理解不能な宇宙人レベル)

患者一人一人の人生は異なるし、正解がない場合も多い。
患者とのコミュニケーションを通じて答えを出すのがこの業界のあたりまえ。
私も患者さんから随分と怒られた。
怒られたら逃げるのではなく、なぜ患者が怒りを感じたのかを考え、彼らの問題点や大切にしていることを抽出し、再度話し合う。
そういった会話を通じて患者と一緒に答えを出してきた。

人間は「表情や言葉でのコミュニケーション」を通じて喜びを感じ、癒され、学び、成長できると考えていた私。
コミュニケーション能力は、人間関係を築く人間の本質的かつ大切な能力の一つだと信じて疑わなかった。
SNS 上でしか発揮できないコミュニケーション能力は、真の能力とは言いがたい。
様々な困難が待ち構える人生を生き延びるうえで、この能力を失ってはいけないと思っている。

Z世代のもう一つの問題点として、「失敗を極度に恐れ、自分で考えずに問題解決を他人に委ねる仕事の仕方」も気になる。
新人さんのうちは良いが、自分が教えサポートする側に回ることを自覚しているのだろうか。
人からもらった正解ばかりの最短ルートでは仕事が身に付きにくいし、不測の事態に対応できる柔軟性が身につかない。
若い時だからこそ思い切り失敗し、失敗から学べば良い。

人生失敗だらけ。仕事でも失敗や挫折から多くを学んできた私。
ストレスを感じもやもやしながら自問自答を繰り返し、解決策を見出してきた。
今は、その経験が私の貴重な財産であり、宝物でもある。
失敗の無い人生は楽なのだろうが、失敗は人間を大きく成長させてくれる。
色々な視点があることにも気づかされる。

若い人たちには人生の最短ルートを目指すのではなく、若いうちにどんどん失敗し、寄り道をしてほしいと思う。
それらは若い時にしかできないのだから。
Z世代には上の世代に合わせてもらわず、自分達のやり方に疑問をもち、上の世代の良いところを吸収してほしい。
私たちおじさん・おばさん世代も、あなたたちの良いところを伸ばせるよう頑張るから。
研修会を終えて、そう思った。

研修前、朝4時半にジョギング。きれいな朝焼け
静かなイチョウ並木の朝

東京の朝、夜明けは4時半。
これから夏至に向けて日の出はさらに早くなっていく。
頭のモヤモヤやストレスを吹っ飛ばせるジョギング習慣。
仕事をしながら心の健康を保つために、これからもやめられそうにない。

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