「さいきん」(短歌5首)


さよならの仕方がやっぱりわかりませんキリトリ線を僕にください


教卓にラピスラズリが伏せられた 青薔薇のような君の不在だ


鰐もまた恋する季節を探しては0回忌に百日紅の蕾


アルベール・カミュの『ペスト』が燃えるまで終末譚と躍る乙女ら


早朝に飲み忘れた錠剤のような淡さで透けていくのか




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〈解題にもならないような解題〉

「さよならの仕方がやっぱりわかりませんキリトリ線を僕にください」

大学時代に作った一首です。自分の短歌のなかでいちばん気にっているかもしれないです。今みると現代短歌の流れを意識しすぎててちょっと狙ってる感があるなと思わなくもない。当時はまだ結婚してなかった妻と毎日ばいばいするのが寂しくて作ったことを思い出しました。恥ずかしい。僕って自分のこと言ってたことも思い出してまた恥ずかしい。


「教卓にラピスラズリが伏せられた 青薔薇のような君の不在だ」

こちらは推しているVtuber「yosumi」さんのイメージを元に作りました。大学卒業からずっと短歌をやってなかったので(詩とか自由律俳句とかやってました)七年ぶりにちゃんと作りました。不在とか、実在とか、それ自体には詩情のないことばになにか感情を込められればいいな、といつも思ってます。私はどんなことばも借り物だと思っているので、詩歌の世界で新しい価値とか意味を与えられたら、なにか恩返しができたような気持になるのです。



「鰐もまた恋する季節を探しては0回忌に百日紅(さるすべり)の蕾」

ワニくんですね。100日後に死ぬワニの最後が気になって気になって、一日中あたまを離れず、短歌になりました。


「アルベール・カミュの『ペスト』が燃えるまで終末譚と躍る乙女ら」

社会情勢。


「早朝に飲み忘れた錠剤のような淡さで透けていくのか」

私はよく薬を飲み忘れます。特に花粉症の薬を忘れます。
夕方になると生きる目的を見失います。
自転車で薄暗い中走っていると、なんか知らない街で迷子になってるみたいに思います。めちゃくちゃ方向音痴なので地元でも迷います。


5首ちゃんと作ったら、またまとめます。
生きるぞ~~~~~~

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