飛ばしがちな2作目の復習に。「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」
公 開:2002年
監 督: ピーター・ジャクソン
上映時間:179分
ジャンル:ファンタジー/アドベンチャー
見どころ:ゴラムのCG違和感の無さ
3時間前後の大作が3本もある「ロードオブザリング」シリーズですが、その2作目にあたる「ロードオブザリング 二つの塔」も、3部目に続く内容として、非常に重要なものとなっています。
しかしながら、全部で9時間を超える長丁場ですので、全てを一度で見終えるのは大変です。
そんな方に向けて、2部目はどんな内容だったか、どのあたりを最低抑えておけばいいというところをかいつまんで解説したいと思います。
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」は、メンバーが3組に分かれて行動します。
アラゴルンたちの戦い
アラゴルンを中心としたメンバーによるローハン王国での活躍については、ラストへに繋げていくために必要な地盤を固めとなるパートとなっています。
抑えておくべきは、アラゴルンとエルフの姫アルウェン、そして、ローハン王国のエオウィンとの関係が重要です。
エルフは長生き(肉体や精神が傷つけば死ぬこともあります)ですが、人間はどう頑張っても同じ時間を生きることはできません。
そのため、それぞれが相手の幸せを考えるあまりに、結果として離れていくことを選択しつつも、二人の分かちがたい関係を描きます。
視聴者である我々は、アルゴルンよ、結局人間の女性がいいのか、エルフがいいのか、どっちなんだ、というハラハラ感を最後まで保つことが面白さのポイントでしょう。
ピピンとメリーの戦い
続いて、ホビット族のピピンとメリーの二人です。
勘違いでオークに連れ去られることになった二人ですが、命からがら逃げ延びて、木のように見える生物(木の牧人)であるエント族と出会います。
ひょうきんもので、あまり戦力にならなかった二人が、エントに協力を仰ぎながら、サルマンを撃破するために演説をしてみたり、策を弄してみたりと、ピピンとメリーの関係や、二人の成長がポイントとなります。
フロドとサム、そして、ゴラムの旅
最後に、フロドとサム、そして、ゴラムの物語です。
物語の冒頭に、ゴラムが指輪と出会ったときの話がでてくることからもわかる通り、これは、ゴラム、スメアゴルの物語でもあることを示しているところがポイントです。
話は変わりますが、マーティン・スコセッシ監督「沈黙 サイレンス」の中に、窪塚洋介演じるキチジローという人物がいます。
彼は、キリスト教を何度も何度も裏切るような行為をしながらも、神父に対して懺悔を求める男となっています。
あまりに裏切るので、彼が改心した様子でも疑ってしまうのですが、「ロード・オブ・ザ・リング」における、ゴラムの行動もまたその心境に近いものを感じます(ちなみに、フロドとサムの関係もまた、同じようなものだったり)。
ゴラムもまた指輪の影響を受けているのですが、相反する二つの心が葛藤しているのです。
サムはゴラムを信じませんが、フロドは信じたいという気持ちもあって、ゴラムの行動を許します。
ゴラムという背徳者の存在と、実はフロドがサムのことを対等な友人としてみていないことはなんとなくわかると思いますが、そのサムがフロドに認められる、というところも「二つの塔」でのポイントの一つとなります。
詳しくは「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」の時にも書きますが、サムは不思議なぐらいフロドに献身的です。
ひどいことを言われても、ついていきます。二つの塔でフロドもサムを認めているようにみせているのですが、何度となくサムは辛い目にあいます。
このあたりの演出も、あえてやっているのだろうという意図が、王の帰還までみるとわかるあたり、数々の賞を取った本作品のすごさを感じるところとなっています。
特に、2002年の作品にも関わらず、CGの違和感のなさや、動きのダイナミックさも含めて、見るべきところは多い作品となっています。