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わたしから産まれた春を知らない子ども(恋詩)
わたしから産まれた春を知らない子ども、が脚のおおい生きものたちとフラットでおどっている。はじめに未開の子のひとりが、梔子の実をうつくしく嘴でころがして、すべての屋根に別れが告げられる。
はやすぎる、遠ざかる、こわれないよう服の裾を伸ばす伸ばしてあげる。笑わない日々ならばそれでもよかった、愛されていた、と気づくためのステップとして、それはあまりにも準備し尽くされていたから。子と、子が、不幸に恋愛をしないための御守りとしての果実には看取られなかったひとびとの輪郭が擦過される。少し待って、ゆびわ、の話をあとでするから、ここで待っていてほしい。取り繕わずに話すから。
カーネーション、の音節は肌寒い。
春は告げられずに内面から熟していく。
nostalghia
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