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【#127】山梨県・甲斐市長選挙レポート(2024 9.15)

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 山梨県は「甲斐の国」とも言われますが、甲府市もあれば甲州市もあり、甲斐市もあるという、他県の人間から見ると地名がややこしい県ですが、今回紹介するのは、甲斐市の選挙。
 県下第二の市なのですが、だからといって選挙が活発に行われているとは限らない。 そういうコトは往々にしてありますが、今回も然りです。

 5選を目指す盤石の現職に挑むはトップ当選した市議を辞して挑む新人。「保守分裂」と言われた選挙の中身はどうだったのか、レポートします。




◆甲斐(かい)市・概要

(甲斐市役所)
  • 面積:71.95㎢(山梨県 第21位 / 27市町村)

  • 人口:76,502人(第2位)※2024年8月末現在

  • 人口密度:1,063.22人/㎢(第2位)※2024年8月末現在

  • 平均年齢:46.17歳(若い順 第3位)※2020年10月1日現在

  • 衆議院は山梨1区に属し、


◆立候補者

保坂 武  (79) 無所属 現 5期目を目指す
長谷部 集 (52) 無所属 新 元市議

 5期目を目指す元衆院議員の現職に、5期21年務めた市議を辞した新人が挑む一騎打ちです。


◆前回(2020年)の結果

[当]保坂 武  (75) 無所属 現 17,587票
 -------------------------------------
[落]横山 洋介 (42)  無所属 新 11,065票 

投票率:45.51%

 2004年に市が誕生して以来初の市長選となった前回は現職が2期務めた市議を辞して挑んだ新人を退け、4選を果たしました。

 竜王町、敷島町、双葉町の3町が合併して甲斐市が誕生したのが2004年で、初の市長選が行われたのが16年後の2020年。 選挙についてはとんでもなく低調な市に見えますが、それもこれも全て現職の圧倒的な強さによるものです。


◆POINT

①現職の圧倒的な経歴

(甲斐市HP より引用)

 保坂市長は竜王町議→山梨県議を経て2003年の衆院山梨3区(当時 現1区)補選に自民党公認で立候補し当選。 そこから3期5年務めますが、初代の甲斐市長が不出馬となった2008年の甲斐市長選に現役の衆院議員から立候補。 市長としてはオーバースペックな経歴を持つ保坂氏に勝てると思える人がいるワケもなく無投票当選。 以降3選連続無投票当選し確固たる牙城を形成します。
 前述の通り初の市長選となった前回も手堅く勝利し4選。 御年79歳で当選して4年務めれば83歳となる弩級「多選&高齢」ですが、本人は意気軒昂で5選を目指します。

選挙ドットコム より引用)

 対する長谷部候補は市議を通算で5期21年務めています。 2期目を目指した選挙で一度落選していますが次の選挙で返り咲き、そこからコツコツ実績を重ね、前回の市議選(2022年)ではトップ当選するまでになりました。 そこからの市長選当選というコトで、“最強のチャレンジャー” と言えるかもしれません。
 ただ長谷部候補も市長同様に自民党所属、でした。 今回の出馬にあたり離党していますので、この選挙は保守分裂選挙と報道されていました。


②奪われそうな「県第二の市」の座

 山梨県は人口の約23%甲府市に集中していますが西隣にある甲斐市はベッドタウンとして機能していて、概要の通り甲府市に次ぐ人口を誇り平均年齢は甲府市より若いので将来有望な市、に見えますが、その座を奪う勢いで猛烈な伸びを見せているのが、南アルプス市

 甲斐市の西隣にある南アルプス市は2003年に4町2村が合併して誕生し、当時はその奇抜な名前が話題になりましたが、2021年に中央道双葉JCT(甲斐市)から南アルプス市を通って新東名自動車道新清水JCTに繋がる中部横断自動車道が開通し利便性が一気に向上。 市の東部にある市街地から甲府市まではさほど遠くなく、地価も甲斐市より安いため新築住宅がドンドン建ち始めており、人口は71,659人(2024年9月1日現在)と約5千人差まで迫っています。
 そして甲斐市を追い抜く決定的な一撃になりそうなのが、

2025年春にオープン予定の、コストコ。 バスターミナルやキャンプサイト、県産品ショップも併設した一大拠点になると期待されています。
 どの自治体も喉から手が出るほど来てほしいと願うコストコの誘致に成功したというコトで南アルプス市の未来は伸びしろしかありません。 翻って甲斐市は、

ユニーが運営する大型ショッピングモールが有りますが、コストコが出来ると根こそぎ奪われる可能性が有ります。 市内の双葉JCT以北(双葉JCT~佐久小諸JCT)の中部横断自動車道が繋がり全線開通するコトに期待したいですが昨年やっとルートの原案が出来た段階で目途は全然立っていません。 このような状況下で如何に人口流出を防ぎ市を維持できるかが、甲斐市が抱える課題なのです。

 とはいえ甲斐市もかつては市の目玉にすべく新施設を作る計画が有りました。 が、それがあまりにも荒唐無稽すぎて撤回されたのです。 その流れは今も続いており今回の選挙でも取り上げられていますが、それについては有料部分で・・・


③「山梨県緑化センター跡地」の活用

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