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sonatine.(小詩集)


note小詩集、sonatine.です。ピアノを弾きながら作りました。






はしりながら、こっちにやってくる、わたしは
従属するプラットフォームのまんなかで、あなたを
のぞきこんでいる。禁猟の区域から、まっすぐに
釣竿をかかげるひとの、鉛直におちていく、
やさしさ、くく、まいにちのにっき、あなたは
いまがいちばんしあわせだからいま、
ここでしななければいけない。






piano sonataそれからsonatine.独奏のための準備として、
期待されるいくつかの、模倣された手指の動き。
「蜘蛛をころしたことがある」それでも祖母の赤子を
台所に発見するまでは眠ったままでいい。

「ひとをころしたこともある」だったとしても、
わたしには関係がない。
わたしは関係すべきではなかった。
だれかの独奏によっていきかえることを
のぞまれたのであれば、
あなたはえいえんにひとりでいないといけない。



2




蒸発。部活動から帰るときの気楽さで、
どこにも居場所がないと告げたい、猿の手を抱いて眠れない
眠れなかった日々のことを今もおぼえている。

駅から駅へ、おぼえたばかりの、うろおぼえの、
金属臭をはなつ、ピアノのために書き下ろされた音楽。を
やわらかく触られながら。

「鍵をつかわなくても弾ける曲って」いちばんやさしい、
やさしいということがつたわる指の曲げかたで、
ひとつめの音を
たたく。


3




熱が出たというからおむかえに行くと息子はいなかった。ベッドの上にはくしゃくしゃになったシーツだけがあった。清潔すぎるにおいに、汚く汚れた汚物のわたしは痛い、とても痛い。静かすぎる。わたしははやくしずかになりたい。小児用のベッドがカーテンで囲まれている。ふたつも。死にたがっている標本を見つめると午後にねむれなくなる、とわかっていても希釈されていく痒みがある。床、垂直に起床するこどもたちの「ありがとうございました」どうしてうまれてきてしまったのか、ピアノを弾くだけの、長く短いsonatineそれからsonata.呼吸がいつだってうまくできなくて、わたしはいつだって先生にたしなめられていた。「きみはここでえいえんにはいきられないだろうね」それがずっと。



4





-----小詩集sonatine.-----


1.ここでしななければいけない
2.えいえんにひとりでいないといけない
3.やさしい音
4.きみはえいえんにいきられない

                                   2024/09/18/nostalghia
                          nostalghia2020@gmail.com

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