『同期のサクラ』の高畑充希の新潟弁を検証する。
ネット民によれば、『同期のサクラ』で高畑充希演じるサクラは、新潟の架空の島「美咲島」の出身といことで、彼女が話す方言は、新潟の下越地方の言葉ということだが、間違いないだろう。新潟下越で生まれ育った、我が故郷の言葉そのものですから!
いやあ、びっくりしました。 遊川和彦脚本の『ハケン占い師アタル』が面白かったんで、同じ遊川脚本で高畑充希主演の第一話をぼーっと見始めたら、のっけからいきなり新潟弁が。。。
それも、主役の充希ちゃんがバリバリの新潟弁で長セリフだから、たまげたたまげた!
新潟の下越地方の方言が、ドラマや映画でここまでちゃんと役者がしゃべったのって相当珍しいと思う。少なくとも何十年も映画やドラマ見続けてきたけど、そんな作品はオイラには全く記憶がない!
多くの新潟県人は、東京では新潟弁を封印しているので、東京で新潟弁を聞くことはほぼ皆無だ。事実、オイラも東京初日から完全に封印している。
そもそも、今の新潟の子たちは、標準語ネイティブだから、方言をほとんど使わなくなっている。悲しいかな、新潟の舞台のドラマでも、方言が使われることはほんとどなくて、地元の老人役までも標準語で話す。だから、『同期のサクラ』にたまげたて(驚いた時に新潟の女性が使う方言)。
さてさて、充希ちゃんの方言のクオリティだが、結論からいうと、ネイティブにはほど遠かった。書き言葉としては、ほぼ新潟の方言を再現しているし、イントネーションも頑張っていた。だけど、書かれた言葉をセリフとして読んでいる充希ちゃんの方言は、まぎれもなく新潟弁だが、やはり、嘘くさいのだ。関東の人間が関西弁をしゃべった時、関西人が感じる違和感ってこんなことなんだろうなあ。
だからこそ、充希の新潟弁のどこが「変」なのか、検証してみたくなった。
あくまで、個人的な記憶をもとにした私見だが、新潟弁は、あまり音を綺麗に区切って話さないから、サクラのように滑舌良く方言を話す人間は皆無だ。なんというか、抑揚なくズルズル話す感じだろうか。
あと、ドラマでは、方言が新潟県人以外にも理解しやすいように、質問するセリフの時語尾を上げているが、新潟弁では、語尾はあげない。
例えば、「心臓の調子はどうらー?(↗)」というセリフがあったが、ネイティブのオイラなら「心臓のぐぅえーはどうらて(↘)?」。と語尾は下げる。
それから、発音にも変な癖があって、「え」の発音ができない。(我が母は「駅」のことを「えき」と発音できず、どうも東京の人には「いき」と聞こえてしまうらしい。昔、タクシーの運転手と「このへんに”いき”なんて地名は無いと言われ大げんかになった。「えき」と「いき」の間ぐらいの音の感じだろうか。」
我が家の東京生まれの東京育ちのカミさんは、サクラの方言はヒアリングできたが、母や祖母の方言は、全くヒアリングできない。つまり、なまっているんですよね。新潟弁は。だから、そのなまりまでは、充希さんにはハードルが高かったのかも。まだ東北地方のズーズー弁は、聞いたことがあったかもしれないけど、新潟弁で新潟県人以外では、耳にすることが少ない方言なので、難しかったでしょうね。