プーチンのウクライナ侵攻を見て想うコト ⑥「国力=軍事力」という、誤解(2)
「国力=軍事力」では無い、ではなにかと問うならば、ひとつめは昨日書いた通り「経済力」と答えました。 至極当たり前の答えですが、こーいう有事の時こそブレずにいたいものだと、昨日からの繰り返しになりますが申し上げております。
で、今日は私が考える、もうひとつの国力を計る指針。 それは、
です。 これまた当然だと捉える方がいる一方で意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。 技術革新が進んで簡単な仕事はロボット(AI)がやってくれるような未来に段々と近づいているのを感じる現代において、人口が多いというコトは必ずしもプラスにならないのでは? と考える方がいても不思議ではないですし、かつて私もそうでした。
昨日も示しましたが1997年がピークで2000年には世界2位までランキングが上がった日本の一人あたりGDPは2019年では25位まで下がり、OECDの平均を下回るまでに下がってしまっています。 だがしかし、
それでも国単位で見ると世界第三位の経済大国として居続けていられるのは、
世界11位の人口を抱えており、一人あたりGDPは下がってきても1億を超える人口が頭数となっているおかげで国としての経済規模は高いままでいられるのです。 人口ランキングの国名を見ていただければお気づきかもしれませんが、ヨーロッパの先進国はトップ15にも入っていません。 2020年のデータによるとイギリスは6722万人、フランスは6739万人、ドイツは8324万人で1億に届いていないのです。 特に仏独はあれだけ広い国土を誇っているにもかかわらず、です。 この比較で日本の1億を超える人口が如何に経済において重要かがお分かりいただけるかと思います。
こちらは2018年のデータになりますが日本と逆の数字を示すのが近年急成長している中国やインドで、人口は世界のトップ2ながら未だ豊かさが国民全体に行き渡っていないため世界第二位の経済大国である中国の一人あたりGDPは72位で、第六位の経済国であるインドは144位と低迷しています。 もちろん今後モーレツな急成長をかけてくるのでしょうが、戦後復興から高度経済成長期を経て新興国より早く経済大国になれたおかげで経済活動の土壌が出来上がっているのが、日本。
だからこそ、1971年~1974年の第二次ベビーブームに産まれた子供が結婚適齢期になる2000年頃に国が子供を産みやすい環境を整えておけば第三次ベビーブームが来ていたハズで、それが果たせていれば今ごろ少子高齢化や年金問題といったものも解決できたかもしれません。 ところがその頃の日本が何をやったかといえば、2002年に誕生した小泉政権による「構造改革」という名の新自由主義の導入で、従業員の非正規化などを推し進めやがったせいで市民の給料は上がらずとてもじゃないけど結婚や出産なんて出来ない環境が出来上がってしまいました。 こうやって自ら人口を増やさずに近年では減少に転じて、結果国力を弱める事態となっています。
さてさて、国内の経済話が続いたためウクライナ情勢と関係ない話に聞こえたかもしれませんが、つまり経済基盤の整った日本においては、多い人口を抱え互いに生産者にも消費者にもなって経済活動をしていけば経済力という国力は上がっていきます。 前回も書いたように戦争は兵器を用いて街を破壊し市民を殺害し、その結果占領したとてその土地の経済力を著しく減らした時点から復興するという非常にハイリスク&ローリターンなのが戦争であり、そこまでして戦争を仕掛けるのは相手国が自国より経済規模が小さいケースが殆どです。 街を一旦破壊しても元々の経済規模が小さければ大したリスクにもなりません。 一方で相手国の経済規模が大きいと街を破壊するのはハイリスクなので、それならば経済交流で相手国と取引すればリスクを最小限に抑えられるうえに得られるリターンも大きい。 だから戦争を仕掛けられる可能性が減るのだと私は考えており、戦後日本が戦地になったり(直接的に)戦争に巻き込まれなかったのは高い経済力を持っていたコトが最も大きな要因だと、私は思っています。
1億を超える人口がいるのですよ。 こんな小さな国土に・・・
そう! 国力を計る上で、決して用いてはいけないものがひとつあります。 既に答えは書いてますがそれについても説明しなければ。 「国力」についての考察はもう1回続きます。
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