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映画感想2本「ユダ&ブラックメシア」と「地下鉄のザジ」
配信で「ユダ&ブラックメシア 裏切りの代償」を、
BS3の録画で「地下鉄のザジ」を鑑賞しました。
「ユダ~」は2021年のアメリカ映画で、黒人解放運動の指導者と、その運動組織への黒人スパイの物語。
実話を元にしたお話です。
かたや「地下鉄のザジ」は1960年のフランス映画。
監督はヌーヴェル・ヴァーグの名匠、ルイ・マルさん。
スラップスティック(どたばた)コメディ。
自分でもすごい取り合わせだと思いますが、理由なく続けて観てしまいました。
感想を書いてみようと思います。
ユダ&ブラックメシア 裏切りの代償
2021年 アメリカ
監督 シャカ・キング
1960年代後半から70年代のアメリカで、急進的な黒人解放運動を展開した政治組織「ブラックパンサー党」の指導者フレッド・ハンプトンが暗殺されるまでの日々を描いた実録ドラマ。元窃盗犯からFBIの情報提供者に転じたウィリアム・オニールは、ブラックパンサー党のイリノイ支部に潜入し、カリスマ的指導者フレッド・ハンプトンに近づく。その政治手腕で頭角を現しつつあったハンプトンは、J・エドガー・フーバー率いる捜査当局ににらまれていた。オニールはブラックパンサーとFBIの間を巧みに立ち回るが、やがてその心に葛藤が生まれる。自身の良心に従うか、FBIからの命令に従うか、思い悩むオニールだったが……。
タイトルはインパクトありですが、内容は落ち着いています。
で、主人公のスパイが影薄め。
主人公に激しく感情移入して「裏切るか裏切らないか、ああ、どうしよう?」、みたいなのはちょい希薄でした。
実話ものの影響かもしれません。
それよりも、ブラックパンサー党がいかに福祉的な善行(食事の提供や子どもたちへの教育)を施そうとしているかだったり、指導者フレッド・ハンプトンの人間臭い感じだったり、黒人解放運動を「(今まで白人に)やられたぶんやり返す」みたいな描き方をしていないところがこの作品の良点だと思います。
暴力描写も少なめで、白人との対立を煽らない描きかたはスマートな印象を受けました。
実話ものということで実際の人物のインタビューシーンあり、主人公の葛藤あり、解放運動組織の内部の話あり、FBIの思惑あり、といろいろ要素があって、中だるみがありません。
ただ良く言えば多面的でバランスがいいけど、違う言い方をすると、軸がはっきりしないぶん物語として少し脆さも感じました。
じゃあ何でもかんでも激しい対立を描けばいいかっていうと、そんなことはありませんよね。
こういう描き方があっていい。
監督のシャカさんは長編2作目とのこと。今後に期待です。
総合評価 ☆☆☆
地下鉄のザジ
1960年 フランス
監督 ルイ・マル
地下鉄に乗るのを楽しみに地方から出てきた10歳の少女ザジが、2日間パリに住む親戚のガブリエルおじさんに預けられる。ザジはおじさんの元を抜け出し、地下鉄のストライキで混乱するパリの町を冒険するが…。
もう見ていて楽しい!のひとことに尽きます。
ナンセンスなスラップスティックコメディなので、はっきり言って、話の筋はありません。
(上のあらすじの分量の少なさといったら!)
ザジちゃんは母親に連れられて(母親は恋人に会うため)パリに来て、叔父さんに預けられます。
地下鉄が好きなザジちゃんは乗りに行こうとするのだけど、ストで地下鉄は動いていない。
ぶうたれたザジちゃんはそのままパリの街を彷徨って、大人たちとドタバタを繰り広げる。ただそれだけ。
意味なんてない作品なのだけど、こういう映画があっていい。
63年前の作品とはまったく思えません。一周回って新しい。斬新。
なんか日本でもこういう映画作れないかなあ。
まあ話がないのに90分もたせるには、ものすごくセンスが必要なんだろうけど。
う~ん、こういうナンセンス映画は制作資金の回収が難しそうだから、有名監督たちが連名で企画するとか。
ナンセンス映画って、ある種その人の特長・持ち味がはっきりするから、作る側・見る側両方うま味がある気がします。
ふだん社会派の作品を撮ってる人の方が意外で面白そう。
1本目の「ユダ〜」のような社会派の作品も好きだけど、「地下鉄のザジ」のような意味のない作品も好きです。
いろんな映画があっていいですよね。
最後に、主人公のザジちゃんはおかっぱの女の子なんだけど、可愛い。
「ザジ」って響き、好きです。
総合評価 ☆☆☆☆
☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆ →まあまあ。
☆☆ →う~ん、ちょっと。。。
☆ →ガーン!