詩を作ったはいいけど、作ったものをどうすればいいかわからない人のために(詩の投稿について覚え書き)
こんにちは、nostalghiaです。
この記事をご覧になっているということは、みなさんは詩を作っている方でしょうか。
「詩ができたけれど、どこに発表すればいいのかわからない。」
そう思われている方のために、私の経験上のアドバイスができればと思いこの記事を書いています。よろしければご参考までにお読みください。
1.周りの人に読んでもらう
いちばん手軽で、いちばん反応がもらえるのはこの方法です。
家族や友人などが真っ先に思いつくでしょうか。もしもあなたが学生であるなら、国語科の先生や塾の先生などに読んでもらうのも良いと思います。
この方法においてのメリットは、目のまえですぐに読んでもらえて、すぐに感想がもらえるということです。読んでもらっているときの相手の反応や、読み進めているときの目線の動きや感想の一言めを待つ時間というものは、なかなか味わい深い緊張感があります。
2.インターネット上で公開する
次に手っ取り早いのはこの方法です。現代ではもうこちらのほうが主流になりつつありますね。
詩には個人の感性や考え方というものがぽろりと入ったりもします。
周囲にそういったものを見せづらい関係の人しかいないのであれば、インターネット上で公開するのはとても手っ取り早いです。
手っ取り早い例を挙げるならSNS、主にXやnoteでしょうか。ハッシュタグをつければ多くの人の目に留まります。ほかにも検索していただけると現代詩専門の投稿サイトがあります。
投稿の手軽さや多くの人に見てもらえるというメリットは多作や向上心につながり、詩に限らず創作をするうえでとてもありがたいものです。
ただし、デメリットもあります。それは埋もれやすいということです。
現代は大量消費社会であり、ネット上で公開されれば詩も消費される情報のひとつになってしまいます。せっかく苦心して作り上げた詩がタイムラインに埋もれていくのは、少しばかり寂しい思いも残ります。
また、反応が必ずもらえるとは限りません。そして、なぜ感想や反応がもらえなかったのかを知る方法はひとつもありません。
「時間をかけ、ことばを選び、思いを込めた詩なのになぜ?」「どうして誰も読んでもらえないのか、どこが気に入らなかったのか?」という答えの出ない疑問が浮かび上がってきます。
すると、人によっては「反応や感想がきてないかな?」とサイトを四六時中更新し続けることになり「自分の詩が良くないのではないか」「もっと読まれやすい詩を書くべきなのかも」などと考え込んだりして、本当に大切な詩作の時間を取れないということにもなります(過去の私です)。
ネットでの発表は手軽なのがよいのですが、「まあこんなものか、次の作品を作ろう」という気持ちの切り替えができる人、というかそもそも他者の評価を必要としない人でないと、承認の落とし穴にはまることにもなります(むしろ、反応や感想がもらえすぎるとそれはそれで恐ろしいものでもあります。こちらはご参考までに覚えておいてください)。
3.同人誌上で発表する
たとえば、後述する「詩と思想」という雑誌の巻末を開いてみると、同人誌一覧が地方ごとに掲載されています(同人誌とは、同じ趣味をもった人たちが集まって定期発行する簡易版の雑誌みたいなものです)。
「入れてください」「いらっしゃいませ!」というほど間口の広いところばかりではないと思いますが、インターネット上で活動している同人誌は連絡が取りやすく入会の窓口もわかりやすいので、代表の方のXなどのアカウントを調べてみてください。
こちらも「入れてください!」「どーぞどーぞ!」で入会できるわけではありません。活動の記録をSNS上で残したり連絡先が分かりやすい分、地方の同人誌よりは間口が開かれている程度です。
もし入会したいのであれば、前述のウェブ上での活動を活発に行い、自身の認知度を上げていくのが良いと思います。すると、逆に声がかかるかもしれませんし、同様にウェブ上で活動している人と同人誌を立ち上げるようなこともあるかもしれません。
ただ、同人誌はタダではありません。同人誌を発刊するためにはお金がかかりますので、会によりますが「年間〇〇円」という会費制のところもあれば、刊行する際に印刷代を会員から集める制度のところもあります。
最近ではネットプリントを活用したり、ウェブ上でpdf形式で配布したりしている同人誌もありますので、そういったところは比較的安く、もしくは会費がかからないかもしれません。
ただし、同人誌にかかるのはお金だけではありません。
時間や労力もかかります。
しかし、もし編集作業などを担当できるのであれば貴重な経験になります。編集作業でなくても、校閲や事務的な作業などやることはたくさんあります。代表や幹部的な人たちが専門的に行っているのでなければ、(特に少人数制の同人誌は)任される機会もあると思います。
将来、自分で同人誌を立ち上げる際や社会的な経験にもなりますので、やって損はありません。もし機会があれば、積極的に手を挙げることをおすすめします。
(そしてなにより、気の合う仲間たちとする同人誌の活動は楽しいです。)
4.投稿欄
最後に、雑誌などの投稿欄についてお伝えして終わりたいと思います。
周りの人にも読んでもらえたし、インターネット上でも何度か反応や感想をもらえた……でも、どうしても詩を作っているという実感が得られない。もっと多くの人に自分の詩を読んでほしい、自分の詩が個人ではなくより大きな世界でどれほど価値を持つのか確かめたい。
そう思ったとき、自分の詩の持つ力を試すために、そしてより成長するために、投稿欄という場があります。
以下に、個人的に知っている範囲で投稿欄を列挙しました。
…
①ココア共和国
詩人の秋 亜綺羅さん、佐々木貴子さんが主催する詩の雑誌です。
・web上で投稿ができる
・佳作までに入れば電子版に掲載される(本誌では傑作まで)
・選評は数作品のみ
ココア共和国|あきは詩書工房|詩の投稿 (youyour.me)
⇧投稿はこちらからです。
②詩と思想
三大雑誌(と私が勝手に思っています)その1です。大きめな図書館であれば割と置いてありますが、書店で探すとだいぶ苦労します。購入する際は大型書店に行ったほうが良いです。
投稿規定については雑誌を購入してご確認ください。
③日本現代詩人会
H氏賞などを決定する日本現代詩人会の新人発掘の投稿欄になります。
・web上で投稿ができる
・佳作までは名前のみ掲載、入選すると作品も掲載
・入選作すべてに選評あり
・1~3,4~6,7~9,10~12月の四期にわかれており、各期間中に3作まで投稿可能
毎回の投稿数が結構多いので、佳作に選んでいただけるだけでもうれしいですし、入選に選んでいただけるととびあがるほど嬉しいです。
詩投稿 | 日本現代詩人会 (japan-poets-association.com)
投稿規定の確認、投稿は⇧のサイトをお訪ねください。
④ユリイカ
三大雑誌その2です。三大雑誌の中ではおそらく最も書店に置いてある雑誌なのですが、どちらかといえば文芸・文化批評のための雑誌なので、詩専門の雑誌ではありません。巻頭のほうにプロの詩人の作品が数編、巻末に投稿欄の作品が数編載っているくらいです。
でもだいたいの書店に置いてあります。掲載されると、家族や知人にわかりやすくお知らせできます。
投稿規定については雑誌を購入してご確認ください。
⑤現代詩手帖
三大雑誌その3かつ現代詩の総本山です(※とても個人的な見解です)。
「現代詩手帖の新人作品(投稿欄)において年間の最優秀作品に選ばれる=現代詩手帖賞を受賞する=プロの詩人になる」という意見を持つ人もいるほどです。
私が現代詩の総本山と呼びたい理由は、現代詩の最前線で活躍する詩人の多くが寄稿しており、詩人の方々の最新作を読むことができる場だからです。
そしてなにより、投稿欄への熱意がまったく違います。
毎月の投稿数は800作品を超えます。入選する詩作品はどれも力強く、命を削って書いていることがひしひしと伝わってきます。
投稿規定については雑誌を購入してご確認ください。
……
投稿欄はレースであり、勝負の世界になってきます。
そういった世界に自分の作り上げた大切な詩を投げ入れるということは、自身の詩の持つ力について決定的な評価を下されるということでもあります。
自分の作品を愛していれば愛しているほど、掲載されなければ思い切り落ち込みます。一度良い結果が出たとしても、次も同様に良い結果が出るとは限りません。
落選が続くと、詩を書くのが嫌になることもあります。
でも、とにかく結果が出るまで出し続けてみてください。
なぜなら、毎月継続して投稿し続けることに意味があると思うからです。
たとえば、ある雑誌に毎月3作送るとすると、あなたは年間で36作品の詩を作ることになります。36回ことばに悩み、ことばを切り捨て、ことばを積み上げる苦しい経験をするわけです。
多作はあなたの成長につながります。
詩を多作していくなかでしか得られない学びや気づき、詩のスタイルの確立、自分なりのことばのリズムの獲得、ことばへの気づきなどがたくさんあります。
ご参考までに、覚えておいていただけると幸いです。
5.おわりに
あなたが良いと思っている作品に特に価値を見出さない人もいれば、その反対に、あなたが「うーんこれはあんまり…」と微妙な評価を抱いている作品を強く推してくれる人もいます。
もしあなたが詩を発表するのをためらっているのであれば、まずなによりも発表してみてください。とにかく発表してみてください。
あなたが思っている以上にあなたの詩を良いと言ってくれる人、逆にまったく興味を示さない人に出会うことは、きっとあなたの素晴らしい経験になります。
最後に、私の好きな寺山修司の言葉を引用して終わります。
nostalghiaでした。