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【いいところを語る映画評】「1秒先の彼女」 オープニングが素敵

映画「1秒先の彼女」を配信で鑑賞しました。
で、感想を書いてみようと思います。

この作品は昨年(2021年)の初夏公開で、当時観たいなと思っていたのですが、タイミング合わず逃しました。
今回、配信で見つけた時は思わずオッとなりましたね。

あまりメジャーな作品ではないので、まずは情報をドン。

2020年公開(日本公開は2021年) 台湾
監督 チェン・ユーシュン

郵便局で働くシャオチーは、仕事も恋もパッとしないアラサー女子。何をするにもワンテンポ早い彼女は、写真撮影では必ず目をつむってしまい、映画を観て笑うタイミングも人より早い...。
ある日、ハンサムなダンス講師とバレンタインにデートの約束をするも、目覚める となぜか翌日に。バレンタインが消えてしまった?
秘密を握るのは、毎日郵便局にやってくる、常にワンテンポ遅いバス運転手のグアタイらしい…

オフィシャルサイトより

SF×レトロ×ラブコメ

まず先に結論を言ってしまうと、映画全体の評価としては「まあまあ」といったところです。
SF好きの身としては、あらすじにある「ワンテンポ早い・遅い」という時間の設定にググっと前のめりになり、期待して鑑賞しました。ポスターも可愛いし。

でも、ぶっちゃけあんまりその設定が生かされていない。。。
終盤にSF的な大事件が起こるのだけど、それとの関連性がいまいち分からない。。。
もっとその設定を突き詰めてもよかったんじゃないかと思ってしまいました。。。
まあ、これはSF好きの視点かもしれません。

映画全体としてはパソコンや携帯はあるけど、とてもレトロな世界観。
主人公のシャオチーとグアタイの職業は郵便局員とバス運転手だし、二人の趣味もラジオとフィルムカメラ。昭和だよなあ。

台湾の風景も、現代的なビルも映るんだけど、どことなく懐かしく温かみのあるものが多くて、そこは見ていて気持ちよかったです。
台湾に行ってみたくなりました。

レトロな雰囲気や街並み×SFというと日本の大林宜彦監督のイメージですが、あそこまで作家性が濃くなくてライトな作風なので、そういう意味では見やすい作品だとは思います。
でも、何度も言いますが設定が生かされてない。。。しつこいな、俺。

あと、ラブコメです。
でも主役の男女の恋愛観もやっぱり昭和。素朴だし可愛らしいのですが、新味はなかったなあ。
だから、設定を突き詰めればいいのに。。。まだ言うか、俺。

星新一さんみたい

と、微妙な感じでつらつら書いてきましたが、この映画のいいところはどこかというと、それはオープニングです。
台詞を書き起こしてみますね。

シャオチーが夜道を歩いていると、交番が目に入る。
慌てて交番に駆け込むシャオチー。
警官「どうしました?」
シャオチー「失くしものを」
警官「どんな?」
シャオチー「《1日》です」
警官「何を失くしたって」
シャオチー「《1日》です。消えたんです」

本編より

なんとまあ素敵な始まりではありませんか。
詩的でユーモラスでミステリアスですよね。
SF好きとしては星新一さんのお話の始まりのようで、とてもドキドキしました。

この台詞の掛け合いから、いかようにも話が広がりそう。
ショートショートの課題設定として使えそうですよね。
自分ならどうするかなあ。

①テンポの早い人間とテンポの遅い人間が出会うことで、空間の磁場のバランスが崩れ、時空にひずみが発生する。ってハードSFだな。

②時間が盗まれた。ってこれは『モモ』ですね。

③日めくりカレンダーを1枚多くめくってしまった。で、リモートワークで家から一歩も出ないから気づかない。
まあ携帯かテレビ見れば気付くか。

日めくりカレンダーって、自分も昭和でした。トホホ。。。

余談ですが、エンドロールでスタッフの名前の下に自筆の署名が記されていて、それが手づくり感があってよかったです。

総合評価 ☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!

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