麺類型宇宙人は人類の夢の続きを見るか
(この身体に寄生したのは失敗だっただろうか?)
僕は宿主の網膜をハックし、割れた鏡に映る姿を見てため息をついた。ホモ・サピエンス。メス。生殖可能年齢。栄養状態最悪。「この星での旅行を楽しむ」という僕の目標に耐えられそうも無いひ弱な身体だ。これでも永い宇宙航海を終え、たどり着いた青い星でやっと見つけた宿主候補の原生生物だったのだ。
周囲に映るのは崩れかけたコンクリートの群れ。周りには他に宿主になりそうな生物はいない。(この星の原住民は群れを作ると書いてあったのに)
僕は意識を体内のコアに戻し、宿主の大動脈に触手の一本を突き刺した。この星初の食事だったが、酷く味が薄い。この宿主はずっと何も食べていないのだろう。僕が信号を送ると、宿主は割れた植木鉢に手を伸ばし土をつかんで食べた。これで食料はしばらく大丈夫。これも大切なこの星での「拠点」なのだ。次の宿主を見つけるまで大切にせねば。
【続く】