水脈(詩)

母が父と別居を始めたとき、私は3歳だった。兄は6歳。阪神・淡路大震災の朝だったと聞いている。母方の祖父母の車に乗せられた私は、遠ざかっていく父の姿を泣きながら見つめていた。

先日、私の息子が4歳になった。私の父が見ることのなかった年齢の私。もちろん息子と私は違う。息子氏には父親のいない家庭があるなどということは想像もできないことだろう。それでも、ここまでそばにちゃんといられたというそのことだけで、私は何かしら安堵を覚えていた。

機能不全家族で育った子供は、また機能不全家族を生み出す傾向にあるという。ほとんど呪いのようなこの言葉を自分にあてはめないために、私は本を読み、借りた言葉でなんとか詩などを書いている。

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