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【映画】「ナポレオン・ダイナマイト」と「長江哀歌」を観て考えたこと

配信で「ナポレオン・ダイナマイト」、BS3(録画)で「長江哀歌(エレジー)」を鑑賞しました。
で、感想を書いてみようと思います。

と、いつもならこう始まり1作品ずつ感想を述べていくのですが、今回は映画感想というよりは、両作品を較べる形で書こうかなと。
特に意図もなく続けてこの2作品を観たのですが、少し考えるところがありました。

両作の簡単な紹介

「ナポレオン・ダイナマイト」は2004年のアメリカ映画(日本で劇場公開されず)。
簡単なストーリーは、アメリカの田舎・アイダホ州の冴えない男子高校生に焦点をあてた学園もの。コメディです。

一風変わった主人公に一風変わった友達、一風変わった家族とのエピソードが軸で、変わり者を馬鹿にせず、その主人公なりの世界を見つめようというイマドキ映画の走りような作品。

ウィキペディアによると、アメリカでミニシアター公開だったところ、口コミで評判が広がり、全米公開になったということ。

一方、「長江哀歌」はジャ・ジャンク―監督による2006年の中国映画。
ヴェネツィア映画祭金獅子賞(最高賞)受賞。
お話は、三峡ダム建設によって水没する街でのある男女の人間模様といった感じ。

肩書は申し分ないし、実際船に乗っている人たちを横移動で撮影したオープニングロールを観ただけで「いい映画だな」と分かる作品。
ワンカットワンカット黒澤明ばりの迫力ある絵画的な構図に加えて、ダム建設という国家政策とその政策に翻弄される庶民の想いという、大きいものと小さいものを両の手のひらにのせる「詩情」。
世界的な映画祭で賞をとるのも納得の作品です。

こう書くと「長江哀歌」の方が断然良くて、っていう印象ですよね。
賞うんぬんや公開規模の観点からすれば、「長江哀歌」の方が世間的に高く評価されているといっていいと思います。

でもね、自分がこのnoteでつけている総合評価としては、両作とも☆3つ。
同じになってしまいました。。。
これが個人の映画感想の面白いところだと思うのですが、自分でも不思議に感じたんですよね、何でこの2作品が同じ評価になるんだろう?って。
どう考えたって、「長江哀歌」の方がいいに決まっているじゃないかって。
なので、ちょっと掘り下げてみようと思った次第です。

小さな声を大事にしたい

前置きが長くなってしまったので結論を早々に言うと、「長江哀歌」の方はピンとこなかった。
映像表現として優れているのは分かるのだけど、「国家と個人との関係」というものに、自分のなかで盛り上がるものがなかったんですよね。
日本でも過去にこういう時代があったのかも、とは思ったのですが、今時分の観点からすると、どうもピンとこない。

一方「ナポレオン~」の方は、映像表現として優れているかと問われれば「う〜ん、ちょっと」って感じだけど、気持ちの共感具合は大きい。
学校や家族という限定された関係の話に終始しているのだけど、変わり者を馬鹿にせず見下さず、こういう社会になってほしいと切に願う。

ただ舞台がアメリカの田舎なので、ちらちらと背景に映る大自然の雄大さが半端ない。
大山脈に、見渡す限り何もないだだっ広い土地。
日本の都市部でちまちま(←個人の心象です)暮らしている身としては、なんだか複雑な気分。
こんな大自然のなかで暮らしているのに、学校や家族という狭い関係の話しかないんかいなと、少しツッコミを入れたくなる。

方や「長江哀歌」は個人と国家、個人と自然、個人と巨大建築物という対比がなされている。
人の存在というものの大きさ(もしくは小ささ)を測ろうとしている。

でもね、やっぱり「長江哀歌」はピンとこなくて、「ナポレオン~」の方が「わかるわかる」となる。

もう大きなうねりは個人の思いからつくる時代ですよね。
今まさに自分が書いているこの文章だってその時流に乗っかってるし。
大きなものへの関心は失いたくないけど、小さな声を大事にしたいのです。

総合評価 ☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!

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