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すごく、すごく、うみ(恋詩)


すごくうみだ。どこにいっても記憶(貝殻)だし、戦争で用いられなかった(うれしい)言葉(藻)がたくさんころがってる。のびのびと背伸びをして、ぐーんとたっぷりの潮風を浴びている。お、あ、あの)すごく、うみだ。果実のふくまれたゼリー(ゼラチン使用)を、砂浜の地下室で発見したのがはじまりだった。ふれれば生きていることがわかってしまうから、ひとりをのこして潮騒のほうへ引き返してきた。それを母と名づけるのに五年ほど砂利を噛むのをしいられた。わたしにも、どうすればよかったのかはわからなかった。どう肩を動かせば褒めてもらえるのかわからなかったすごく、すごくうみだったから。「記憶の何億倍もプリンだね」愛想笑いをして、タイリクヒトモドキ(アガー使用)みたいに生きていくしかなかった。



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