マルコムX。人生観、世界観、宗教観が変わる体験!メッカ巡礼!
こんばんは。今日もおつかれさまです。
皆さんは人生が変わる瞬間や体験ってこれまでありましたか?
マルコムXは、ネイションオブイスラム(NOI)から離れた後、1964年4月、聖地であるメッカに向かいます。
イスラム教徒として初めてのメッカ巡礼を行ったのです。
メッカ巡礼はそれまでの罪をすべて洗い清めるものです。
あるムスリムの人生が、結婚や退職など大きく変わるときに行われることが多いのです。
マルコムにとって、NOIから離脱したばかりのこの時期に、信仰を見直し確かめることができたのは願ってもないことであり、巡礼の目的にもよく調和していました。
マルコムは、1300年前から続く巡礼の伝統に連なり、自分と同じ目的で、サウジアラビアに来たありとあらゆる国籍や民族や階級、人種の人々とつながることができました。
「イスラムはあらゆる人種や階級の人々を一つにする。」
「みんなが自分のものを共有する。持つ者が持たざる者と共有し、知る者が知らざる者に教える。」
「あらゆる国と文化形式の代表がここに集まっているようだ。」
人種や民族が異なる何万もの人々が声を合わせて同じ神に祈りを捧げる強烈な光景はマルコムを深く動かしました。
マルコムは世界の舞台で、イスラムがより積極的な役割を果たすことができればいいと思うようになりました。
「アメリカでの成功にはブラック・ナショナリズムとイスラムという二つの領域が関係してくるだろう。
ナショナリズムはアフリカ系アメリカ人をアフリカとつなぐのに必要。イスラムはアフリカ、アラビア、アジアにつなげてくれる。」
その後エジプト、ナイジェリア、ガーナなどを訪れます。
「アメリカでわたしたちが置かれている苦境の真の姿を描き出し、わたしたちの訴えを国連で取り上げてもらうために独立したアフリカ諸国の協力が必要」
「西側諸国にいるアフリカ人と祖国にいるアフリカ人との団結を図ることで歴史の進路が変わる。」
と主張します。
パン・アフリカ主義を自分のものにし、哲学的、文化的なアフリカへの回帰を果たしたのです。
「白人種に数で勝ち、黒、黄、赤、茶の人種が力を合わせて攻撃しなければ、米国そして世界での人種隔離は終わらないだろう。」
と第三世界の団結を呼びかけました。
「さまざまな人種や肌の色の人々が何万人もいてみんながわたしを人間として扱ってくれた。」
体験を通じて「人種哲学」が変わったことを、率直に認めました。
「肌の色がこれ以上ないほど白く、目の色がこれ以上ないほど青い仲間のムスリムたちと同じ皿から食べ、同じコップから飲み、同じ寝台や敷物の上で寝て、その間も同じ神に祈っていた。人生で初めてかれらを『白人』として見なかった。」
「自分が目撃したことはあまりに深遠だったために私自身の思考様式の大部分を再整理し、それまでに出していた答えを捨てることを余儀なくされた。」
帰国後マルコムは、
「すべてのニグロが参加できる団体を新たに設立したい。その団体に関してはほかの人種の人々からの支援も受け入れる用意がある。」
と発表します。
マルコムは完全にネイション・オブ・イスラム(NOI)と決別したのです。
マルコムは、本当に素直な人間だったのでしょう。
一歩外へ出れば、多様な人々を体感すれば、価値観が変わるということは、誰でも起こりうる素敵なことです。
私もマルコムXのように素直に柔軟にこの世界で暮らしていきたいです。
劇的に変革を得たマルコムX。
しかし変わることを恐れるのもまた人間。彼の変革を進めようとする姿勢に我慢ならない人もいます。
そして………
執筆者、ゆこりん、ハイサイ・オ・ジサン
参考文献
「マルコムX―人権への闘い」 荒このみ著 岩波新書
「マルコムX―伝説を超えた生涯」マニング・マラブル著