ゆく年くる年、悩ます頭
年が明け2022年になってから、2週間がたっている。
とっくのとうにお正月気分は抜け去っているが、僕には毎年、年末年始になると思うことがある。
それは挨拶のことだ。
朝起きれば「おはよう」、お昼に会えば「こんにちは」、夜は「こんばんは」。
社会人になると一番使うのは、圧倒的に「おつかれさまです(でした)」である。あと、「こんにちは」と「こんばんは」はほぼ使わない。(個人差は当然あるだろうが)
「よろしくお願いします」もよく使うが、英語にはそれにあたる表現がない。グーグル翻訳でたたくと、「It's nice to meet you.」と出てくるが、これは直訳すると「あなたに会えてよかった」であり、しかも一般的には「初めまして」という意味でつかわれる。だからこれは、「よろしくお願いします」には当たらないかもしれない。「please」という単語もあるが、「Please ~.」で、「~してください、お願いします」となるが、単独の単語ではほぼ機能しない。となると、「よろしくお願いします」はオリジナリティのある表現といえるだろう。(ほかの言語は分からない)
いろいろある挨拶の中でも、僕が個人的に難しすぎると思うのが年末年始の挨拶である。細かく言うと、年末の挨拶に限りかなり難題だ。
年始の挨拶は、ご存知「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
これには何も違和感はない。年が明けたことに対して「明けましておめでとうございます」、昨年もお世話になりましたが引き続き、「今年もよろしくお願いします」というもの。
因みに「明けましておめでとう」には、年が明けたこと以外に、“年神様をお迎えする”という意味があるらしく、お正月の神様で「歳徳神(としとくじん)」「正月様」とも呼ばれているらしい。
僕が引っかかっているのは、年末恒例の「よいお年を」である。
この挨拶は、一説には起源を江戸時代まで遡り、当時庶民たちは「お互いに精一杯頑張って、気持ち良く新年を迎えよう」という意味で挨拶していたそうだ。ツケを新年まで持ち越すのではなく、年内に支払って気持ち良く新しい年を迎えたいという思いからきているらしい。なるほど、起源は分かった。
分かったが、なんか違和感ないか、この挨拶?
みんな普通に年の瀬になると、仕事納めの日の帰りとか、忘年会の帰りとか、別れ際「よいお年を」って言ってるけど、僕にはこれが違和感だ。
同い年だろうが、年上だろうが年下だろうが、相手が誰であろうともれなく「よいお年を」で別れる。僕にはこれが違和感。
同い年相手にこの挨拶は、何故か敬語感というか、妙な他人感を。一方、年上相手にこれは、何かタメ口感を覚える。逆に、年下相手だと、何もおかしいところはないように感じる。
これは完全に僕の感覚的なものなので、「そんなことなくない?」と反論されても多分言い返せないと思う。だが、僕の「よいお年を」に対する違和感は拭えない。
特に目上の方に対してそのまま「よいお年を」と返していいのだろうか?向こうは、「なにタメ口きいてきてんだよ」と思わないだろうか。先ほども言ったが、同い年に対しては妙な敬語味を感じるのに比べ、目上の方に対しては、絶対に敬語ではないと思う。だから僕は、毎年変な間で返してしまう。
先輩「よいお年を~」
僕「・・・よいお年を!」
こんな感じになる。この間には、先ほどのような「これ敬語じゃないよな?そのまま返していいのか?タメ口だと思われないか・・・?」に加えて、「でも(「よいお年を」に「よいお年を」で)返さなかったらそれはそれで失礼だしな」という思考が詰め込まれている。
先輩は先輩で、多分何も思わず家路につくのだろう。毎年の恒例、ただの年末の挨拶であり、いわば常套句。何もおかしいことはない。だがこっちはこっちで、さっきのようなことを思ってしまい、モヤモヤする。
これに正解はあるのか?正しく出来ている人はいるのか?
挨拶は、礼儀・礼節を重んじる日本人にとっては大切な文化だ。だからこそ僕は、正解を求めたくなってしまう。
ふと、「『よいお年を』の後には本来、『お過ごしください』が略されてるのでは?」と思った。この予想が当たっていたとしたら、ここで新たな疑問も生まれてきた。
「よいお年を」って言うの、だいたいクリスマス以降じゃないか?そんな時期に「よいお年をお過ごしください」とか言われても、今さら「よいお年を」?もう1年が終わるんだぞ?
調べてみたら、すぐわかった。残念ながら予想は若干外れていた。古くには“~お過ごしください”を使っていたこともあるようだが、近年では使わなくなったらしい。使うとすれば、「よいお年を“お迎えください”」の方が、目上に対しては正しいとのこと。
しかも、根本的なことだが「よいお年を」は略語だそうで、確かに「お迎えください」を付ければ目上に対しては失礼には当たらない。僕の違和感も少しだけ拭えた。逆に、自身の学の無さを嘆く結果を招いただけとなった。
何故ここまで、調べればすぐ分かったことで悩んでいたのか。そもそも何故調べなかったのか。ここまでうだうだ書いてきたことが少し恥ずかしくなってきた。
でもまあ、この疑問をnoteに書こうと決めたことで、解決することができた。調べて、また少し学べた。そうやってプラスに解釈することにしよう。
これに比べて、「明けましておめでとう」はなんて優しいんだ。しかも「あけおめ」と略せばキャッチ―だ。年末と年始、まさに“北風と太陽”じゃないか。
もしかして北風と太陽も間違えて使ってる可能性ないか?ちょっと調べてみよう。
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