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『フォールガイ』鑑賞記録

猛烈に文章を書くモチベーションが高まっているので、久しぶりに映画の感想を書こうと思います。
『フォールガイ』です!公開してからIMAXで2回観てきました。
劇場で同じ作品を複数回観るというのは、自分は滅多にないことで『THE BATMAN』以来なので数年ぶりでしょうか。
IMAX入場者特典のポストカードを2枚ゲットできてしまいました。
私が鑑賞した劇場だけかもしれませんが、公開して割とすぐなのにお客さんあんまり入ってなかったり、本当はIMAXの次は4DXで鑑賞したかったのですが、公開して2週間も経つと近所の4DXのラインナップから追い出されていたり…最近は入れ替わりが早いのでそんなもんなのかもしれないですが…
いきなりネガティブなことをぼやいてしまいましたが、作品自体は最高でした!
だからこそ書きたかったのです。

さて映画の中身について。
物語としては非常にシンプルです。
主人公はイケイケのスタントマン、コルト。
映画監督志望のカメラマンでコルトのいい人ジョディと現場でいちゃついたりする人生を謳歌していたが、スタント中の不慮の事故により体を壊してしまう。
精神的ダメージが激しく、スタントマンの世界だけでなく彼女の元からも姿を消して18ヶ月が経過。
画面の向こう側の世界から離れ駐車係のバイトをしている彼に、当時スタントマンとして代役を演じていた俳優トム・ライダーのエージェントから突然連絡が来る。
何と当時付き合っていた彼女が監督する作品の主役にトムが抜擢されたのでスタントをやってくれないか、とのこと。しかも監督がご指名とのこと。
やるしかなーーーい!何ならヨリだって戻したーーーい!
コルトの復活劇が始まる…

本作の監督デビッド・リーチ自身がスタントマンだったこともあり、映画自体が映画作りをテーマにしていることもあってか、映画に落とし込まれている何気ない台詞や仕草が地に着いていて、これだけエンタメ大爆発作品なのに人肌を感じられるという不思議な安心感がありました。
かと思えば熱い感情も湧き上がってくるし、その感情のシンプルさがこれまたよくラストも喜びに包まれて、終始幸せな映画体験になりました。
勿論リーチ監督作品なだけあって、『ブレット・トレイン』や『ジョン・ウィック』シリーズのアクションを期待される方にとっても充実したアクションシーンを楽しめるかと思います。
特にキャノンロールという車をゴロンゴロンと回転させる大技で、これまでのギネス記録だった7回を更新して8回転半回転させたシーン、何回見ても圧巻。
でっかい車があんな風に転がってしかも運転手が乗っているなんて、リアルにやらなくても作れるとは分かっていながらも、実際にやるからこそ作られた映像には出せない緊迫感と人肌を感じます。

そんな圧巻のスタントに私の感情の昂りに油を注いだ要因の一つに、シンプルで普遍的な動機、というのがあるかもしれません。
主人公のコルトは「愛」という動機を持ってラストまで駆け抜けていきます。
元カノのジョディに対しての愛。
好きな人に好きだと伝えてもう一度やり直したい。
そのためにはどんな困難も乗り越えるのだ!
コルトには色々と無理難題が降ってくるのですが、そのシンプルな動機で様々な危機を乗り越え、それと共にこれまで向き合えなかった自分の気持ちとも向き合っていきます。
超人が超能力で無理難題を片付けていくような快感ストーリーではなく、一時は輝かんばかりの人生から転落した情けない男のど根性物語という人間臭さについつい感情移入して、昔ながらの映画とスタントマンへの溢れんばかりの愛も滲み出ていて今の自分にはピンポイントでヒットしました。
そう言えば『ジョン・ウィック』も似てるかもしれないな、愛する人と自分を繋ぐ唯一の存在(愛犬)を失い、その復讐を胸に次から次へと怖い人をぶち倒していく、筋書き自体は何だか近いものがありますね。
何かに対する真っ直ぐな愛と、それを貫き通したいという信念。
難しく考えたりダメかもしれないと思う暇もないくらい次から次に色んなことが起こる状況下では、ただその一筋の光に向かうしかないですよね。
幸いなことにジョディも満更でもない様子。
気づけばコルトと一心同体になってジョディのために火の中水の中…ゴズリングに感情移入しやすいと思うのは私だけの特性なのか、それとも多くの人に共通する傾向なのか、それでも今作ではコルトに感情移入せずにはいられない、感情移入できたなら最高の映画体験になるはずです。

普段頭を悩ませ心に影を落とすような映画を好む傾向もあって、このずば抜けたエンタメ作品が自分に合うのだろうか、という不安も若干ありました。
普段そういう映画の登場人物たちに感情移入してきた自分にとって分かりやすすぎる心理模様にどこまでついて行けるか、生意気にもそんなことを思っていましたが、シンプルイズベストでした。
しかも、シンプルイズストロンゲスト、とも言えますね。
真っ直ぐな気持ちで何かを追い求めていたのに、それを真正面から求めることのできない時期を経て再び、という筋書きは光を感じます。
でもそれはぱやぱやした霧のような光ではなくて、暗闇に一筋の光が差し込んでいてその光を追って闇雲に突き進んでいくような、何よりも得難いその光を直視して追い求めるシンプルで強い感情に私は強く惹かれたようです。
いい歳の大人がそんな純粋な動機で色んな困難を乗り越えてその過程で自分と向き合う映画です。1番シンプルな感情を認めるのが難しいこともありますよね。
それを認められないから小難しい理論や理屈を持ち出してしまうという…

色んなことを思いましたが、本作を観て強く思ったのは「ああ自分は映画が好きなんだ」ということ。
それと「ああ自分はライアン・ゴズリングが好きなんだ」ということ。

ここからはゴズリング話に移ります。
中高生ぐらいのときに『きみに読む物語』を観ていいなと思ったのがファーストインプレッションで、当時ジョニデに入れあげていた自分は、タイプの違うゴズリングにそこまで強く惹かれてはいなかったはず。
その後も『ラ・ラ・ランド』や『ブルーバレンタイン』といったいわゆるゴズリングの有名作品は観てきましたが、これほどまでに強く惹かれるようになったのは最近『ラ・ラ・ランド』を観直してからです。
でも単純に、好きな人の顔に似ていることに気づいてしまったのが一番の要因だと思います。お恥ずかしい話。
それでもっとこの人の作品観たい、と思ってその後『ファーストマン』『グレイマン』『ナイスガイズ!』『バービー』『ブレードランナー2049』を鑑賞してみて拍車がかかり、配信にない作品も集め始めました。
並行して彼のインタビュー記事や動画などを漁って朧げに私の眼前に浮かび上がってきたゴズリング像に更に興味が湧いてしまったのです。
彼の作品や役に対する姿勢、また作品選びについて共感できたことと自分の生き方についても勝手に希望を感じられたことが大きいように思います。
そうして『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』『ラブ・アゲイン』『ハーフネルソン』『ラースとその彼女』『ドライヴ』『オンリーゴッド』、まだ観てないですが彼の初監督作品『ロストリバー』をゲットしました。
配信にあるのもありますけど…レフン監督作品は『ネオン・デーモン』と3本合わせてメルカリで売ってたのを思わずお得!と買っちゃいました。
『オンリーゴッド』は非常に分かりにくい作品で好みも真っ二つに分かれそうです。私は好みではありませんでしたが、感じたこと考えたことを作品に昇華させる力には感服しました。
今まで観た中で気に入った作品は『ハーフネルソン』です。
薬物中毒の中学教師、そんなワードだけでも何となく重たい空気を感じるかと思いますが、人におすすめできる作品です。これもまた感想書きたいですね。
何ならライアン・ゴズリング特集で一通り書きたいところ。

きっかけはどうであれ、私の背中を押した要因の一つには、彼の出演作を全て観てランキング形式でまとめている動画もあったのでぜひこれは紹介したいと思います。
英語なので曖昧な理解ではありますが…確実に私の中のゴズリングブームの火付け役です。

監督で観るのは間違いない、と思いますが役者で観ても間違いないと今のところ言えそうなゴズリング作品。
中には鑑賞するのも難しそうな作品もありそうですが、気長に観進めてみようと思います。
とはいえ結局私も『ラ・ラ・ランド』が最強と思いますが…
またぼちぼち書いていきます。


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