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東京湾で探鳥:ニンジンと美味しくない鴨

休日の早朝、久しぶりに三番瀬を訪ねた。
前回9月に訪れた際は残暑厳しかったものの、たくさんのシギチに会えたところだ。
冬はどんな様子なんだろうと気になった私。
可愛らしかったミユビシギにもう一度会いたいな。

三番瀬からの夜明け。美しい空
富士山は綿帽子をかぶっている
砂浜に、鳥たちが残した可愛い足あと
日の出直後から、餌探しに夢中なシギチたち

三番瀬はバーダーにとって人気の探鳥地。
それなのに人が全くいない。
この日の干潮時刻は5時台、満潮時刻が昼の12時と予習してきたが、既に潮が満ち出して干潟に迫っている。
あらまあ、これじゃ1-2時間しか観察できそうにない。
ゆっくり観察しようと思ったら、満潮から干潮にかけてのタイミングで来た方が良さそうだ。
次から気をつけようと心に決める。
それにしても、静かな海岸を独り占めできるなんて贅沢だ。

ハマシギがトコトコ
いた、ミユビシギ

この日は大半がハマシギ。
ハマシギの群れに、ミユビシギなどが混じっている。

ミユビシギが近くまで来てくれた。かわいい

朝まだ柔らかい光の中、シギたちの足の速いこと。
海水が満ち出した干潟のお陰で彼らに近寄りづらい上、トトトトと走りまわる彼らを写真に綺麗に納めるのが難しい。

ミヤコドリさん、おはよう
みんな仲良く餌探し
と、ハマシギの群れが突然飛び立った(ブレブレ深謝)

シギたちは時折一斉に飛び立ち、上空を群れで飛び回る。
飛ぶ向きはみんな一緒。
背中側が見えている時は灰色の群れ。
お腹側が見えている時は白色の群れ。
空で白や灰色に変化する群れを目で追うのも楽しい。

背中側はこんな感じ
みんなお腹が白いんだね
気が済んだら降り立つ
そして、餌探しを再開
目を閉じる様子が可愛い
でかいミヤコドリはじっと前のハマシギを凝視

真っ赤なくちばしのミヤコドリ。
バーダーの間で「ニンジン」というあだ名で呼ばれている。
二枚貝を食べるのが得意な彼らは、英名でOystercatcherというらしい。
身体は大きいが、チドリの仲間だ。
あだ名を知って以来、彼らがニンジンにしか見えない。

ニンジン、ニンジン、ニンジン、ニンジン

と、ハマシギより少し大きい鳥を発見。

ダイゼンだ
こちらもダイゼン

ハマシギとミユビシギだけと思っていたら、ダイゼンが混じっていた。
やっぱり、シギチを見分けるのは難しい。

潮がだんだん満ちてきた
食事を終えたハマシギたちが集まって休んでいる
ミユビシギたちはまだ食事中

さあ潮時と判断したのか、ハマシギたちの群れが一斉に飛び立った。
シギたちがいなくなった干潟にぽつんと2羽残っている。

シロチドリと
足にタグ付きのミユビシギ
シロチドリ「皆どこに行ったか知ってる?」ミユビシギ「さあ…」

ハマシギの群れが去った後に残されたシロチドリ。
群れに交じり気づかなかったが、取り残される形で見つけることができた。

潮がさらに満ち、干潟が姿を消そうとしている。
東にある桟橋を沖の方まで歩いてみる。

それにしても、広い空に海が気持ち良い

桟橋は、防波堤まで伸びている。
時折吹き抜ける突風におっかなびっくりしながら、先を進む。

ハマシギたちはここで羽を休めていた
防波堤にはウミネコやミヤコシギが羽を休めている

この日は時折風速8m近い風が吹きつける。
大雪予報となっている日本海側の天気と関係があるのかな。
晴れているけれど、風が強く体感温度は0℃近い。

風にあおられる波
ザッパーン

桟橋から海の風景を堪能し、浜へ戻る。
と、私が大好きなカモを見つける。

こちらを見ている首の長いカモ
そう、オナガガモ♂

オナガガモは読んで字のごとく、オスの尾が長いことから名付けられた。
他のカモに比べて首が長くシュッとしたスタイリッシュな体つき。
こげ茶色の頭に白いスリットが入り、カッコいい。
久しぶりに会えた。

後ろ姿も綺麗
群れで飛んで行った

容姿端麗なオナガガモ。
狩猟してよい鳥獣リストに入っているが、味は美味しくないらしい。
調べてみると、狩ってよいカモは全部で11種類。
野生のカモで美味しいのは、断然この方だそうだ。

マガモ♂@鴨川「えっ!」

私たちが普段食べる合鴨は、マガモとアヒルの交配種だとか。
マガモは何で美味しいんだろう。
ああ、つい残酷なことを考えてしまった。

桟橋からスズガモの群れ

三番瀬の一つ残念なところは、鉄くず工場がすぐ横に隣接していること。
工業地域に位置しているから仕方のないことなんだろうけど、これが森だったら最高なのにな。

潮が満ち、干潟が姿を消した
ハト以外は鳥がいなくなった
ひときわ目立つ白いハト

2時間余りと短めだったが、ハマシギにミユビシギ、ミヤコドリをじっくり観察することができた。
強風に指がかじかみながらも、人気のない快晴の海岸で非日常的な時間を過ごすことができ、心はすっかりリフレッシュ。
今度はゆっくり観察できるタイミングを狙って来よう。
三番瀬を後にする。


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