亡霊の復活!ヒトラーが帰ってくる?!
2015年のドイツ映画に「帰ってきたヒトラー」という映画があります。
第二次世界大戦末期からヒトラーがタイムスリップして2014年のドイツに突然現れるというもの。
人々は彼を本物のヒトラーと思わずそっくりさんの芸人だと思って彼はTVの人気者になるという話です。
そのヒトラーがテレビのカメラマンと一緒にドイツ中を回って、市民と対話をするのです。
その中には賃金に不満をもつ旧東ドイツ出身者や移民の増加に不満をもつ労働者がでてきます。
そしてヒトラーがつぶやくのです。
1930年代と同じだ。
この映画、一応ジャンルコメディなのですが、全く笑えないんです😭
しかも今は前見た時よりも笑えなくなってます😩
先日書きましたが、現在のドイツは、右派政党が躍進して1930年代と状況が似ているというテーマの報道番組を見ました。
2024年現在、ドイツでは極右政党である「AfD(ドイツのための選択肢)」の支持率が23%。メルケル元首相が率いたキリスト教民主同盟の28%に次いで2位になっています。
ショルツ首相が率いる社会民主党の支持率は9%です。
AfDは2013年発足。
反移民、反難民、EU離脱を政策として掲げています。
「すべてをドイツのために」というかつてのナチスの演説を引用して問題になりました。
また「同化していない国民はドイツから出て行け」と主張し、アフリカ北部にモデル国家を作って200万人移住させる計画を主張しており、それはナチスのユダヤ人移送計画(マダガスカル計画)と同じだと言われています。
旧東ドイツ地域から勢力を広げ、すでに地方の首長も誕生しています。
若者を中心に既成政党に対する不信感があります。
特に旧東独地域は統一後経済が期待されたほど成長せず統一負け組と呼ばれてしまい、旧西ドイツに対して劣等感をもっています。
その中でAfDは統一後にできた政党なので旧東独地域を中心に勢力を伸ばしているのです。
1930年代の政治状況と酷似していると言われています。
この状況は1930年代のヒトラー政権獲得前夜の社会状況と4つの類似点があるといいます。
1, 将来に対する不安が大きい。
2, ヒトラーの時代は東欧からユダヤ人が流入してきたが今も大量の移民難民がドイツに流入している。
3, ナチスは南ドイツバイエルン地方から、AfDも旧東独地域からと地方から勢力を広げている
4, ナチスはユダヤ人が世界を支配しているという陰謀論を説き、AfDは少数エリートが世界を支配していると主張している。
違いは対象がユダヤ人でないだけです。
ドイツはしっかりと反ナチス教育をしていたのではと思いますが、それは旧西ドイツの話しで、旧東ドイツではあまり行われていなかったようです。
また、教育の内容もナチスやホロコーストはよくないと教えられていましたが、ポピュリズム政治一般については教育されていなかったようです。
映画の中でも、テレビ局の局長がヒトラーをテレビにだすときに、「ユダヤ人だけは話題にださないでね。」というシーンがあります。
つまり反ユダヤ主義でなければ、ほかのことはかまわないということです。
ちなみに2015年の映画なのですが、AfDが出てくるのです!
まだできたばかりのAfD。
ヒトラーがAfDの現職議員に話を聞くというシーンがありますが、ヒトラーはAfDの政策を聞いて寝てしまいます。(笑)
右派政党が台頭する現象は現在EU全体で見られます。
ポーランド、イタリア、ハンガリーでは極右政党の支持率が40%以上です。
欧州議会選挙でも極右政党の躍進が見込まれ、中道右派を含めれば右派が過半数を占めると予想されています。
EUで、EU離脱を訴える右派が多数を占めればどのような政治が行われるのでしょうか?
世界はどうなるのでしょうか。
映画の最後でヒトラーは
「私を消すことはできない。私は君らの中に存在する。悪いことばかりではなかった。」
と言います。
亡霊はいつでも復活するようですね。
執筆者、ハイサイ・オ・ジサン
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