戦争ミュージアム、アルゼンチンとウルグアイ記憶博物館
こんばんは。今日もおつかれさまです。
今回の戦争ミュージアムは実際に私たちが訪れた場所ではありません。
日本の反対側ラテンアメリカの平和博物館の紹介です。
日本平和学会の部会でラテンアメリカの平和博物館を紹介していました。
ラテンアメリカの場合、構造的暴力及び積極的平和の問題について何らかコミットメントする施設を平和博物館と定義しています。
アルゼンチン記憶人権博物館
ウルグアイ記憶博物館
ペルー記憶博物館
など
いずれも「記憶」という名前が入っています。
グローバルサウスではどのように過去に向き合っているのでしょうか?
ウルグアイ記憶博物館
ウルグアイの政治状況は1973年から1985年まで軍事政権でした。
1985年に民政移管して選挙を実施。
5年ごとに選挙して政権交代しており、安定した政党政治を実施しています。
失効法(1986年)により軍政下の人権侵害は長く追求されませんでしたが、21世紀になって真実追求が始まりました。
ウルグアイ記憶博物館は2006年設立。
2007年開館。県立の施設。
政府による国家テロリズムと独裁に対するウルグアイ人の闘いの記憶で構成されています。
想起の文化
「決して二度と」をキーワードに、過去を克服するために積極的に過去を記録・想起させています。
国家テロリズムという構造的暴力の記憶を蓄積し整理分類して展示しています。
クーデターはどのように起きたか
国民はどのように抵抗したか
行方不明者を捜すプラカードなどの展示
自国の政府による弾圧を負の遺産として記録し、それと闘う市民を祈念として遺していくかたちは、聞きながら新鮮に感じました。
現在ラテンアメリカでは政治の反動化が起きており、ウルグアイでも新しく登場した極右政党が過去に軍が関与したとされる人権侵害に関し軍を擁護する言論活動を積極的に展開しています。
政治が右傾化するなか、学校教育の現場では、カリキュラムから国家テロの用語が削除されるなどの事態が起きています。
このような「歴史戦」は他国でも起きていて隣国アルゼンチンの2023年総選挙では、旧軍事施設を利用した平和博物館の閉鎖が取り沙汰されています。
日本でも戦前小林多喜二の虐殺事件や治安維持法による横浜事件などの弾圧事件がありました。戦争に反対した人は投獄されました。
国家による人権弾圧事件は身近なところにもたくさんありましたが、そのような記録や資料を集めた博物館はありません。
他国との戦争だけが平和を脅かすものではありません。
現在のミャンマーなど軍事独裁政権により国民の人権が抑圧され生存が脅かされることも平和への侵害なのです。
そして市民の自由や将来を奪われることも戦争の悲惨さの一つであります。
執筆者、ゆこりん、ハイサイ・オ・ジサン