■新田(仮名)くんのはなし episode 1
10年程前、僕はとてもお洒落なビジネスホテルで目を覚ました。
「どこ?」昨日の記憶が全くない。(引)
「え、ツイン?」隣のベッドに目をやると、裸の人が眠っているのだ。ドラマとかでたまにある裸の女の人が横にいる、あれか?あれなのか?
隣にいる裸の人をよく見ると、男だった。さらによく見ると会社の後輩だった。そういえば、昨日、こいつと呑んでたっけ?
「おいっ!新田(仮名)くん!」取り敢えず、起こしてみる。
「んーー....ん、あ、羊さん、おはようございます...」
「どこ、ここ?」
「んー…分からないです…」
「部屋、豪華すぎるんだけど…何故、僕らはここにいるんだ?」僕は、かなり混乱していた。昨日どこで呑んでたかすら覚えていない。
新田くんは部屋を見渡し、
「確かに…無駄にお洒落な部屋ですね…シャワー室、透けてますね。」と言いながら起き上がり、窓から外を見た。
「さくらまな…鈴村あいり…」新田くんは、窓の外のセクシー女優の看板を見ながら、彼女たちのフルネームを呟いた。そして、こう結論づけた。「秋葉原ですね。」
「ちょっと、シャワー浴びてきます。」
新田くんは、透けてるシャワー室でシャワーを浴びる。
て、おーい。なんも覚えてへんのに、あんた余裕だな。
新田くんは、やたら付き合いが良い。仕事終わり、「ビール行っとく?」と社内チャットで誘うと、100%「行きましょう!」と返ってくる。
そう、昨日も僕が呑みに行こうと誘ったんだ。彼はこれから某企業の説明会があるので20時ごろならOKとのことで、秋葉原で落ち合うことになったのだ。
秋葉原 居酒屋にて新田くんと合流。僕たちは、ビールで乾杯する。
僕「で、どうだったの説明会?」
新田くん「外人が出てきて、説明、全部英語でしたね。」
僕「へー、新田くん英語喋れるんや。」
新田くん「いいえ。全く。何一つ分かりませんでした。」
行く意味ねー。笑
このスタートで盛り上がり酒を浴びるように呑みまくる(引)
その後、案の定以上、終電を逃す。タクシー代がもったいないのでビジネスホテルに泊まろうと。泥酔していたので、無駄にデザイナーズビジネスホテルをチョイスしたらしい。
隣に裸の新田くん。それが3度あった。
「また、おまえか…(引)」