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『りんごかもしれない』
テーブルの上にりんごがおいてあった。
…でも、…もしかしたら、これはりんごじゃないかもしれない。
もしかしたら、大きなサクランボのいちぶかもしれないし、心があるのかもしれない。実は、宇宙から落ちてきた小さな星なのかもしれない。
「かんがえる」ことを果てしなく楽しめる、発想絵本。
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ヨシタケシンスケさんがこの世に送り出した”発送絵本”という大発明。
ひとつのりんごから展開される、不思議なアイデアと想像力の壮大な世界。
常識も予想も裏切って、どんどん大きくふくらんでいくその発想に目が離せません。
デフォルメが強く線もとても少ないのに、見ればすぐにヨシタケシンスケさんだとわかる独特の絵。
それが、奇妙な発想に親しみやすさを与えていて、一見すると怖いアイデアも、なんだかくすりとさせられる不思議な雰囲気になっています。
まあ、もう、何を言わずとも大人気な本作。
作者のヨシタケさんはこんな風におっしゃっていました。
絵本って、世界で一番飽きっぽい生き物が読むもの。自分の意思で彼らがページを最後までめくるって、じつはすごいこと。子どもの頃の僕にとっての絵本は「自分で読む用」でした。好きな時に好きなページを好きなだけ見るのが、僕にとっての絵本。それを自分が作ろうとすると、「じゃあ、自分一人でニヤニヤできる本を作りたい」となるわけです。
だから、僕の絵本、大勢の前ではすごく読み聞かせしにくい。絵も小さいし、あちこちに文字が書いてあるので、どこを読んでいるのか分からない。後ろの子は見えない。ただ、僕にとっては「隙間が空いている」本が理想。本の中に、自分の経験や好みを入れ込んでしまえるような。「俺だったらこうするのにな」とか、「自分もそれ楽しいと思う」とか。1冊読み終わった時に初めて我に返るような本ではなく、1ページ目から突っ込みどころがたくさんある本。「そんなわけないじゃん」って、突っ込みながら読んでいくような本が理想です。
おとなでも、というか、おとなこそハマってしまうヨシタケワールドをぜひぜひご堪能下さい。
ちなみに、おとなでこういう ”発想系” が好きな方は、次の二冊もおすすめです◎(たまたまどちらも黒い!)
ヨシタケシンスケ・作
対象年齢:4歳から
ページ数:32ページ
2013年4月