障害者が働ける仕事作りが急にはじまった話

去年のJICABLUE(協力隊経験者を対象とした社会的に意義のある事業の起業塾)、8月の障害者が入居する孤児院との覚書締結、9月10月のクラウドファンディングを経て2025年の2月の今週に急に障害者が働ける仕事作りの活動がはじまりました。全然思っていた感じじゃなかったけど。

養鶏からスタートしようということで去年の9月10月にクラウドファンディングの支援を募りました。募ったのはよいのですがその後、選挙に関する抗議活動が起こって1月まではモザンビークの社会機能がストップしてしまっていました。あと仕事作りの関連で一緒に働いてくれる人を雇用することができなかったことも一因です。

この活動は公立の孤児院(様々な障害がある身寄りのない人たちが50人以上生活している)と共同で行うもので、施設の職員(公務員)にお願いして管理してもらえばよいのでは、という風にも考えられるのですがそれは多分うまくいかないだろうなと思っていました。こちら側の人間が孤児院内でオペレーションを回していないと単にニワトリを寄付した感じになって「いつもの寄付」という感じで消化されて終わるだろうなという強めの予感がありました。

私自身がモザンビークの公務員全般もしくは彼らを象徴する傲慢さとか権威主義とか個人の利益にならないことには徹底的に冷たいとか基本仕事に興味ないとか、そういうなんというか小役人気質というかそういうのが大嫌いだというのがあります。もちろんモザンビークにもいろんな公務員がいるのですよ。汚職の防止が進んでいるような雰囲気もあります。

それでもなぜ公的機関と連携して活動を進めたいのかというと、私たちのような団体を支援するドナーにとって現地の公的機関と連携しているというのは大きな信頼なのですね。2年とか3年で一つのプロジェクトは終わりますがプロジェクト終了後の発展性を考えても現地政府との連携というのは案件が採択されるに当たって大きなプラス材料になります。

とはいえこちらの公的機関の職員たちは上司のいうことは聞きますがこちらの言うことは聞かないので、特に各職員に直接的に得にならないことは無視されるか無効化されるので、オペレーションはこちらで雇った人にやってもらう、が必要事項だと思っていました。今でもそういう形をとるほうがよいと思っています。

けれども障害者福祉についての仕事に適正のある人を雇える資金もなく無償で協力してくれる友人もいなくてどうしようかなと思いながら1か月ほど経ちました。

先週にJICABLUE(協力隊経験者を対象とした社会的に意義のある事業の起業塾。2024年にはじまりました。一期生として参加しました)のフォローアップ会がありました。このJICABLUEで私は障害者がニワトリを育ててたまごを収穫して自立するという事業案を作りました。

フォローアップ会ではみんなで進捗のシェアをしてたっぷり刺激を受けて、「選挙後の抗議行動や人材や資金とか、外部環境のせいにしていただけかも。どんな形でもいいからはじめるべきだったな。いや絶対そうする」と思い直しました。スイッチが入りました。

その日の午後に孤児院の元院長(去年の12月に定年退職したが嘱託という形で院長を続けている)が会いたいといっていたので面談しました。用件はすでに分かっていて、再就職先を探していてぜひあなたのところで働きたいというものでした。たぶん私たちのことを外国人のお金持ち団体だとでも思っていたのだと思います。面談自体は15分ぐらいだったと思います。「あなたを雇うお金はない。しかし今やろうとしている障害者の仕事作りをなんとかスタートさせようとしている。入居者のために何か仕事を作りだしたい。小さくとも実績を積み重ねれば道は開けるはず。仕事が軌道にのれば謝礼を払う」と簡潔に伝えたところ、「じゃあ近いうちに作物の種が届くことになっているから入居者と一緒に栽培することにする」ということになり今週にはくわやじょうろなどを購入して圃場作りがスタートしました。
来週には種が届くのでそれを蒔きます。

まだどうなるかなんて全然分からないですけど、でも小さくとも何か進みました。すごいですね。

そういえば事業の最初の最初にやっていたことは、事業パートナーのベランダに近所の子どもを呼んで勉強を教える、だったのですからそれと比べたら公的機関と連携して活動しているなんてとんでもなく成長していますね。


圃場づくりの様子

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