星野灯さん「星のゆらぎに火を焚べて(七月堂)」(感想)
星野灯さんの詩はやさしい。
それは「優しさ」であり「読みやすい」ことと繋がる。
しかし、むずかしい語句を使わずにいながらも、その詩行はこの世界の複雑なイメージを背負っている。
また、語りはとても静かだ。
詩に費やされることばは少なく、だからこそ最短距離で読み手に届く。
星野さんの詩のことばが、磨かれてきたことの結実なのだと思う。
それはP.24『異星人』P.32『両手に爺』などの、ユーモアに満ち溢れた詩を読めばわかる。
詩は自由だが、表現するひとがなににも縛られていないかどうかは、わからない。そこで、優れた詩ができるかどうかが決まるのだと思う。
ユニークかつユーモアのある詩を書ける人は、あきらかに自由だ。
ことばとなかよしで、かつことばを研磨させてきた詩人にしか、それはできない。現代詩人でも、読みながらほがらかな気持ちになり、楽しくなれる詩を書ける星野さんのような詩人はほんとうに貴重だと思う。
また、新たな視点を提示するという意味でも、星野さんの詩は優れている。
P.36『窓』P.52『生命』P.102『青くなれない私たち』p.110『青春』を読むと、私は私の内側にないことばを読めることの幸福を噛みしめることができる。他者のことばが、これほどストレートに内部に語り掛け、そこに新たなものを置いて行ってくれることの、なんとありがたいことだろう。
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nostalghia(のすたるじあ)
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