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映画感想文「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」古風だけど良い、前作より今作が好き

ただいま公開中の「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」を映画館で観てきました。
感想を書いてみようと思います。

いろいろ言われている今作ですが、自分は好きだな。
タイトルにあるように、前作より今作の方が好き。
そこんところをちょいとさぐってみようと思います。

※ネタバレあります。これから観に行くよってかたはお気を付けくださいませ。

2024年 アメリカ
トッド・フィリップス
理不尽な世の中で社会への反逆者、民衆の代弁者として祭り上げられたジョーカー。そんな彼の前にリーという謎めいた女性が現れる。ジョーカーの狂気はリーへ、そして群衆へと伝播し、拡散していく。孤独で心優しかった男が悪のカリスマとなって暴走し、世界を巻き込む新たな事件が起こる。

映画.comより
いらっしゃいませ~

あらすじを転載しましたが、うーん、煽りすぎな気がします。
言い換えると、多数が望んでいた「ジョーカー2」はこんな感じなんだろうなと。
でも実際の映画を観た印象は「古き良き」って印象。「何にも縛られず全てを破壊する、悪のカリスマ」って感じは微塵もありません。
そのギャップが低評価の大きな理由かと思われます。

前作は、アメコミをうまくリアルに落とし込み悪役の人間性を描きつつ、弱者が大衆によって王様に祭りあげられるダイナミックな展開という、太い2本立てがありました。

でも今作は主人公の心情という1本のみ。
作劇要素としては痩せてしまったので、面白味は減ってしまったかもしれません。
ガガさん扮するハーレクインとジョーカーのミュージカルパートがそれを補おうとしているのだけど、、、ここは好みの問題な気がします。

自分は映画内で歌われた「オールディーズ」の楽曲が好きだし、ガガさんは言うまでもなくジョーカー(ホアキンさん)も美声だし、うっとりしちゃったんですよね。

ジョーカーは前作でテレビの生放送中に殺人を犯すというセンセーショナルな行いで注目を集めたのだけど、本心は歌を歌って小洒落たジョークを言うコメディアンになりたかったんだと思うと、切なかった。

また裁判所内の公衆電話からハーレクインに電話するとこなんか、とっても哀愁があって沁みたんですよね。
はげかかったピエロメイクで受話器を握りしめながら、愛を伝える。
もうハーレクインの心は離れてしまっているのにも気づかず、2人の暮らしを夢見るジョーカー。

まさかジョーカーから「(背伸びした)悪のカリスマ」より「本当の自分らしい自分」がいいよね、っていう今の時代感覚じゃ当たり前のことを教えられるなんて、思いもしないじゃないですか。
やっぱり暴力より優しさが人を救うんです。
あのジョーカーがそう教えてくれるのです。
自分はそこに心震えました。

前作は作劇の上手さにとっても感心した一方で、心は震えなかった。
今作は古風な印象だけど、悪役の心の奥にある素朴さに光を当てている。
前作は、弱さの中の悪意を拡大したし、今作は、悪意の中の弱さを見つめる。

前作と比べてどうこう言うより、2つ合わせて1つと見れば、とても上質な作品だと思う。

時代はどんどん前に進むけど、たまには立ち止まって、「良いものは良い」ってかみしめる時間があってもいいんじゃない。
古臭いかもしれないけど、新しくない馴染みのステップで踊る夜があってもいいんじゃない。

ぜひぜひ劇場でご覧くださいませ。

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