【映画感想】黒沢清作品2本「DOORⅢ」「クリーピー 偽りの隣人」
配信で「DOORⅢ」と「クリーピー 偽りの隣人」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。
タイトルにあるように両作とも黒沢清監督です。
海外の映画祭で賞をもらった「スパイの妻」は乗れなかったのだけど、今回2作観て、自分は黒沢清監督が好きなんだなあと思ったのでございます。
DOORⅢ
自分は詳しくないのだけど「DOOR」シリーズというものがあって、今作はその第3弾。
とはいうものの、ⅠやⅡとの関連はなくて独立したものらしいです。
確かにタイトルになっているドア(扉)、一応今作でもそれっぽく強調してますが、話の本筋とは関係ありません。
なので、黒沢清監督の単体ホラー作品といっていいと思います。
冒頭にも書いたけど、評価の高い「スパイの妻」にのれなかった身なのですが、この作品は好き。
以前レビューを書いた「地獄の警備員」も好き。
自分は黒沢監督の「ホラー」映画が好きなのかなあ。
それとも低予算の、ある種チープな感じが好きなのかなあ。
自分でも何を良しと感じてるかイマイチ把握していないのだけど、「DOORⅢ」も「地獄の警備員」も話をこねくり回してないところが好きなのかも。
あと残りは黒沢ホラー演出で頑張ります、みたいな。
しかも余裕のある頑張りじゃなくて、「真面目に頑張ろう」とするところにひかれてるのかもしれません。
「驚かせればいいんだろう」的な感じじゃなくて、「怖さっていうのはですね、こういう方が怖いのかもしれません」的な穏やかな語り口というか。
ホラー映画で真面目に頑張る、って素敵ですよね。
この「DOORⅢ」、すごい前のめりになるかと問われるとそうでもないのだけど、何となく最後まで観ちゃいました。
黒沢監督の作品って、何となく観ちゃうんだよなあ。
そのローテンションのぬめっとした引き付けが自分は好きなのです。
(「スパイの妻」はちょっとテンション高かったんだよな。まあそれが評価されてるのだけど)
総合評価 ☆☆☆
クリーピー 偽りの殺人
こちらは原作ありの作品。
で、話は二転三転して最後まで飽きません。
となると、上に書いた文章の流れで「好きじゃない」ってなりそうだけど、これは好き。(テキトーですね。。。)
面白かったです。
ジャンルで言うとホラーミステリーって感じだけど、実は夫婦の愛情を描いている。
自分はそこにグッときました。
恐怖演出は上手だし(研究室のシーンで画面の明るさが変わる〈暗くなる〉ところは面白かった)、尖った感じの映画と思いきや、テーマは夫婦の愛というベタさ。
そのギャップにひかれましたね。
まあ後味は悪いので、体調がすぐれないときの鑑賞はお勧めしませんが。
西島秀俊さん演じる夫は、良い人なんだけど妻に無関心。
夫婦のそういう部分を告発しているのだと思う。
表面的には一見問題なさそうに見えるのだけど、愛情という点に関していえば無関心って一番問題だよね、って感じでぬめっと突いてくる。
それをホラーミステリーで表現するのが、ある種切なかったのでございます。
繰り返しますが、後味は悪いので、体調を選んで鑑賞してくださいね。
総合評価 ☆☆☆☆
☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆ →まあまあ。
☆☆ →う~ん、ちょっと。。。
☆ →ガーン!
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