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#逆噴射プラクティス
天国サーバーから戻った男
「無事施術が完了し、貴方の魂はサーバ4638に保管されました。ご気分はいかがですか。」
施術の成功を喜ぶ家族の声がカーテン越しに聞こえ私は目を覚ます。
家族や職員はベッドに横たわる私の肉体には目もくれず、反対側に設置されたモニターに映る「私」に向けて話しかけている。「私」は生前のように家族と楽しそうに笑いあっている。私はこっちだ。気づいてくれ。声は出ない。
職員達が事務的に私の身体を運び出す。
僕らのバーチャル放課後逃避行
まだ暖かく、しかしもう二度と動かない少女の寝顔を横に、真剣な顔で複雑な機械の解析を続ける大人達。
わからない。何故彼女はまだ動いている?
逃げ出そう。どこか遠くに二人で行こう。
僕は彼女を連れて学校を脱出する、飛び乗ったバスが走り出す。一緒に遠くへ行きたい、学校にもおうちにも帰らない。絶対だ。
僕たちの小学校では生徒も先生も皆バーチャルサングラスをかけていて、空中に浮かぶ模型や図形を使った
機械仕掛けの脳は迫り来る黄昏に
私はどんな臓器でも創ることができる。
機械の目、耳、心臓、肺…。
本物より品質のいい物を、が私のモットーだ。
その客は若い母親だった。抱き抱えられ眠る赤ん坊には眉毛から上が、人を人足らしめる大脳が存在しなかった。
子供に脳を造ってほしい。
そのような依頼だった。
私はすぐ制作に励んだ。しかしヒトの脳は多機能な精密機械だ、どうしても幼い頭蓋骨には収まりきらない。だので外付けにした。受信機だけ頭
ポスト少女カリプスの少年
少女由来エネルギーで高度発展を遂げた少女文明は、一瞬で世界の8割近くの少女がお砂糖とスパイスの塊になる「少女カリプス」により滅亡した。
「もう備蓄用人工少女が足りないよ、フロッグ」泣き虫スネイルが大量の砂に埋もれ動かないオンボロAI付きジープを叩く。遠くから血と少年(少女が希少のため価値が高い)に飢えたモヒカン共のバイク音が聞こえてくる。子供2人相手にずりぃぞ!そう毒づく俺の首筋は汗と、砂漠めい
麺類型宇宙人は人類の夢の続きを見るか
(この身体に寄生したのは失敗だっただろうか?)
僕は宿主の網膜をハックし、割れた鏡に映る姿を見てため息をついた。ホモ・サピエンス。メス。生殖可能年齢。栄養状態最悪。「この星での旅行を楽しむ」という僕の目標に耐えられそうも無いひ弱な身体だ。これでも永い宇宙航海を終え、たどり着いた青い星でやっと見つけた宿主候補の原生生物だったのだ。
周囲に映るのは崩れかけたコンクリートの群れ。周りには他に宿主にな
半狂乱で庭に穴を掘っていた所を保護された男Nの証言
僕を早く開放してくれ。大事な友が冷たい腐った泥の下でずっと、僕に掘り返されるのを待っているんだ。迎えに行くんだ。約束したんだ。土砂降り?全身が泥と血まみれ?スコップが折れている?関係ない、急いでくれ、夢で見たんだ、この世界で覚えているのは僕だけなんだ。僕が忘れれば誰も彼を知らない世界が来る。ああ恐ろしい、僕の記憶がはっきりしているうちに放してくれ、放せ!ぁあ!君たちに邪魔されなければな、僕は歴史
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