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【映画感想】黒沢清作品2本「DOORⅢ」「クリーピー 偽りの隣人」

配信で「DOORⅢ」と「クリーピー 偽りの隣人」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。

タイトルにあるように両作とも黒沢清監督です。
海外の映画祭で賞をもらった「スパイの妻」は乗れなかったのだけど、今回2作観て、自分は黒沢清監督が好きなんだなあと思ったのでございます。


DOORⅢ

1996年 日本
大手保険会社の外交員・佐々木京は営業成績を上げようと、あるビルに新規開拓に訪れる。そこで、外資系企業の上級管理職の座にある藤原美鶴と遭遇。不思議なオーラを放つ美鶴に引かれた京だが、その日以来京の周りで奇怪な出来事が起こり始める。

Filmarksより

自分は詳しくないのだけど「DOOR」シリーズというものがあって、今作はその第3弾。
とはいうものの、ⅠやⅡとの関連はなくて独立したものらしいです。
確かにタイトルになっているドア(扉)、一応今作でもそれっぽく強調してますが、話の本筋とは関係ありません。
なので、黒沢清監督の単体ホラー作品といっていいと思います。

冒頭にも書いたけど、評価の高い「スパイの妻」にのれなかった身なのですが、この作品は好き。
以前レビューを書いた「地獄の警備員」も好き。
自分は黒沢監督の「ホラー」映画が好きなのかなあ。
それとも低予算の、ある種チープな感じが好きなのかなあ。

自分でも何を良しと感じてるかイマイチ把握していないのだけど、「DOORⅢ」も「地獄の警備員」も話をこねくり回してないところが好きなのかも。
あと残りは黒沢ホラー演出で頑張ります、みたいな。
しかも余裕のある頑張りじゃなくて、「真面目に頑張ろう」とするところにひかれてるのかもしれません。
「驚かせればいいんだろう」的な感じじゃなくて、「怖さっていうのはですね、こういう方が怖いのかもしれません」的な穏やかな語り口というか。
ホラー映画で真面目に頑張る、って素敵ですよね。

この「DOORⅢ」、すごい前のめりになるかと問われるとそうでもないのだけど、何となく最後まで観ちゃいました。
黒沢監督の作品って、何となく観ちゃうんだよなあ。
そのローテンションのぬめっとした引き付けが自分は好きなのです。
(「スパイの妻」はちょっとテンション高かったんだよな。まあそれが評価されてるのだけど)

総合評価 ☆☆☆

クリーピー 偽りの殺人

2016年 日本
犯罪心理学者の高倉は、刑事・野上から6年前に起きた一家失踪事件の分析を頼まれる。しかし事件唯一の生き残りである長女・早紀の記憶をたどるも、核心にはたどりつけずにいた。一方、高倉が愛する妻・康子と共に最近引っ越した新居の隣人は、どこか奇妙な家族だった。病弱な妻と中学生の娘・澪をもつ主人・西野との何気ない会話に翻弄され、困惑する高倉夫妻。そしてある日、澪が告げた言葉に、高倉は驚愕する。「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です。」未解決の一家失踪事件と、隣人一家の不可解な関係。2つの繋がりに高倉が気付いた時、康子の身に深い闇が迫っていた・・・

Filmarksより

こちらは原作ありの作品。
で、話は二転三転して最後まで飽きません。
となると、上に書いた文章の流れで「好きじゃない」ってなりそうだけど、これは好き。(テキトーですね。。。)
面白かったです。

ジャンルで言うとホラーミステリーって感じだけど、実は夫婦の愛情を描いている。
自分はそこにグッときました。
恐怖演出は上手だし(研究室のシーンで画面の明るさが変わる〈暗くなる〉ところは面白かった)、尖った感じの映画と思いきや、テーマは夫婦の愛というベタさ。
そのギャップにひかれましたね。
まあ後味は悪いので、体調がすぐれないときの鑑賞はお勧めしませんが。

西島秀俊さん演じる夫は、良い人なんだけど妻に無関心。
夫婦のそういう部分を告発しているのだと思う。
表面的には一見問題なさそうに見えるのだけど、愛情という点に関していえば無関心って一番問題だよね、って感じでぬめっと突いてくる。
それをホラーミステリーで表現するのが、ある種切なかったのでございます。

繰り返しますが、後味は悪いので、体調を選んで鑑賞してくださいね。

総合評価 ☆☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!

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