【いいところを語る映画評】「リトル・ダンサー」 少年が踊りまくる!
NHK・BS3で放送されていた「リトル・ダンサー」を録画して鑑賞しました。
で、感想を書いてみようと思います。
この映画は約20年前の作品ですが、当時ミニシアターで話題になったし、この映画を原作にミュージカルも作られていたりするので、ご存じの方もいるかと思います。
とはいえ、ちょっと前の作品なので、情報です。
教科書に載せてもいいぐらい
この「リトル・ダンサー」は、ひとことで言うと(そして身もふたもない言い方をすれば)、悪人は誰一人出てこない、安心して見られる映画です。
主人公である11歳の少年・ビリーのダンスを通した成長物語であり、それを取り巻く家族の物語です。
と、こう書くと、なんだかすぐ記事が終わってしまいそうですね。。。
でもまだまだ書きますよ。
この映画のいいところは、「物語の軸」がしっかりしていることだと思います。
この映画のポイントは大きく2つで、ビリーのダンスを踊る楽しさと、大人たちの事情である炭鉱町のストライキ。
そのポイントがはっきりしているため、ストーリーを無理やり展開する必要はなく、各登場人物の心情を丁寧に描いているという美点があります。
国語の教科書に載せてもいいと思うぐらい、登場人物の気持ちの変化の見せ方が上手いです。なんなら設問に出したい。
「この場面のビリーの気持ちはどのような気持ちですか?」
「お父さんはなぜこういう行動をとったと思いますか?」
「ダンスの先生はどうしてビリーにこの言葉をかけたのでしょう?」
「お兄さんの気持ちの変化を考えてみましょう」
なんてね。
ダンスがど真ん中!
こう書くと、教科書的で真面目な映画という印象を与えてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。
やはり「リトル・ダンサー」の最大の美点は、ダンスシーンだと思います。これは外せない!
バレエって、「きれいに優雅に美しく」っていう印象がありますよね。
でも、主人公のビリーが踊るダンスはそうじゃない。
もちろんきれいに踊っているところもありますが、思春期の少年の感情をそのまま吐き出してるっていう印象です。
当然、そこには「怒り」もある。
特に、クリスマスのシーンで、父親に自分の気持ちをぶつけるところのダンスは圧巻でした。
「ダンスをやりたいんだ!好きなんだ!」っていう気持ちをダンスで伝える。
そうこなくっちゃ、「ダンス映画」のだいご味ですよね。
他にも、要所要所のダンスシーンが物語をキュッと締めていて、映画のど真ん中にダンスがドンと座っているのも好感がもてました。
日本でリメイクしたら面白いかも
最後に、観終わって思ったのは、日本でリメイクしたら面白いんじゃないかなあ、ということ。
「炭鉱のストライキ」という設定は使えないけど、現在の日本で大人たちの物語にそれなりのものをあてはめれば、映画になるんじゃないかと。
そもそもこの映画のキャッチ―な部分として、「女の子のものであるバレエに男の子がまじるというギャップ」があるんだけど、まあ今それを前面に押し出すのもちょっと、という感じがします。
それよりも、「バレエ」がそこまでメジャーじゃない日本で(なおかつ男の子が)やる、っていうギャップが物語の端緒としてはありなんじゃないかなと。
でも、何よりも一番見てみたいのは、ダンス。
思春期の「怒り」に国・人種は関係ない。
日本の街を背景に、少年が踊りまくる映画が観たいなあ。
総合評価 ☆☆☆☆
☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆ →まあまあ。
☆☆ →う~ん、ちょっと。。。
☆ →ガーン!
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